第76話 皇室は彼らを
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幾幾千、彼らは『その時』のために動いていた。
天変地異などかわいいもの。
星の巡りを境に、己の何もかもを失ってもよいと覚悟するも……。
誓約はただひとつ、お互いの番とは必ず出会うものとさせること。
天孫降臨以降に、我ら現人神と謳った彼の帝が記した記録にあるものとされていた。
我らの血族が、濃い血縁で結ばれるのはよろしくないと謳い、それは彼らが請け負うと。
「……八王の長と、裏八王の長が決まったのか」
地割れが止まり、川の氾濫も静まり返った。報告によると、中尉らが行方不明になったと届いても私にはわかる。皇室の『最後』を知る者として、彼らがどこに居てこれからどうなるかを……発表したところで意味がない。
彼らは現世にいるようでいないのだから、この程度に被害を抑えてくれた功績を称える程度しか私には無理だ。いにしえから綴られた『八王』『裏八王』の起源の再来などを、愚かな軍事らの利用にされては再び彼らが引き離されるだけ。
それだけは、あってはならない。
穢しては、もうならないのだ。
腐り切った世をこの程度で留めてくれた恩賞を彼らに贈ったとて、今上帝の私程度など現人神の子孫だけだという血筋しか残っていないだから。
「……そうだろう? 狼王様」
かつて、一度だけでも相見えた隻眼の彼。
彼の呼び名に『王』がある時点で、現世のすべては彼の背にかかっていたのは間違いないのだから。
次回は木曜日〜




