上陸休暇初日のごちそう
南の入り江での臨時輸送任務を終えた天海号の船員達は交代で上陸休暇を取ることになった。
実のところ 彼らにとって本格的な上陸休暇は、ペンペンでのこれが初めてのことであった。
というのもこれまでの寄港先での上陸休暇は、あわただしく食べて入浴して。と言った感じだったから。
今回は休暇は3泊4日、宿泊場所は 天河館付属のホビット寮である。
大きな街に不慣れな者ばかりであったので、休暇初日はおのずと団体行動になってしまった。
まずは ペンペン1の料亭に行こう!
というわけで ケイタ―店でコース料理を食べることにした。
「新鮮な野菜料理と いろいろな肉を食べさせてくれ。
できれば魚料理は遠慮したい」
「本日は 大貝の貝柱のさしみがございますが いかがいたしましょうか?」板長
「そういえば 今回の航海では貝柱の刺身は食っていないから それは食べてもいいかな。
しかし 海藻と魚は 最近毎日食べているので、できるだけ陸らしい料理を頼む」
と注文をつけた。
(むむ わかめと昆布はよく使うのだが これもだめなのか?)
板長は悩んでしまった。
そして出した料理がこれ
竹林省お得意の万国料理(つまり あっちこっちのスタイルの混ぜ合わせ)
・一の皿
桜の花(長いも※1)咲くチョコの小枝から
花びら(ゆり根※2)が舞い散る中を
チョウ(一寸豆と山芋※3)が飛ぶ。
その下では タケノコ(穂先をかつおだしであっさりと煮て山椒葉をちらしたもの)と
菜の花(酢味噌あえ)が 顔を出す。
「うぉ~ 美しい!」
「おー 甘味 酸味 苦味 ちょこっとづつ 異なる味わいが こたえるぅ!」
「食欲がかきたてられたぁ~」
「素材によって いろんな甘さがあるんだなぁ
甘味も奥が深い!」
男達の歓声が響いた。
・二の皿
ビーフステーキ 粉ふき芋 アスパラガスとブラウンマッシュルーム添え
「ドンと来たぁ! 肉♬ 肉♬」
「ほくほくの舌触りと 歯ごたえのある粉ふきイモ うめぇ!」
「さりげなーく ついているアスパラも 野菜のおしつけがましさがなくていいや」
日ごろ、野菜を食べ慣れていなかったのに、ジョーダン~ペンペンへの帰港中、葉物野菜を食え食えと言われてげんなりとしていた男A
「ニンニクの香りを引き立てるキノコの味わい
華やぎを添えるコショウの香り
ブラックペッパーの深みと ピンクペッパーの甘やかな刺激♡」食通?かもしれない男
・三の皿
新鮮なホタテのお刺身 わさびアイスクリーム&レモンシャーベット添え
「わさび醤油の代わりにわさびアイスだと?!」
「レモン果汁の代わりに レモンシャーベット??」
「悪くない 斬新な」
「ぼくは 味覚が混乱してます」
「意外といけるぞ」
・エンドウご飯
若ごぼうと豚肉のゴマ油炒め (彩に炒り卵&プチトマト)
冷ややっこ (おろししょうがとお醤油で)
春菊・干しシイタケ・柚子と鶏肉のすまし仕立て
「エンドウの甘味と 若ごぼうの葉の苦味と七味が彩る甘辛さ、
若ごぼうの根のさっぱりとしたコク
同じく茎と豚肉のハーモニーがいいねぇ」
「ご飯がすすむ」
「スライス干しシイタケと柚子が 良い仕事をしている♡」
「こんぶと鶏肉のうまみと、シイタケ・柚子コンビがぴったりの相性だねぇ」
「若ごぼうの 濃い緑の葉と薄い緑の茎 その上にいり卵と彩りがいいよ」
「もともと 卵と豚肉をゴマ油で炒りつけたものはうまいからな」
「豚の脂とゴマ油って 相性が良いと思わないか?」
・デザート
苺バター・マカロン・春コーヒー
「冷たくないのにひんやりとしたデザートだぞ」
「バターというが バターらしくない。
アイスクリームのようでちがう」
「刻まれたイチゴのブリザードが均一に混じってうまい!」
「このマカロン、ふんわりとして 真ん中に弾力のあるうまいものがはまさっていて 意外性が楽しいなぁ」
「うまい!」
「苺バターに添えられた苺、これ2種類のイチゴが混じってないか?」
「ああ 新鮮苺と ブリザードスタイルのイチゴだな」
「ブリザードスタイルってなんだよ?」
「イチゴを丸ごと砂糖湯で煮た奴だよ。
ほら ジャムって 作る時につぶしたりするやつが多いけど
丸ごとジャムにするのをブリザードっていうんだ」
「言われてみれば 一口かんだ時に優しい甘さがにじみ出てくるな」
「でも ジャムのようなベタベタ感がないぞ。
柔らかいけど歯ごたえもある」
「そこが コックの腕なんだろ。
絶妙な火加減!」
「ふーん」
「イチゴソースも さっぱりとした甘さがいいな」
「ブルーベリーの取り合わせもうまい!」
「やっぱり ペンペン1の料亭といわれるだけのことはある」
「このコーヒーも カカオのような香りと スッキリとした酸味が好きだな」
「春の味につきものの「ほろ苦さ」が洗い流されるようだ」
「若ごぼうの ほろ苦さは病みつきになりそうだがなぁ」
「たしかに ごま油と七味と一体化した若ごぼうと豚肉の炒め物はうまかった」
「俺は 菜の花のおひたしの見た目と あの酢味噌味が気に入ったな」
「俺は 料理の中に組み込まれた甘味のうまさってやつを 初めて知った気がする」
とコース料理を振り返りながら 一同は 幸せな気分で宿に向かった。
ホビット寮から迎えに来た馬車の御者は 花峡谷の若者だったので
一段と気分が盛り上がった。
その夜は、若者達といっしょに 露天風呂に入って、
航海中の話をたっぷりと聞いてもらって 気分よく眠りについた。
※ 土日休日は 朝8時
月~金は 朝7時の1回投稿です
(参考イメージ)
※1 https://oisiiryouri.com/sakura-nagaimo-tsukurikata/
ただし、「チョコの小枝」は私の想像の産物です。
(お菓子の「小枝」と違ってナッツは入ってません(;'∀')
テンパリングにこだわったチョコレートのイメージで。)
本格懐石料理ではなく それっぽいイメージで こんな料理を食べたいなと思って
組み合わせてみました。
※2 https://oisiiryouri.com/hanabira-yurine-irozuke/
※3 https://oisiiryouri.com/issunmame-chouchou-tukurikata/
※4 https://www.ufs.co.jp/brand/ucp/season-menu/strawberry-bt-waffle/
(ただし コーヒーについては UCCの春ブレンドとは無関係です
単純に 過去に飲んだコーヒーのイメージを組み合わせて
こんなのあればいいなという私の願望です。
マカロンの描写は 春ブレンドに添えられていたマカロンの感想そのまんまですみません
苺バターに関しては、私が食べてこうじゃないかなぁとあて推量した記述なので
UCCさんののレシピではないのでご注意ください。
ワッフル・苺入りヨーグルトアイスも含めてあの1皿はすっごくおいしかったけど、
コース料理に組み込むにはボリュームがありすぎと考えてアレンジしました。すみません)
・若ごぼう
https://www.city.yao.osaka.jp/0000002896.html については ベルフラワーでもふれましたが
今年も しっかりと頂きました♡
スーパーで売っているのは 軸が伸びすぎて、まるでフキ?でも根っこはゴボウって感じでした。(笑) 大阪産と書いてあったけど八尾産ではなかったな・・
おかげで 一束分が細いのに いざ調理すると 軸が長い分だけ思ったよりも量が多くなってしまってびっくりしました。
フキのように 皮をむかなくても良い分、調理は楽です。
根の部分は 包丁の背を使ってひげ根と外皮をこそげとると、中は真っ白。
冬に調理したゴボウよりも 柔らかくて真っ白で 「若い!」って思いましたw




