幕間:メグちゃんの独白
私は風華学園高等部一年一組の落合恵、先輩や友達からは、名前そのままにメグちゃんと呼ばれている。
私は歴史部という部活に所属している。部員は五名、一年生は私だけで、後の四名は二年生だ。
はっきり言ってこれといった活動はしていない。一見泡沫の文化部の様で、実際そのとおりなんだけど、でも、先輩たちのキャラがとても濃い。
まずは、アリッサ・セントメリー先輩。米国からの転校生で金髪美女、そしてとんでもないダイナマイトボディの持ち主だ。
神楽坂弥生先輩、神社の娘で巫女装束が似合いそうな和風美人である。
そして何といっても喜屋武宇宙先輩、紅顔の美少年ながら腕っぷしもめっぽう強い。
私が不良学生に絡まれたときも、すぐに駆け付けてきてくれて、あっという間に四人を倒して私を助けてくれた。
あの瞬間、私は、恋に落ちたのだった。喜屋武先輩、大好き。
そんな個性豊かな歴史部をまとめている部長が久我姫乃部長。成績は学年でもトップクラスの才媛で空手の有段者でもある。
でも、私は、最近、歴史部の先輩たちに、不満に思っていることがある。
私を仲間外れにして、四人でこそこそ何かをやっているのだ。部活は月曜と木曜日の放課後だが、それ以外の日や、休みの日に四人で集まっているのを私は知っている。
先日、アリッサ先輩が地元の不良どもとトラブルを起こした時も、危ないからって私を置いてきぼりにして、無事解決したみたいだけど、聞いても言葉を濁して何も教えてもらえなくて。
それにどうみてもめちゃめちゃヤバそうな、首に刺青をした相手の親玉の大男と、いつの間にか仲良くなっているし。
文化祭の件だってそうだ。神楽坂先輩の神社を調べてみようってみんなで決めて、実際に、あの夏のくそ暑い中で調査だってしたのに、いつの間にか「別のテーマにする」ってことになっている。
私をハブにする理由は分かっている。喜屋武先輩だ。
私の喜屋武先輩に対する気持ちは先輩方も知っている。私の初めてをあげる宣言までして、諸先輩たちをけん制したから。
アリッサ先輩と喜屋武先輩は付き合っているという噂がある。もうできているとか、お互い下の毛を剃り合っているとか。
でもそれは嘘、そばで見ていれば、あの二人がそんな関係ではないのは分かる
ただしあのダイナマイトボディで迫られたらと思うと、油断はならない。
それより、久我部長だ、クラスも同じ、宇宙くんなんて下の名前で呼んでるし、本人が自覚しているかどうかは別として、あの喜屋武先輩を見る目は間違いなく恋する乙女の目だ。
三角関係? この三人のことは、彼らの担任の安田先生も気にしているようで、昨日いきなり声をかけられて、部活での三人の様子をいろいろと聞かれてしまった。
まだどちらとも付き合っているわけではない。少なくとも、先生が心配するような、身体の関係? そういうのではないと説明しておいたけど。
だって、先輩とそういう関係になるのは、この私だもの。きゃっ。