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空前絶後、前代未聞の同時多発テロ事件

「部室タコ火星人事件」以来、私たちは、白金しろかね先生と協力しながら、安田の監視を継続した。

 その甲斐あってか、何事もないまま文化祭も無事終了し、季節は晩秋を迎えていた。


 余談になるが、文化祭では「古墳時代の郷土」と題して学校近辺の古墳の分布についての発表をした。発表の目玉は「神楽坂弥生の実家の稲荷神社が古墳の上に建てられていた」という新発見だったが、こんなことに興味を持つ生徒が我が校にいるはずもない。実際展示会場の教室は期間中閑古鳥が鳴きまくっていたのだが、意外にも市の教育委員会からお褒めの言葉とともに神社の発掘調査をしてみたいという申し出があった。

 取り込み中でもあったし、例のオーパーツのこともあったので、弥生と相談して、発掘調査の方は丁寧にお断りをした。


「このまま何も起きなければいいよね。ようし、この調子で今週も安田の監視、頑張るぞ!」

 意気上がる私たちをしり目に、アリッサは何か言いたげに暗い顔をしていた。



 そして事件は起きてしまった。


 東急東横線、東急田園都市線、小田急線の首都圏の私鉄幹線三線の多摩川にかかる鉄橋が同時に爆破されてしまったのだ。日本では前代未聞の同時多発テロだった。

 爆破が始発電車が走り出す前の時間だったため、不幸中の幸いで死傷者こそなかったが、復旧までには早くとも数か月、おそらくは一年近くの時間を要する見込みで、首都圏の交通は大混乱となった。


 それ以上に、テロの恐怖に日本中が震撼した。

 警察の懸命の捜査で実行犯は特定され、過激派の活動家が全国に指名手配されたが、爆弾の出どころは杳としてわからなかった。

 同じ爆弾が、始発前の交通インフラにではなく、都会の真ん中の人の集まる場所で使用されたら、多数の死傷者が出ることは火を見るより明らかだ。

 

爆発物の入手経路をなかなか発見できない警察に対する非難の声が高まり、マスコミの報道がそれを煽った。


 警察はテロ防止のため首都圏に厳戒態勢を敷き、かつ人手の多いところへの外出の自粛を呼びかけた。結果、あのパンデミックによる緊急事態宣言の時のようにたちまち街から人が消え、経済は停滞した。

 

 爆破された小田急線の鉄橋が私たちの学園の近くだったため、事件当日から学校は臨時休校となった。

 白金しろかね先生、アリッサ、神楽坂弥生かぐらざかやよい、私・久我姫乃くがひめの蔵王権太郎ざおうごんたろうを加えた五名が宇宙そらくんのマンションを訪れ、緊急作戦会議を行った。


 アリッサは、このテロ事件が起きることを知っていたんだよね。


「うん、ごめんね。禁則事項なので言えなかった。私たちの時代では、今回の事件は11・27同時多発テロ事件として認識されているわ」


 もしかして、またテロが起きるの?


「ううん、私が知っている大規模テロ事件はこれだけ。もしまた大規模なテロが起きたら、その時は未来が改変され、私たちのいる社会や、私自身も消えてしまうかもしれないわね」


 白金しろかね先生がいら立って、ドンと机をたたいた。

「それにしても、安田は完全に私たちの監視下だったし、過激派のアジトにも何度もガサ入れして、でも爆弾なんて影も形もなかったのに。あんな爆弾、どうやって調達したのよ!」


 

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