第45話 ご飯を今度から
「いいだろう。砂羽は私の娘にしてもいいと思っていたくらいだ。審神者たちには『妹』となって当然」
「「御意」」
白蛇様にご報告された後にですが。私の処遇は、側仕えから審神者様方の『妹』となりました。お仕事は変わりませんが、『家族』と言う輪に入れていただけることになったのです。
白蛇様がおいでと手招きされたので、おずおずとお近くに座ればひょいと抱えられてしまいました。私は本当に小柄なせいで女性にでも、簡単に抱っこが出来るようです。
「狼王にも、近いうちに相対出来るだろう。しかして……我らの悲願、異界と現世の地軸を整えるのは完了したようだ。砂羽に纏わらせていた穢れを利用させてもらったが。今は大事ないか?」
「は、はい! ご飯もたくさんいただいているので」
とここで、なぜかお腹が音を立てました。少し恥ずかしいなりましたが、まだまだ私の体にはご飯がたくさん必要のようです。
どなたも笑いませんでしたが、騰蛇様と朱雀様は一礼してからお部屋を退室されました。
「じゃ、僕が妹にご飯を作ってもいいですか? 朱音は白蛇様の沐浴を手伝ってあげて!」
「相わかった」
「うん。私らの馳走も少しは頼むぞ」
「はい」
「あ、の……お兄様!」
作っていただくのはもちろん嬉しいです。ですが、それ以上に私もお役目をいただけるのであれば……覚えたいのです。いきなり美味しいものは作れませんが、せめて下準備の手伝いだけでもと申し上げれば。
「うん、いいよ? 騰蛇の手伝いとかから覚えようか?」
「! はい!」
騰蛇様のご飯づくりをお手伝い出来る。その提案に、飛びつく勢いで返事をすれば……皆様にはニコニコと、笑っていただけました。お屋敷の厨房に到着すれば、沙霧お兄様が騰蛇様の肩にぽんと手を乗せて。
「騰蛇、期待の新人として……丁重に接するんだよ?」
「……応」
「砂羽は、今日から騰蛇に色々教えてもらって」
「はい!」
「……まずは手を洗うことだ。意気込むことじゃない」
「下っ端ですので、ぞんざいでもいいんですよ?」
「……そんな扱いするかよ」
何か落ち込む言い方をしてしまったでしょうか。
とりあえず、手を洗うついでにと、土汚れの多いお野菜の洗い方から始まりました。
じゃがいも、にんじん。
という作物であることも何も知らない私は、土汚れを綺麗にするのには術を使わずにタワシでゴシゴシするところからです。
術はあとづけ。
まずは基礎、と騰蛇様からしっかり注意を受けたからです。頑張ります!




