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消えない記憶と再びの約束

第四話をご覧いただきありがとうございます!


今回のエピソードでは、奈々と結城の距離感がさらに変化していく様子を描きました。冬の街並みとともに、二人の心が少しずつ近づいていく微妙な空気感を感じ取っていただけたら嬉しいです。特に、カフェでのシーンはお互いの心情が交錯する重要な場面なので、ぜひじっくり読んでみてください。


また、この物語のテーマでもある“過去を乗り越える強さ”が少しずつ形になりつつあります。果たして、結城の決意は奈々にどう伝わるのか…お楽しみに!

冬が近づき、街はイルミネーションで彩られていた。街角のツリーや通りに響くクリスマスソングは、どこか心をざわつかせる。


「奈々、ちょっと寄り道してもいいか?」


放課後、駅へ向かう途中で結城が声をかけてきた。


「また話したいこと?」


「まあ、そんなところかな。」


彼の笑顔はいつも通りだが、その瞳の奥には何か思いつめたような色が見える。私は内心ため息をつきながらも、頷いた。


二人で向かったのは、商店街の端にある小さなカフェだった。木製のテーブルと椅子、壁に飾られた写真がどこか懐かしい雰囲気を醸し出している。


「ここ、知ってた?」


「昔、一度だけ家族と来たことがある。」


「そうなんだ。俺も中学の時に部活の仲間と来たんだ。ここのホットチョコレート、すごく美味しいんだよ。」


「……おすすめってこと?」


「そうそう。一杯、奢るから飲んでみろよ。」


注文を済ませた後、二人の間に静かな時間が流れる。窓の外では子どもたちがツリーの前ではしゃいでいる。


「なあ、奈々。」


「何?」


「俺、お前に話しておきたいことがある。」


「また真剣な話?」


彼が何を言いたいのか、少しだけ予感がした。


彼の告白は、過去の自分を振り返るものだった。中学の頃、彼がいじめを目撃しながらも何もできなかったこと。大切な人たちに甘え、逃げていた自分。そして奈々との関係も、その一部だったこと。


「……俺は、あの時もっと強くなるべきだった。」


「そんなこと言われても、私はどう返事していいか分からない。」


「ただ、謝りたかったんだ。それに、これからはもう逃げないって決めた。」


彼の視線は真っ直ぐで、揺るがない意志が感じられる。


「じゃあ、今度は逃げないでよね。」


「……ああ。」


カフェを出た後、結城は少し躊躇いながら言った。


「これからも、こうして話せたらいいな。」


その言葉はまるで新しい約束のようだった。胸の奥で、何かがゆっくりと動き出すのを感じる。


帰り道、ふと足を止めた。冬の冷たい風が頬を撫でる中、あの時の彼の表情が何度も思い出される。


(本当に、変わったのかな。)


かつて抱いた彼への怒りや悲しみは、今では少しずつ別の感情に変わりつつある。けれど、それが何なのかを理解するには、もう少し時間が必要だった。


翌日、彼が再び声をかけてきた。


「今度の日曜、少し付き合ってくれないか?」


「また話したいこと?」


「まあ、そんなところ。でも今度はもっと楽しい話をするよ。」


彼の笑顔に、つい頷いてしまう自分がいた。これからどんな未来が待っているのか、それはまだ分からない。


だけど、彼と一緒にいる時間が少しずつ特別なものになりつつあることを、私は感じていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


この第四話では、結城が自分の過去と向き合い、奈々にそれを告白するシーンが中心となりました。彼が抱えていた後悔や決意を通して、少しずつ成長していく姿を描きたかったのですが、伝わりましたでしょうか?


物語の進行とともに、二人の関係もより深みを増していきます。次回以降は、彼らがどのように未来を切り開いていくのかを、さらに丁寧に描いていきたいと思います。


感想やご意見など、お気軽にお聞かせください!次のエピソードもお楽しみに!

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