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第二十八話

 木漏れ日の射さない深く暗く静かな森。辺りは神秘的な空気が漂っているが生き物どころか虫一匹の気配すら無い。


 この森は数日前まであらゆる強力な魔獣が群雄割拠している地域だった。レベルという人間の作った尺度では到底計り知れない場所だったが、ある一匹の得体のしれない化け物が現れたことによりこの森はその一匹を除いて全ての魔獣が消え去った。


 なぜこの化け物は突然ここに現れたのか、それは……






 ・・・






 ふぁあああ、良く寝た。


 いやーまさか生きてるうちに地べたで寝るのに慣れる日が来るとは思わなかったなあ。


 朝露で濡れる地面の上でぐーっと体を伸ばす。丸めていた体を思いっ切り伸ばした反動で思わず『ぐおおおお』という唸り声のようなものが漏れてしまう。


 遺跡の時と違ってここでは俺に絡んでくる輩が一切いないため、俺は安心して休むことができる。この体は睡眠とか食事は必要ないんだが、俺自身がなんとなく欲しているため日が落ちれば今もこうして寝ているし、なんとなく人間の時の食べ物に似ている物があれば口にしている。


 こんな見た目になっても一応人間だった時の習慣を出来るだけ崩さないように生活しているわけだ。


 取り合えず水浴びでもするか、ホントは温かいシャワーを浴びたいんだけど。

 えっと川はどっちに行くんだったか。


 重い体を起こして俺は深く息を吸って新鮮な空気を体に入れノソノソと動き出す。


 遺跡の真っ暗闇と陰鬱な雰囲気と違って地上は歩いてるだけで気持ちがいい。暖かい日の光や心地よい風、何より空気が違う!


 森に少しずつ日差しが差し込んで俺の体が照らされ、デカく鋭い骨と皮だけに見えてどこか肉厚な化け物が姿を現す。


 なんとなくで歩いていたがちゃんと川に辿り着けたので、さっそく川に思い切りダイブする。


 水の中でも視界はクリアに映るため、しばらくの間水の中を覗いている。数分間ボーっと眺めいているが生き物の気配が全く無い。


 ここに来た時も思ったけど俺以外何もいないな。別に俺は探知のスキルを持っているわけじゃないからホントにいないかどうかは分からないけど虫や鳥みたいなそこら中にいてもおかしくない生き物も見えない、まあ変に絡んで来ないからいいんだけど。


 川から上がって適当に体を乾かした後、川下に向かって進み始める。理由は単純、この先がどうなっているか気になったからだ。


 俺は元の世界にいる親友に俺は無事だって事とこっちで上手くやって行けそうだって事を伝えるのが当面の目標だ。だけど……


 何処に行けばいいかさっぱりわかんねぇ。


 右か左か、前か後ろかどっちに進めば元の世界に繋がる(ゲート)があるかわからないため俺はこうして適当に思いついた方に進んでいるというわけだ。


 そんなことを暫く続けて幾星霜…… 出発してから1週間くらいだけど。


 それに問題は門だけではない。


 もし今俺が門を見つけたとしても近づいたら大混乱を引き起こすこと間違いない。どうにかして騒ぎを起こさずに俺のメッセージを伝える必要があるが、その方法もまだ思いつかない。


 そもそもそんなリスクを冒してまでメッセージを伝える必要があるのかと思うが、なんとなく、ホントに直感でしかないがあいつは…… 俺の事を探してる気がする。


 だけどこんな所まであいつが来るのは不可能だ、だから俺はどうにかして門を見つけなくちゃいけないんだが、いや案外俺の気のせいで俺の事なんか忘れて普通に過ごしてるかもな、ハハハ。


 アイツ元気にしてっかなー


 あ、そういえば遺跡の奴らも元気にしてるかなあ。クラゲちゃんなんて俺が出発するのを相当嫌がってたしな、今頃俺が居なくて寂しがってるのかなあ。


 あの戦いの後なんだかんだ民族少年にも懐かれてクラゲちゃんと三人とピーちゃんの一匹でしばらくあの地域を見て回ってたんだ。まあ、ほとんど白い砂に変わって砂漠みたいになっちゃったんだけど。何処へ行くのにも俺の傍について来てたんだが。


 俺は今回の旅にはクラゲちゃんを連れてこなかった、というか連れてこれなかった。あそこの連中はあの地域を囲む巨大な断崖の壁の向こう側に行きたがらなかった。


 おそらくあの断崖がマナの境目、もっと言うと断崖の外側が内側よりマナレベルが低いからだと思う。詳しい事は分かってないが異世界の生物はマナレベルの高いところに行くのは問題ないが、低いところに行くのはどういうわけか本能で避けているらしい。


 何かしらの要因、例えば獲物を追いかけるもしくは追われるといったことからレベルが低いエリアに入り込むことがあるが、それでも長時間は居座らないらしい。


 俺は特にそういうのは感じないから普通にエリアの境目を通過できたんだが。


 そのせいで俺は一人寂しく旅をしているというわけだ。それなりの時間を一緒に過ごしていたから、いざいなくなると結構寂しい。


 遺跡を抜けれたのもクラゲちゃんがいたからと言っても過言じゃない。まあ、帰りたくなったらいつでもクラゲちゃんの元に帰れるからいいんだけど。


 俺はスキルの実験も兼ねてクラゲちゃんにとある物を渡した。


 それは、生成スキルで作った俺の体だ。体と言っても等身大の物を渡したわけじゃなく両手に収まる位の綺麗な立方体の肌触りサラサラのキューブをクラゲちゃんに持たせてある。


 キューブにはスキルで俺にキューブの位置を伝えるように暗示をかけてある。

 正直肌触りがいいだけのキューブがどうやって俺に居場所を伝えるのか疑問だったけど暗示をかけられたキューブは俺に対しマナの信号を常に発していてなんとかなった。


 これで俺はいつ何処に居てもクラゲちゃんの場所がわかるというわけだ。


 もし俺の目的が果たせられなくても帰る場所があるっていうのはなんだかんだ心に余裕を持たせてくれる。


 なんだか、しんみりしちゃったな。


 まあなんにせよ門を見つけるのもそうだけどまずはスキルの検証とかこの体のまだまだ隠された力とかを解き明かして、あいつに密かにメッセージを伝える方法を考えよう。


 時間はまだまだあるんだから。

1000文字くらいで投稿して頻度上げたほうがいいのかなと思ったり思わなかったり。

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