第三話 橙の眼
目が焼けるように熱い。
思わず目を瞑り、手で覆う。
瞼の裏は橙一色に変わっていく。
手を外す。
世界の色は、変わっていない。
奴を細目で見る。
横に、何か文字が浮かんでいた。
《魔族》
《芯強度:強》
《攻略:難》
橙色の輪郭の3つにブレる奴の線が見えだした。
俺の頭を突いた。
俺の腹を突いた。
俺の胸を突いた。
「何...これ」
「危ない!」
ヴェルに押される。
直後剣が目の前を走る。
剣は頭があった場所を正確に突いていた。
奴と目が合った。
「なんだと...」
言った瞬間奴は目を見開き、距離を取った。
何かブツブツ言ってる。
聞こえない。
ブレる奴の線は見えなくなっていた。
「エリオ...何か、見える?」
「...」
「橙色の線。それと、文字が...」
《魔族》
《芯強度:強》
《攻略:難》
だがこんなの見えても意味が......!?
「どう?」
ヴェルが抱きついている。
「な!こ、こんな時に...」
_____
「...はそれでも世界を__」
「...の為なら命を__」
「...に戻ることは___」
「お前が皆を_したんだ」
ノイズがかかった知らない映像、
黒塗りの誰かがこちらに指を指す。
「お前が___
_____
「何か、見えない?」
ハッとして、奴を凝視する。
《魔族》
《芯強度:中強》
《攻略:やや難》
《弱点:角》
「弱点、角って、見える...」
「そう。エリオ、あとは、お願い」
「何言って...」
ヴェルは顔を青ざめ、
息を切らしていた。
「...!任せて」
動けるのは俺一人。
最初の攻撃が最後になる。
大丈夫。落ち着け。
剣を握りしめる。
「...よし」
一気に詰める。
奴も構える。
橙の線が剣を振り下ろす。
右手で左上から右下に。
線の攻撃を避ける。
直後、奴が同じ動作をする。
ここだ!
剣を振り切る。
ガキィィン...
音が響く。
音が場を支配している。
角に剣が当たっている。
が少しも切れていなかった。
「...面白い」
奴の瞳が青色に戻る。
オーラも消えた。
後ろで咳払いが聞こえた。
「リヒト!」
振り向くとリヒトが倒れていた。
「リヒト!」
「案ずるな。死んではいない」
振り返る。
そうだ、こいつがまだ__
「そなたらは歪む魂を持っている。ここで消すのは、もったいない。ただそれだけだ」
そう言いながら森の奥へと消えていった。
後ろ姿を見ることしか出来なかった。
リヒトの元に駆け寄る。
「ヴェル、リヒトは...」
「脈はあるわ。気絶してるみたいだけど」
「って、エリオ!血が!」
「え?」
「肩か?肩なら後で、魔法で__」
「目よ!」
_____
その後に来た剣士によって俺達は運ばれた。
ギルド内の三つベットがある部屋で治療を受けた。
「...」
ギルドで祝杯を上げるとの事を言われた。
だか、行く気にはなれない。
リヒトは、まだ目を覚ましていない。
俺とヴェルはそれぞれのベットに腰を掛けている。
リヒトはこのまま起きないかもしれない。
また、失うのか...?
俺が、追いかけなければ...そもそも...
「エリオ」
「さっきの、ね」
ヴェルがいつの間に横に座っていた。
「さっきの果実。あれ、ね。食べると力を得れるの」
「...でも、勝てなかった」
「まだ強くなれるわ」
おもむろに立ち上がった。
「でもねエリオ、使いすぎると死んじゃうかも分からない」
確かに目が掴まれてるような、痛みがある。
でも。
「間違えなかった未来より、間違えた過去の方が重い」
「...」
「...両親が目の前で殺されたんだ。昔」
「助けられなかった!だから鍛えた。残された家族を、守れるように、でも...」
頬を拭い、ヴェルの方を見る。
横に文字が出ていた。
《___》
《___》
《___》
黒く塗りつぶされて何も読めなかった。
考える間もなく、視界が真っ暗になった。




