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第三十八話 邂逅

何が、何が起きたんだ? いや、()()は一体何なんだ?


サラは一心不乱に駆けている。

レベル4という人類の中でも上位のマナを保有している筈なのに息も絶え絶えになりふり構わずと言った具合だ。


どうしてあんなのと出くわしてしまったのか。考える暇もないが1つ確信しているのは今回の出来事はサラにとって人生で1.2を争う不幸な出来事、と言う事だ。


今はただ、走るしかない。 アレに追いつかれたら、あたしは……






・・・






灰色の森をしばらく進むと前方に見慣れた色使いが見えてきた。


「ようやくか」


あんな光景を目の当たりにしたせいで、だいぶ生きた心地がしなかったぜ。まあこの後来た道を戻らないといけねえんだけどな。


とりあえずどこか休める場所は無いか探そう、ぶっ通しで山と森を越えてきたからさすがに疲れた。



良さげな場所に一旦身を隠し現在の状況を確認する。



向こうの時間にして朝の5時に出発して現在昼の12時半。山を2つ越えて想定がの事態に遭いながらもあの森を抜けたにしては上出来だ。


一応、野営が出来る準備をしてきてるけどこの地域でやったら命がいくつあっても足りない。ここからはさらにペースを速めて目的地に向かって、さっさと任務を終わらそう。


レベル6のエリアの映像を撮らなきゃいけないが、まあ単純な風景映像で十分だろ。そもそもレベル5の調査すらまともに進んでないんだ、石でできた森にあの大怪獣どもを僅かだがあんな間近で撮影したんだ、それだけでもお釣りが来るってもんだ。



休憩をしつつ装備や備品の点検を済ませスキルを起動し素早く移動する。

森の中はすぐに暗くなる、明かりを点けて移動したらすぐに襲われるため、せめてレベル4のエリアには暗くなる前には到達しておきたい。



ん? 



サラはいつの間にか森の終わりに到達していた。青い空に不可思議な空を漂うベール、そして見渡す限り眼下に広がる険しい崖に囲まれた広大な()()()()、そして……



「ア、ハハ……」


どうなってんだ? この森を抜けた瞬間気温が明らかに上がってる…… おいおいマジかよ、イカれてんのかこの世界は!


今まであたし達がせっせこ調査だの探索だのしてたのは異世界の爪の先ぐらいでしかなかったんだ。


この調子じゃ、あたしが通って来たあの森もメデューサとかコカトリスの仕業ってことの方が納得できちまうよ。



目の前に広がる常識では考えられない光景。


空を悠然と飛ぶフィクションでしか見たことのないはずのドラゴンに、眼下のジャングルをまるで雑草のように踏みつけ向こうの山から顔を覗かせる巨大な4足歩行の生物。


事前にカメラを起動しててよかった。あまりの光景にサラはその場で唖然とするしかなかった。



・・・



「ふーっ、何とか落ち着いた」


もう色々と圧倒されてしまって、気を紛らわせるためにその場でしばらく呆然としていた。いつまで見てても飽きない光景だがそろそろ仕事に戻らないとと理性が急かしてくる。



データは十分取れた。何かしらのサンプルを回収したかったが崖が急すぎてとてもじゃないが降りられない。


周り込める場所も見た感じなさそうだし、そろそろ時間も押してきてる。頃合いだ。



帰還する準備をしているまさにその時、眼下のジャングルの方から何かを叩きつけたような轟音が響く。何事かと思い双眼鏡で土煙が舞い上がる場所を確認する。


見えてきたのは虎?のような何か、第一印象は虎だがその背格好が虎とは逸脱している。猫背だが後ろ足で体を支え2足歩行をしてるし、何やら体の周りからバチバチと電気のようなものが走っている。


虎のような何かは何かと相対しているようだ。何と戦っているのかそれを確認すべくサラは双眼鏡を虎もどきの視線の先に向ける。


その瞬間、心臓がギュッと握られたような感覚と共に背中に寒気が走る。


煙の中から現れたのは貧相な手足に靄を纏って全貌が見えない体に何かを羽織っていて、ボウリングのボールの指を入れる穴のような3つの丸い点しかない仮面のような顔。


明らかに異質。異世界の常識で考えてもあまりに逸脱した存在にここに来て何度目か分からないが思わず息を呑む。


魔物だ。サラもこれまで幾度となく魔物と相対しその都度、撃破してきているがアレは…… 


考える間もなく、虎?の体に先ほどよりも強く電気が走り、魔物に襲い掛かる。右腕を思いっ切り振り下ろし落雷のような音が鳴る。


あまりの音と閃光に一瞬顔を背けてから再び見ると、虎?の上半身が魔物の体に取り込まれていた。


下半身ががむしゃらに暴れているが一切気にすることなく体に吸い込まれていく。完全に取り込まれた瞬間、魔物が笑ったような気がした。


点3つの顔のどこに表情があるのか分からないがサラはそう感じた。


とにかく任務は完了した。


そう思い双眼鏡をしまい振り返ると……

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