表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏領主になりました  作者: 木苺
    領主 ことはじめ
9/123

雇用条件に関する裏話

一人で鬱々(うつうつ)としていてもはじまらないので、馬に乗って街にでかけることにした。


しかし (うまや)の前でセバスにつかまった。


「お嬢様、今は一人で外出なさらないでくださいませ。

 世間知らずのお嬢様が 一人で外出なさるなど 心配で心配でこのセバス倒れてしまいます」


「まだ 若いのに じじむさいことを言う」


「なんのなんの お嬢様が生まれてこれまでに起きていらした時間に比べれば

 わたしは その20倍くらいの時間 起きて経験を積んできましたから」


「ひどいことを言うわね」


というわけで セバスに誘導され 執務室に連れて行かれた。


そこでセバスから受けた説明

 ①城で正式雇用する場合、保安上の理由から誓約を立てさせる

  だから 正式雇用された者が 裏切ることもないが、ほかに転職することもできなくなる


 ②誓約を立てる前に 雇用主と雇い人の間で雇用条件を細かく煮詰める

   たいていの場合は 名誉か多額のボーナスを雇用主が約束する

   もし 雇用者が支払を怠れば 雇い人は誓約を破棄できる


 ③財政節約のためにも 臨時ボーナスも契約金も月々の支払いも抑えたい



「そんなにうちの城 お金がないの?」


「ぶっちゃけ 私達3人働かずに一生のんびり暮らせるだけの蓄えはあります

 しかし 城主としての国への奉仕や 対面を保つだけの費用は全くありません」


「国への奉仕ってなに?」


「就任時・婚姻時・後継者を定めた時、最低でもこの3回は 首都へ行って報告するとともに認可を受ける必要があります。

 貧乏城主の場合 往復の旅費と首都での宿泊代だけでも許されますが

 ここから首都へ行って泊まるには そうですね この城の中で過ごす経費の3年分はかかります。


 お嬢様が就任なさるときの手土産については 先代様がご用意くださっていたので大丈夫ですが それ以外の分は ご自分でご用意なさる必要があります。


 相場的には 我々3人の生活費10年分が毎回かかると思っておられるとよろしいでしょうか」


「それって 領地からの収入ではまかえないの?」


「領地からの収入1年分=私達3人分の生活費です。

 というより 年収分に合わせて人件費を切り詰めた結果が現状でございます」


「このことを知っているのはだれとだれ?」

「明確に断言できるのは 私とフローラとお嬢様だけ」


「しかし ケイタ―も察しておりましょう。

 他の者に このことを知られてはなりません。(あなど)られることになりますから」


「ウマイヤが知っている可能性は?」


「察していても 口に出して話すようでは 使えません」


「どっちが口に出したらダメなの?」


「どちらからでもです」


「そうなの」


「そうです」


「とりあえず フローラとパンの話をしたいわ」私


「町まで行って 彼女を誘って 二人で安心して話せる場所に行きたいのだけど」私


「お供いたします」


「パン屋さんなら昼から行くよりも 午後から行った方が向うの時間の都合をつけやすいわよね?」


「その可能性はあるかもしれませんが 何ともいいかねます」


「じゃ 今から行こう!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ