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第55話 まともに仕事






 ★ ☆ ★






 直也を帰したまでは良かった。


 朱音もこちらへと帰ってこさせたが、それがよくなかったかもしれない。


 裏八王の『贄姫』本来が、どうやら動き出してしまったようだ。



「……まだ、貴女の夫となる『相対』は見つけていないんだが」



 直也の『姉』か『妹』のどちらかに贄となる『澱』を募らせて、意識を混ぜ込んで共有させたのが『姫』をいう表層意識でしかない。


 都波に集中させていたのは、あれがもう堕ちていたからだろう。誰も戻れず、誰も幸せになどなれない『穢れの八王』に仕立てて。



「とは言え、言い訳にはならないし。月兎が俺のところに来ても……」



 しばらくは『白蛇』の意識を保ってもらわないと仕事にならん!


 俺の肩布に目の力を宿らせて勇ましく見えさせているが……あれを外せば、ただの『女』に戻ってしまうだけ。胸を患っている箇所はおそらく治っていたとしても……俺の好みに戻ってしまうだけだ!!


 今はその機会ではないので、仕方がないが互いの審神者を通じて執務室の端に『道』を開けさせた。顔を合わせるのも相当久しいが、白蛇としてはどう返答をするか……いささか緊張した。



『狼王か? 久しい逢瀬だな?』



 まだ染み込ませた力が作用しているのか、隻眼以外も蛇の効力が残った顔立ちをしていた。女からでも惚れそうな雰囲気に、苦笑いしか出てこない。



「大事ないか?」

『砂羽のお陰で、随分と穢れも落ちた。私本来のは……流石にこれを外さないとわからないが』

「まだやめてくれ。お前を抱き止める時にして欲しい」

『ははは。兎側の私なら、その方が理想だろうな?』

「で、だが。砂羽とやらのちぃ姫は?」

『背の君のところに行ってしまったよ。であるなら、我々は『夫婦』としての仕事をしなくてはいかんか』

「……そうだな」



 審神者のふたりを返す方法は簡単だが、この土地が崩壊しない保証もない。


 我が主人である、裏八王の本家。直也たちより上に座す『王』と『妃』への土地を再建するには、俺がこの位置から出てはならん。


 現世側の被害を最小限に抑えられているのも、俺の相対である月兎を異界の狭間に置くことで可能にしているだけ。


 しかしながら、ちぃ姫からの穢れを浄化したことで逆流しているのなら……その法則は意味がなくなろうとしていた。



(とは言っても、『白蛇』の力を受けていてあの反応。来ては、くれまいか)




 大恩を優先するのが先なのはお互い様。であれば、することは決まっていた。



「白蛇。『禹歩』をこちらが続けている間……影斬の舞は出来そうか?」

『なんとかするさ。互いに戻るためなら、竜王の名を得るお前しか出来んだろう?』

「……くっ。その力を早めに解放してやるさ」

『……焦るな』

「ああ」



 軸に互いの審神者を守り人として控えさせ。


 屋敷の中ではなく、鵺の道が通りやすい細川がある庭の前で始めることとなった。

次回は木曜日〜

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