第四十九話
ずーっと、薄暗い森が続く。
この森広すぎやしないか? こんな事ならあのまま遠くに見える巨大な何かを目指して進んでいた方がマシだったな。異世界を自由に旅できると言っても今まで見たのは森と川と山と丘。そろそろ遺跡の一つでも見つけたいところだけど、俺ってそういうのに対する運っていうか感が鈍いのか?
だとしたら門を見つけるのもこのまま行くと当分先になるぞ。
取り合えずこの森から出ない事には始まらない、なんだかしばらく地中の奥深くで活動していたからか暗い所にあまり居たく無い。この森の唯一の不思議なところで、薄暗いけど上を向いても日の光が見えないっていう地味な、俺にとっては嫌がらせに等しいこれはもううんざりだ。
さて、どうするかな。思いっきり走ったりジャンプするのもなんだか疲れるんだよなあ、精神的に。もうめんどくせえから正面吹き飛ばすか、ハハハ、冗談だけど。
俺の邪魔さえしなければ消し飛ばしたりは極力しないように…… やっぱり俺、ちょっと…… いや気のせいか。さすがにちょっと気にし過ぎか、ハハ、はぁ。
トボトボと暗い森を当ても無く進んでいると、足元の感覚が変わる。
うん? なんか地面の感触が何ていうか。というか今気づいたけど木が道になるように無くなっている。
森の中に突如として現れた道に若干困惑しつつも、マンネリ化した空気を解消できると期待して先に進む。
進んで行くほどに地面に生える雑草は少なくなり、凸凹だった地面が平らに近くなっていく。すると先の方に日の光が見える。奥から水が流れる音が聞こえるため川が流れているのだろう。
暗い森を抜けると現れたのは小さなアーチ状の石で出来た橋だった。
橋だ、マジか。てことはこの先に……
俺が乗っても大丈夫かと慎重に体重を掛けながら橋にのったが杞憂に終わった。橋の下を流れる川の勢いは薄く、波が立たないため泳ぐ小魚が見える。
俺は驚愕し橋の上から顔を覗かせ川を眺めた。
マジか! 魚が泳いでる! すげえ、見たことない魚だ!
日の光に当てられ小魚の鱗が虹色に反射して小さいのに煌びやかに主張して、少し眺めているとスーッといつの間にか消えていった。
また何か見れないか、少し川を覗いていると反射する水面に蝶が映り込む。バッと顔を上げ辺りを見るが何も居ない。もう一度水面を見ると確かに飛んでいる。
試しに水面に手を伸ばしても波紋を立てるだけで、別に水の中を泳いでるわけでは無い。
え!? どうなってんのコレ!
水面に映る情報をもとにおそらく飛んでいるであろう場所に何回手を伸ばしても何も触れない。数秒、映り込む蝶を捕まえようとしたが、一向に触れる気配が無いので観念して先に進み始める。
だが、触れなかったと言っても別に不貞腐れたわけでは無く、寧ろワクワクが抑えきれなくなって気持ちが逸っている。
薄暗い森を抜け、橋を渡った先は道は広がり石畳になっていて森の中に続いているがこっちの森は明るく暖かい風が優しく吹いている。グッと背を太陽に向かって伸ばしてしまいそうだ。
俺は思わず走り出す。この先はどうなっているか、何があるのか。
森を抜けた瞬間俺は足を止めた。
現れたのは屋敷だ。それも豪邸の中の豪邸。フィクションの中でしか今まで見たことがなかった屋敷が構えられていた。
森を抜け道がかなり広くなっている。道の左右に芝生が広がっている。ちゃんと管理されているのか綺麗に切り揃えてあるようだ。屋敷の前にデカい噴水、左右に庭園が広がりとてもカラフルでガーデニングに余念がない。
屋敷は当目に見てもかなり大きく四階か五階建てぐらいで、左右対称に横に長く伸びている。もしかしたら奥にも、もっと広いかもしれない。
白色の外壁に薄い赤の屋根、金色に縁どられた窓や扉にその他諸々、屋敷かと思ったが城だと訂正してもいいくらい豪華だ。
すげえ……
こんな大きいなら森に入る前に気付いてもいい気がするんだけどなあ、なんで気付かなかったんだ? ま、とりあえず行ってみるか!
少し進んで屋敷に近づくと、俺は有ることに気付く。
うん? あれって…… 人間!? か?
人間に見える何か、それも結構な数に俺は唖然とした。




