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禁忌の果実と攻略眼  作者: 御中御庭より


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第二話 森の魔族

ギルドを出て、帰路につくところだった。


「森にて異常発生!魔獣が多数向かってきています!」


鐘の音とギルドの伝令が俺達を止める。


「行くぞ」


「ええ」

「ったりめーよ!」


俺達は何人かと合流しながら門へ向かう。


外壁の向こう、森は黒く沈んでいるが、

無数の何かが森から飛んで来ているのがわかる。


すぐに編成が組む。


「魔法使いは外壁後方に展開!

剣士は前線にて応戦するぞ!」


「おう!」「しゃあ!」

皆各々気合いを入れている。


最年少の俺が仕切るのは何となく忍びないが

戦場において実力と立場は比例するものだ。


二十人。少し心もとない。


俺とヴェル。そしてリヒトが居ればなんとかなる。


「本気のやつ。だな」


リヒトが低く呟く。


「ええ。久しぶりに腕が鳴るわね」



俺とヴェルを最前線に森へと駆け出す。


狼型の魔獣が飛び出してきた。続いて空を裂く羽音。鳥型の魔獣が群れで旋回する。

空は影と火で覆われた。


「さすがリヒトだな。俺も」


刃を魔獣の首へ走らせ、魔獣を倒す。


---


人の声と鎧が擦れる音が鮮明に聞こえ出す。


「……終わりか?」


汗が頬をつたい、ふぅ、と一息つく。


俺は足元の魔獣をふと見る。


死体が、ちり、と音もなく崩れていた。


灰のように消え、紫色の液溜まりが残っていた。


リアカーに残っていたのと同じだ。


「……は?」


辺りを見渡す。

死体がどこにもない。変わりに液溜まりがあるだけで。


嫌な予感がする。

背中から冷たい何かを感じた。


後ろを振り向く。

森の暗闇の中に何かがいた気がする。


考えるより先に走り出していた。


「エリオ!」


ヴェルの声が聞こえた気がする。



木々を抜けた先。

少し開けた、星明かりが射し込むところに何かがこちらを見ていた。


背が高く二本角、若い顔立ちで青い瞳。

黒と紫が混じる癖のある髪。簡素なローブ。

腰には剣。


魔族だ。


走るのを辞め両手で剣を持ち構える。


魔族のローブの中から魔獣が三体出てきた。


気づいた時には間合いが潰れていた。

正面と、斜め前からの3方向。


正面の魔物を縦に両断した。


でも間に合わない。

魔獣の呼吸が耳元にある。


ーー死。


「ファイア!」


「間一髪、ね!エリオ」


魔獣は一方は首を切られ、一方は焦げて倒れる。


冷めた顔から汗を拭う。


「助かった。ありがとう」


「ん、でも感謝は、まだ早かったみたいね...」


魔族は右手で剣を抜いていた。


「行くぞ!」


正面から切りかける。が軽く受けられた。


隙をヴェルが突く。


魔族の腕に傷を付ける。


「ファイアーラップ!」


リヒトの声に合わせ俺はヴェルの方をみる。目が合う。


一気に畳み掛ける。



剣が魔族の首に差し掛かるとき、

魔族の顔が裂け、舌が光を帯びていた。


瞬間、吹き飛ばされ、

背中に痛みが走る。

痛みと痺れが身体を襲う。


起き上がり剣を構える。


「不快なり」


剣を左手に持ち、右手をこちらに伸ばしていた。

見開かれたその目は、

紫色の瞳に変わっていた。

紫のオーラが右手を覆う。


「吸芯」


瞬間、伸びた線が胸に突き刺さる。

が何も起きない。


「……なかなか」


魔族が呟いていた。


一本、線が伸びたままだ。


俺は横を見る。


ヴェルは変わりは無い。


リヒトは。


「え」


身体をピンと張りながら痙攣し

か細い呻き声を上げていた。

紫のオーラが全身を覆っている。


「リヒト!」


すぐに駆け寄る。

反応は帰ってこない。


キッと、奴を睨む。


奴の剣先は俺の喉元を指していた。


刹那、目の前にいた。


鈍く脳に響く音。

背が木にぶつかる。


身体の先々が寒い。

目の奥が揺れる。目が霞む。


力を振り絞り右腕を振り回す。

奴は剣を抜き、離れた。


寒さと熱さが足へ、頭へと共振する。

突かれた左肩を押さえる事すらも痛い。


逃げたい。


その思考が脳裏をかすめる。


でも。

ダメだ。


リヒトを置いていけない。


また守れない。


それだけは、だめだ。


歯を食いしばり、真っ直ぐ奴に目を向ける。


「...オ。エリオ!」


ヴェルの声。


横にヴェルがいた。

橙色の何かを差し出している。


「これ、食べて」


「な、なに__」


「今は考えてる場合じゃない!」


奴は身体を低く、さっきの体制に入っている。


それを掴む。


「大丈夫」


ヴェルが言う。


噛む。


喉を通る。


視界が――


暗転。


目が、熱くなる。

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