表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/67

第51話 その感情は神将らにも

 





 ★ ☆ ★







 伝わってきた。


 我らは、異界にとっては塵芥でしかなかった神の一端。


 形を整え、性のようなものを与えられ。


 使役する術師を巡り、ひとときの流れを得て成長してきた。


 十二の枝分かれ。


 十二は、もともとひとつでしかなかった。


 別れに別れ、力の形となったのは……まだ術師らが自由にたむろしていた雅の裏を支えていた頃か。



「……天一。我らの形も、崩れる時が来そうだな」

「…………そうだね」



 十二が少し減るとしたら、四獣の位置の手前である自分たちだろう。蕩けて流れて、まだ砂羽と顔合わせしていない他の十二神将らの中に戻るのか。


 哀しいがこれで良い。


 また生まれる可能性はいくらでもあるのだから。


 初めて、笑顔を見せてくれた記憶を持って行くだけでいい。


 天一が何よりも欲した、主の帰還を目の当たり出来たのだから。沙霧以上に朱音。ふたり以上に、最後の裏八王の姫に。


 散り散りになった、砂羽の姉の『魂魄』をかき集めるのも天一らの務め。それが異界に揃っていたのならば、元に戻すために動こうか?



「戻るなら、まず朱雀の方かもしれん」

「……うん。だよね、朱雀?」



 いることはとっくにわかっていた。


 泣き続けているのも、とっくに知っていた。どうやら、他の神将が消えたのも受け止めてきたのか。もしくは、玄武らのを見てきたのか。



「……別れてた、俺のかよ」

「我らはひとつの星」

「天一たちは、寄り添う星なの。また離れるときまで……預かって」

「……ああ」



 意識が蕩けていく。異界で保っていた、形すら蕩けてしまう。


 水でなく、炎となり……蕩けたそれは、粒と化して朱雀の口へと運ばれていくんだ。



『……またね、朱雀』



 砂羽の相対を支えてやれるのは、君しかいないんだよ。最強と最恐を整えてあげられる粒は、四獣の位置以外いないと思うんだ。


 裏は闇。


 邪を取り込んで浄化するのは、最恐しか出来ない。


 飲み込まれた時、朱雀の前にもう居たから気づけたんだ。



『『さらば、騰蛇』』



『砂羽』という贄姫と巫女姫を救えるのは、凶将の君しかいないんだよ。


 また別れて、いっしょにご飯食べれるように……主を支えてね?


 沙霧だけじゃなく、砂羽っちや白蛇様を。


 狼王様や朱音たちを。


 昔の桃源郷だった異界を……整えてね?


 我らが兄者の本性よ。



「……受け取った。その、願い。あいつとはきちんと向き合うからな! いっぱい飯、また食えるように保っててくれ!!」



 泣き顔は似合わないのに、情の深い男は好かれるもんね?


 四獣らが奪わないように、我らは楔となろう。だからこそ、一旦退くの……ごめんね、砂羽っち。


 朱雀の嚥下が終わったら、意識はすぐに封じられた。

次回は火曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ