表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/32

幕間:ヒューマノイド vs ヒューマノイド

 喜屋武宇宙きゃんそらは、姫乃たちが襲われた場所で空間のゆがみを観測した。ちょうど、安田が結界を解き、姿を現したところだった。

 安田に向かって喜屋武きゃんが全力で飛び蹴りを食らわせると、安田は10メートルほど吹き飛んで木の幹に激突した。


「いてて、いきなり教師を蹴り飛ばすなんて、乱暴な奴だな」

 安田が少し引きつっていたにやにや笑いを浮かべて立ち上がった。

「そういえばアリッサは時間航行者だったな。まさか久我を連れてタイムワープできるとは思わなかった。失敗しちまったぜ」

 

 喜屋武きゃんがファイティングポーズを取ると、安田が両手を小さく上にあげて降参のポーズを取った。

「俺は頭脳派だからな、腕っぷしではお前にはとてもかなわない。それより、クラス全員に指令を出したぜ。アリッサと久我を袋叩きにしろってな。俺なんか放っておいて、そっちを助けに行かなくてもいいのか」


 行ったところで、クラスメートをヒューマノイドの力でぶっ飛ばすわけにはいかない。それに安田を機能停止させれば、クラスメートにかかった術式は解除できる。

「行かない。姫乃ひめのならきっと自分で何とかする」


 対峙する二人を安田の結界が囲んだ。

「それならば、奴らが姫乃とアリッサを殺すまで、お前をここに閉じ込めておくさ。俺には自爆装置がついている。二人の死が確認できたら、お前も俺と道連れでジ・エンドさ」


 結界全体が安田のチェシャ猫のようなにやにや笑いで満たされ、繰り出される安田のパンチに、なすすべなく喜屋武きゃんが殴り倒される。

「おい、どうした。諦めたのか。さすがに俺様特製の結界の中では、お前も無力ってか?」


 数分後、サンドバックのように殴られ続けた喜屋武きゃんがつぶやいた。

「解析終了」


「終了するのは、喜屋武きゃん、お前の方だぜ」

 と言ったその瞬間、二人を覆っていた結界が霧となって消えた。


「なっ!」

「解除プログラムを作動させた」


「なるほど、そんなことを。道理で、俺に殴られっぱなしだったわけだ。暴力専門かと思ったら、意外といろんなことができるんだな。俺の上位互換機種ってところか」


 そうつぶやくと自爆装置を起動させた安田を、一瞬早く喜屋武きゃんの結界が包み込んだ。

 

 結界の中で何かが爆ぜるくぐもった音がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ