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0章「伝説の聖女」
『ハインレンスの聖女』
彼の者の美貌 天地に比類なき
瞳に宿す紫は宝石のごとく
風に揺れる白銀は月光のよう
けがれなき真珠の肌は何人にもおかしがたく
ただその清らかさを象徴せん
傍らには猛々しき金色の狼をはべらせ
救世の道をいざ歩まん
ああ、我らが愛しき神の娘アリア
月光の聖女
黎明の戦女神
紫銀の救世主
彼の者その命をもって魔王を打ち滅ぼし
我らの命を救いたまん
我らその犠牲を忘れることなかれ…
王国歴149年 ディナミス・ゼン・バッハン著