第四十二話 報告書
誰もいないリビングの奥からシャワーを浴びゆっくり風呂に浸かって火照った体を冷ましながら岡田はリビングに入って来た。
表情はどこか明るく上機嫌で何かいいことでもあったのと聞いてしまいそうだ。
年齢に少しそぐわない可愛らしいもこもこのパジャマに身を包んでからノートパソコンを起動しテーブルに置いてあった謎の封筒から一つのUSBを取り出す。
すぐさまノートパソコンにUSBを差し込み中身を確認したところ入っていたのは英語で書かれた文書と動画だ。
岡田はテキストファイルを開き目を通す。書かれていた内容は異世界で行われたとある任務に関する物だった。
「異世界高レベル地域調査概要及び調査実施者の聞き取り調査資料・・・ ふふ、あいつも結構いい仕事するじゃない」
それから岡田は時間を忘れ資料に目を通していく。
・・・
なるほど、内容は理解したけどあちらさん正直かなり運がいい。
マナの境目のズレは生き残った門がいくつかあったからこちらでも確認しているけど、高レベルエリアを貫通するくらい大きくずれた場所なんかそうそう見つかるわけがない。
加えてアメリカ側は自分たち以外が高レベルの調査をできないように小細工している。
なぜならこのマナのズレは段々と元の場所に戻っていることが明らかになっているからだ。だから時間が経てば経つほど自分たちと同じような稀有な場所が無くなっていく。
おそらく、自分らが発見した場所が完全に元に戻ったのを確認してから何かしらの発表があるのだろう。
全くもって無駄でしかない。だがわからんでもない。
異世界は莫大な利益をもたらすが、それ以上に金もかかるということだ。
じゃあその金はどうするか? 手っ取り早いのが借りてくるか出してもらうかだ。じゃあスポンサーたちはどこに貸したり出したりしたい? 答えは単純、最先端を行く奴らに金を出したい。
月の調査や開発と違って異世界は調査すればするほど利益をもたらす。さっき莫大な利益をもたらすと言ったが付け加えるなら先に行けば行くほど金になる。
人類の異世界調査は長年レベル5が越えれず停滞していた。それでも十分な利益を生み出していた矢先にアメリカのレベル6到達とあの映像の発表、スポンサー側が調査の真偽はわからずともこぞって集まるはずだ。
「そう考えるとアイツ、何が『借りは返した』だもっと早くこの資料を送ってきなさいよ! はあ、いけないイライラしても意味が無いわ」
封筒をグシャリと握り潰して投げそうになるもグッと堪えて気持ちを落ち着かせる。
気を取り直して岡田は次の聞き取り調査資料に目を通していく。
・・・
しばらくして資料を読んでいる岡田の表情が強張っていく。
「う、そでしょ」
動揺が隠せず額から冷や汗が一滴流れる。
「推定マナレベル8以上の魔道具を持ち帰るですって・・・」




