上陸休暇後半
(2日目)
みんなで ペンペン観光をした。
案内人は ウマイヤ。付き添いは 花峡谷の若者達。
花峡谷の若者達も 前半組み・後半組と交代で船員達といっしょにペンペン見学をすることにしたのだ。
といっても娯楽施設がないので、図書館や役所や福祉施設や卸売市場・漁港の見学だ。
ペンペンの福祉サービスのいろいろを見た若者達は、
「都会って 個人や核家族で気楽そうだなって思ったけど
なんかあると助けてくれる人がいなくて あっという間に困窮死するのか。
峡谷なら 約束事が多くて面倒だけど、なにがあっても まじめに務めをはたしていれば生活に困ることはないもんなぁ」と思わずつぶやいた
「そのかわり 弱い者が増えると村全体が弱るしんどさはあるよな。」年長者
「竹林省に住んでいると、船乗りまで徴税されるって聞いたけど
その税が こうやって 庶民の暮らしを支える為にきちんと分配されているなら
ここにひっこしてもいいかもな」ある船員がつぶやいた。
「確かに 俺ら船乗りは 船での稼ぎは無税が常識だもんな」ほかの船員
「その分 故郷の家族の稼ぎはがっぽり領主によってもぎとられていくけどさ」船員A
「それが嫌で 一度船乗りになると結婚せずに 雇われ船員を続けるんだよ」船員B
「船乗りの働き口が少ないのが 今までの悩みだったけどな」船員C
◇ ◇
昼食は バッキ―の店で総菜パンを色々食べた。
夜は バッキ―とウマイヤを囲んで、料理談義に花を咲かせた。
というのも、春香お嬢さんやピピ・ララによる創作料理だの、タンタンのレシピ開発だのに3か月近くも付き合わされたおかげで、
天海号の船員達は料理(食べる)と調理(含む食材の仕入れ・保管)への関心が高まっていたのである。
ウマイヤにとっても「船内食」という未知の世界が示されて、好奇心を刺激された。
そして 花峡谷の若者にとっては、長期航海が始まれば、操船能力だけでなく、調理や仕入れなどなど、これまで雑務程度に扱われていた領域に関する技量への需要も出てくるのかと 奮い立つ思いであった。
(3日目)
小人数に分かれてのお買い物&工房見学
上陸休暇前半組の時は、セバス・ウマイヤ・フローラ・ケイタ―に引率される4班に、私やキョーシロー、ピピ・ララ、花峡谷の若者達も分かれて入って 説明を一緒に聞いて回った。
上陸休暇後半組の時には、私・キョーシロー・ピピ・ララ4人が引率者に回って、花峡谷の若者達の一部が引率補助に回ってくれた。
船員達は、置物や掛け軸・絵画など室内装飾や玄関先を飾る物を土産にしていた。
(4日目)
花峡谷の若者達は、朝一番に、休暇前半組が持ち込んだ洗濯物をきれいに仕上げて天海号まで運んで行き、
休暇後半組を馬車に載せてホビット寮までもどって来た。
そこで 前半組と後半組は 船やペンペン・ホビット寮などに関する情報交換を行い
いっしょに昼食をとったり風呂に入った。
この間、船の留守を守ったのは、コチとキョーシローの二人だ。
午後には 休暇組はそろってペンペンの町に行き、前半組は船の勤務に
後半組は ケイタ―店での会食としゃれこんだ。
板長は 前半組とは趣向を変えようと思ったのだが、
船員達は 前半組と同じものを食べたいとリクエストした。
「だってさ 違うものだと ほかのやつらが食べたものが気になってしょうがないじゃないか!」とは 船員達の言い分。
「そうそう しょっちゅう食べに来てる人なら、人と違うものが食べたいと思うのかもしれないけど
俺たちは 一生に1度のことだからさ」
◇
休暇後半組は バッキーのパン屋や宅配の手伝いがなかったので、
かわりに ペンペンの漁師たちを手伝って、南の入り江の漁のことを聞いたり、
魚河岸での出荷事情をきいた。
あるいは バッキーやウマイヤについて、いろいろな調理法や献立の立て方を習った。
中には ケイタ―店や給食センターで 臨時見習いをして大量の料理を提供する方法などなどについて学ぶ者もいた。
やはり これから天海号が常時航海を続けていくならば
さらにクルーズ営業を続けるなら、船を動かすだけでなく
調理関連の力をつけておいた方が良いと考えた船員達が多かったのである。
「テスト航海は ある意味航海実習みたいなもんで 通常船を動かすのに必要な定員の10倍くらいの乗員を載せてるもんなぁ」船員あ
「でも そっから 正式の船乗りとして雇われるのは激戦だもんな」船員い
「今回はお嬢さんたちが飯係だったけど これからは 俺達でやってかなければならないし、それができなければ 陸から専門の料理人が雇うとかってなったらいやだもんな」船員う
休暇後半組は 南の入り江で停泊中の天海号で待機している間に
今後のことをいろいろ話し合って いろいろ思うことがあったのだ。
※ 土日休日は 朝8時
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