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【完結】癒しの巫女と十二神将はいつも腹ペコ三昧  作者: 櫛田こころ


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第79話 百二十年以上前の任





 ★ ☆ ★






『八王』を継ぐ者として、俺はとうとう長になってしまった。


 あの神域にて『刻』を根付かせて、死なぬ身体と魔を混在させた神力とで生きながらえていたが。


『天孫の儀』が一巡の終わりを迎えるまで、俺の相対だった白蓮を狭間にとどめる仕打ちをさせられた。それくらい、俺は神域内でも魅力的な立ち位置なのか。正式な『裏八王』の長になる若造が来るまで、たったひとりを娶ることを許されないことを代償にせねばならなかった。


 それが、この刻よりも百二十年も前。


 皇室から、ただの武官でしかなかった俺にその任を言い渡す意味が……当時はさっぱりわからなかったし、白蓮を娶る手前であったことから怒りすら沸いてきたときもあった。しかし、『八王』の一端で、嫁も娘もいない男は俺しかおらず。


 輪廻の輪をくぐる手前で引き留めることが可能なのは、末端でも俺だけだと今上から告げられれば……受けるしかなかった。そこから、二代くらい変わっただろうが継承はきちんと行われているらしかった。


 だから、俺が久しぶりに皇室の間に呼ばれたときは。なんと、頭を下げられてしまった。



「……今上、それは」

「いいえ、いいえ。我が祖父の代から苦しみを抱えてくださったこと。……感謝いたします」

「しかし、……私はただ神域に居て楔になっていただけ」

「それが一大事なのですよ。正しく娶る奥方を間違えれば、此度以上の災害が起きたでしょう」

「……なるほど」



 陰陽の理を誤ってはいけないことは、『八王』と『裏八王』も同じだったのか。血族とか地位とか関係なしに。今上はあくまで現人神の子孫であっても、実質的に神の血をそのまま引き継いでいるわけではない。


 だが、もう。長く生きていくのは皇室も八王も関係なくしたい。先々代の今上が俺に告げてくださった意味がようやくわかった。現世と常世の間を定めておく必要はあれど。狭間に咲夜と騰蛇を住めるように整えればいいだけのことだった。


 俺ももう、白蓮と契りを成せば普通に老いるし、死も迎える未来がある。そのために、この百二十年をかけて『一代目』のやり直しをしたということか。


 天孫の三兄弟。


 天孫の三姉妹。


 それぞれを正しく、番に成すことも『八王』の長の仕事。天帝ほどではないにしても、力を得たものらしい采配をするくらいの時間はまだまだ長い。仕事は嫌いな方だったが、白蓮とゆっくりのんびり決めていく時間くらいはもらえるだろう。


 そのために、代価として互いに『刻』を差し出したのだから。


「……私はまだ幼い。あなた様にくらべれば、見た目など関係なくずっと。ですから、たまにでも話し相手になってもらえませんか?」

「……この場合、畏れ多いと申した方がいいか」

「小僧ですよ。見た目が老成していても、私なんかでは」

「見た目だけでは、たしかに逆だ」



 そこそこの若造と、そこそこ年老いた者との団欒。普通なら許されない今上と打ち砕けた会話など……あとにも先にも次の八王の長達にしか出来んだろう。いや、先に『裏』を継いだあいつらかもしれんな?

次回は木曜日〜

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