表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

第9話:「“これって恋?”って聞いたら、“もう答え知ってるでしょ”って返された話」

 日曜の昼。今日はルナと駅前の商店街で待ち合わせをしている。

 私は、約束の時間より3分早く着いた。

 これは偶然ではない。計算の産物である。


 というのも、遅れるのは恥ずかしいし、ピッタリだと楽しみにしてたって思われそうで、それはそれで照れくさい。

 だから3分前。ギリギリ“自然に見える意識”のライン。


 ……だが。


 「おはよう、ほのか」

 「うわっ、もういる!!」


 白鷺ルナ。すでに立ってた。髪も服も、昨日より少し柔らかめのスタイル。

 なんか……かわいい。

 いや違う、いつもかわいいけど、今日はなんかこう、やわらかくて、近い。


待ち合わせた私たちは、商店街にある雑貨屋をのぞいた。


 「これ、かわいくない?」


 白鷺ルナが指さしたのは、ペアになったぬいぐるみ。

 ウサギとネコが寄り添って並んでる。


 「名前が『ぴったりふたり』って書いてあるのがちょっと引っかかる……」

 「でも、なんか私たちに似てない?」

 「……そういうこと言うな!!バグる!!思考が!!」


 雑貨屋を出ると、なんとなくそのまま川沿いを歩いた。

 ルナはいつも通り静かに、でもたまにこっちを見ては少しだけ笑う。


 風が少し強く吹いて、ルナの髪がなびいた瞬間、私はふと口を開いた。


 「……ねぇ」

 「うん?」

 「……私たちって、さ。こうしてるの、なんなんだろうね」


 ルナはちょっとだけ立ち止まって、私の顔を見た。


 「どういう意味?」

 「なんというか……その、これって、友達……なのかなっていうか、いや、別にそれ以外って決めつけてるわけじゃないけど……」


 言ってることが自分でも支離滅裂だと思った。

 でも、止められなかった。


 「私、ルナのこと……なんか、こう、普通じゃないなって思ってて、最近とくに変で、心臓とか顔とか色々うるさくて……」


 ルナは何も言わずに、でも、目だけはじっとこっちを見ていた。


 「……たぶん」

 「うん」

 「たぶんだけど、好き……だと思う」


 言葉にしてから、無性に照れくさくなって視線を逸らした。


 ルナは、それでもふっと小さく笑って――

 すぐに、いつものように私の手を取った。


 「ねぇ、ほのか」

 「な、なに」

 「“思う”って言ったけど……たぶんじゃなくて、けっこう確信あるでしょ?」

 「う、うるさいな!!言わせんな!!まだそこまでは……わかんないし!!」


> 【通知】

自覚進行率:99.9%

“確信”までは、あと少し。


 でも、手は自然に繋いでた。

 引っ張るでもなく、握りしめるでもなく、ただ――当たり前のように。


 私はまだ、恋ってものをよく知らない。

 でも、ルナの手が温かいってことだけは、ちゃんとわかってる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ