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真夜中の告白

いよいよスキー旅行編の幕開けです!普段とは違う環境で、結城と奈々、そして周囲の仲間たちがどのようなドラマを紡ぐのか。その中で奈々が感じる結城への想い、そして結城が奈々に抱く特別な感情が少しずつ明らかになっていきます。雪に覆われたゲレンデという舞台で、二人の関係はどんな変化を迎えるのか?お楽しみください。

スキー旅行の日がやってきた。奈々、美咲、翔太、そして結城の四人は、雪に覆われた山々に囲まれたスキー場に到着した。朝早くからバスで移動し、宿泊先のロッジに荷物を置くと、さっそくゲレンデに繰り出した。


「奈々、ちゃんとスキーできるの?」


翔太がからかうように聞くと、奈々は少しムッとした顔で答えた。


「子どもの頃に何回かやったことあるもん。たぶん覚えてる!」


「それが一番危ないパターンだぞ。」


結城が微笑みながら言うと、奈々はさらに拗ねた顔を見せる。


「じゃあ、結城が教えてよ。」


その一言に一瞬場が静まり、美咲が「おー」と意味深な声を上げた。


「それなら私と翔太は別のコース行くね!」


美咲は翔太を引っ張って、二人で先に滑り始めた。奈々と結城は、初心者用の緩やかなコースに向かった。


「じゃあ、まず足の使い方から。スキー板をハの字にして…そうそう。」


結城は丁寧に教えながら奈々の姿勢を直していった。最初はぎこちなかった奈々も、少しずつ滑れるようになっていく。


「ほら、できたじゃん。」


「うん、でも怖いよ!」


結城の隣で慎重に滑る奈々は、しっかりと彼の腕を掴んでいた。その様子に結城は小さく笑いながら言った。


「怖がらなくていい。俺がいるから。」


その言葉に奈々の顔が赤くなる。


夕方、スキーを終えてロッジに戻った四人は、食堂で夕食を楽しんだ。温かい鍋料理が体を芯から温め、みんなの笑顔が絶えない時間だった。しかし、奈々はどこか落ち着かない様子で、食事の途中で席を立った。


「ちょっと外の空気吸ってくる。」


そう言って外に出た奈々を見て、結城も立ち上がる。


「俺も行くよ。」


外は澄み切った冷たい空気が広がり、満天の星空が二人を包み込んでいた。奈々はロッジの前に立ち尽くし、結城が近づいてくるのを感じる。


「どうした?」


「なんでもない。ただ、少しだけ考え事をしてた。」


結城は奈々の隣に立ち、静かに星空を見上げた。


「綺麗だな。」


「うん…そうだね。」


しばらく無言の時間が流れる中、奈々は意を決したように口を開いた。


「結城、私…」


言いかけた瞬間、近くの木の枝に積もった雪が落ちる音がして、奈々は驚いて言葉を飲み込んだ。結城はクスリと笑いながら言った。


「驚きすぎだろ。」


「だって急だったから!」


照れ隠しに声を荒げる奈々に、結城は優しい目を向ける。


「奈々、言いたいことがあるなら、ちゃんと言えよ。」


その言葉に、奈々は深呼吸をしてもう一度口を開いた。


「結城くんがもし、本当に町を出て行くことになったら…」


声が震えた。その先を続けるべきか迷ったが、結城が優しく頷いてくれるのを見て、勇気を振り絞った。


「私、寂しい。結城がいなくなるなんて考えたくない。」


結城は驚いた顔を見せたが、すぐに柔らかな表情に変わった。


「奈々…ありがとう。そう言ってもらえると、俺も行きたくなくなる。」


その言葉に奈々は少しだけ安心したように笑った。


「だから、もう少し一緒にいさせて。」


「もちろん。」


二人はそのまましばらくの間、夜空を見上げていた。彼らの足元に雪が積もっていくが、その足跡だけは確かに残っていた。

読んでくださり、ありがとうございます!今回は、奈々と結城が二人きりの時間を過ごす中で、お互いの気持ちに少しだけ近づく瞬間を描きました。また、星空の下での会話は、今後の展開に向けた大きな伏線にもなっています。このスキー旅行が二人にとってどんな影響を与えるのか、ぜひ次回もお楽しみに。引き続き応援よろしくお願いします!

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