第46話 確証はないものの
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鵺の道が一旦落ち着いたこともあり、俺は支部に戻ったが。
座標を立てておいた、五藤の奴にも呆れ顔をされるくらいに酷い顔をしていたようだ。
「狼王様が無事でいらっしゃったとは別のようだな」
それを読み取れるくらいか。あの水鏡の向こうを見た俺の心情はほとんど落ち着いていないが……こいつならいいかと話すことにした。
「……行方不明の妹が居たかもしれん」
「……どちらにだ? まさか、向こうで??」
「……贄姫に仕立て上げられていた」
「…………都波は八王から追放だな。もし確証となれば、裏本家の筆頭を怒らせたのと同等だ」
「……事情知らなきゃ、なんでもする……か」
「それほどか。では、穢れを逆に清浄させたのは」
「……熊公らも頑張ってくれたが、ほとんど当人らしい」
本気で、あいつなのか。
本気で、俺らは『裏本家』の人間だったのか。
鵺の道を通れる存在とだけの、逸材でしかないのか。
だが、散り散りになった母さんや姉貴の面影はしっかりあった。
生きていたとしたら、たしかにあのくらいの年頃。異界に見出されたのなら、逆に好都合。裏本家再興はともかく、俺が世話になっている『区王』の八王家への仕打ちを……都波には請求する理由にはなった。
どうして、贄姫を仕立てんのがうまいにしてはおかしい気がしたぜ。
一番仕立てると最悪の逸材を、最高なくらいに穢れで染め上げてくれたからなあ?
「皇居にもきちんと報告しておく。木蓮の位置の姫君が贄姫だなんて、最悪極まりない」
「……俺も行く」
「ああ、もちろんだとも」
俺が剣として熊公に見出されたのはなあ?
末席だが、皇室側の人間だからだ。生憎と、八王より上なんで容赦しねぇよ!!
次回は木曜日〜




