第18話 サンタはこの世にいないんだ
「どうしたんだよ!」
「おい、どうしたんだレオン!」
「メラ!一旦先生を呼んでくれないか。」
「え…了解。」
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「先生、連れてきたよ!」
「先生、ラウスが…」
「一旦保健室に行こう。」
「はい。」
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ここは…どこだ?
俺はどうなった。
レオンにメラがやられて…その後どうなった?
ここは…下の地面が柔らかい雲で出来ている。
「!!」
「ようこそ…」
まるで見た目が神!神様なのだ!
つまり…ここは天国?
「俺は…死んだんですか?」
「いや、君はまだ生きている。一旦伝えたいことがあってね。」
「いきなり衝撃的な事を言うと、私は神だ。」
「はい。知ってます。」
「んな…知ってたか。」
「私にも事情があってね…君には今日この時間帯に一旦ここで暮らしてもらう。」
「つまり…向こうでは死んでるってこと…」
「そうだ。」
「今日、GIFTを子どもたちに入れる儀式があるらしいんですけど…」
「ああ、そうだな。それも観られない。」
「えっ…そんな…見たかったのにな…」
「フッ…じゃあ戻してやろう!」
急に人格が変わった!?
神様ってこういうものなのか…
まあ戻してもらえるならいいや。
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「チョロいな。神なんて。」
「明日は復活…楽しみだなぁ!」
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ここは現実…だよな?
「おい、ラウス!」
「起きたか!無理させて済まんな。」
レオンだ。
「いや、もういいよ。」
結局、俺がなんで倒れたのかは謎だった。
でも、時間は十分しかたってないようだ。まだ午後6時。
「いつもは夜12時ぴったりに光線が降り注ぐんだぜ。」
「そうなんだ。」
メラの情報はいつも正しいから信用できる。
「ところで、バトルロイヤルはどうなったんだ?」
「お前が倒れたから終わったよ。すまん、俺のせいだ。」
「もういいって言ってるだろ。」
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俺たちは、カードゲームなどをして夜12時まで遊んだ。
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「おい、起きろよ。」
「メラ、どうした?」
いつの間にか寝ていたようだ。
「あと5分で始まるぞ。」
「何が?」
「何がって…そりゃあクリスマスプレゼントお渡しのお時間だよ。」
「まじかよ!もうそんな時間か…」
「あと10秒だ!」
メラが言う。
「10…9…8…7…6…5…4…3…2…1!」
「0!!!」
その瞬間、緑色の光線が………降り注がなかった。
「あれ?俺の数え間違いか?」
「いや、もう12時1分だ。」
レオンの冷静な指摘。
「今年は降り注がない…とか、そんなことってあるのか?」
たしかに。俺もそう思った。
「お前、今まで生きてきてわかるだろ。そんなこと」
「レオン、お前辛辣だな。」
ハハハ…
メラの言葉に3人で笑い合っていた。
「おい、笑ってる場合じゃない。これは異例の出来事だ。」
「とりあえず、テレビでもつけて、他のところの状況を確認しよう!!」
メラの言う通りである。
テレビをつけると、緊急ニュースとして取り上げられていた。
「このテレビを見る限り、俺たちにできることはない。」
「今日はメラもラウスも俺も、寝た方が良い。」
「「そうだな。」」
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そうやって俺達は眠りについた。
怖くてテレビをつけていたので、寝る時にこんなアナウンサーの声が聞こえた。
「サンタクロースはこの世にいなくなってしまったのでしょうか?」
俺は妙にその声が耳に残った。