揺れる心と放課後の秘密
読者の皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます!今回の第三話では、主人公たちの関係がまた一歩進むような、ドキドキと切なさが交差するシーンをお届けします。それぞれが抱える感情と、それをどう乗り越えていくのかに注目してください。そして、夕暮れの公園での二人の会話には、過去と現在が繋がる瞬間が詰まっています。どうぞ最後までお楽しみください!
放課後の教室には、静かな夕陽が差し込んでいた。
「相川、ちょっといいか?」
結城涼が私に声をかけてきたのは、掃除当番を終えた直後だった。教室には他の生徒もいなくて、なんだか妙に緊張する。
「何よ?」
ぶっきらぼうに返事をしつつも、彼の表情がどこか真剣そうで、心臓が不規則に跳ねるのを感じた。
「部活終わった後、少しだけ時間くれないか。」
「……また謝るとか?」
「いや、そうじゃない。ちょっと話したいことがあって。」
話したいこと?それだけで妙に気になる。彼の声には、普段の軽い雰囲気とは違う何かが混ざっていた。
「別にいいけど。」
私がそう答えると、彼は少しほっとしたように笑った。
部活が終わり、校門を出ると、結城がすでに待っていた。夕陽に照らされる彼の姿が妙に絵になっていて、思わず視線を逸らす。
「で、話って何?」
「その前にちょっと散歩しないか。」
「散歩?」
「まあ、ついてこいよ。」
彼に促されるまま、私は近くの公園へ向かった。夕暮れの公園は人影もまばらで、どこか落ち着いた雰囲気が漂っている。
「中学の時、お前がここ好きだったよな。」
「えっ?」
唐突な言葉に驚いて彼を見る。
「昼休みによくここで本読んでたの、覚えてる。」
「なんでそんなこと……覚えてるの?」
「お前のこと、意外と見てたんだよ。」
結城の視線が真っ直ぐにこちらを向いていて、何も言い返せなくなる。その言葉は冗談ではなく、本気に聞こえた。
「でもさ、俺、あの時お前にちゃんと向き合えなかった。」
「……その話、まだ続くの?」
「これで最後にする。」
彼の声は静かだけど、強い決意が込められているようだった。
「相川、あの時の俺はガキだった。お前が真剣に俺に向き合ってくれたのに、怖くて逃げたんだ。」
その言葉に、胸の奥にしまっていた感情がじわりと蘇る。
「……別にいいよ。昔のことだし。」
「でも、俺はもう逃げない。お前がどう思ってるか、ちゃんと知りたい。」
夕陽の中、彼の瞳が揺れているのが分かった。その真剣な表情に、心臓が跳ねる音がさらに大きくなる。
「……なんで急にそんなこと言うの。」
「急じゃない。ずっと思ってたことだから。」
言葉を失ったまま、私は彼から目を逸らした。こんな展開、予想していなかった。
「答えはすぐじゃなくていい。ちゃんと考えてくれ。」
「……分かった。」
その返事が精一杯だった。
帰り道、一人になった私は頭の中がぐるぐるしていた。結城の言葉が何度も繰り返し思い出される。
(あの時の結城がそんなこと思ってたなんて、知らなかった。)
胸の中で、あの平行線だったはずの気持ちが少しずつ揺れ始めているのを感じる。
だけど、この感情がどこに向かうのかは、まだ分からなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!第三話では、結城の意外な一面や、奈々の揺れる心情に焦点を当ててみました。彼らの関係がこれからどう発展していくのか、ぜひ見守っていただけると嬉しいです。
次回はさらにドキドキする展開をお届けする予定ですので、お楽しみに!感想やご意見もお気軽にお寄せください。