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貧乏領主になりました  作者: 木苺
    船関係者とその家族達
86/123

花家のイモ(フローラの甥)

花家の女性たちは、花の名前を持つ者が多い。

 そして 花家の女性当主や総裁は フローラと名乗ることになっている。


それに対して 花家の男性たちには 野菜や木の名前にちなむ呼び名を持つ者が多い

 そして男性が当主になった時には イモと呼ばれる。


元は符牒だったのかもしれないが、花家のイモ(芋)と名乗らされる身にもなってほしいと、当代当主は思った。


時代遅れのしきたりにうんざりしてる首長という点では、イモもコチも同類と言えるかもしれない。


◇ ◇

イモは 生まれて始めて領都ペンペンに来た。


花家統領として 天河家領主代行兼花家総裁である叔母に会うために。


訪問先である領主の(やかた)がどこにあるのかを尋ねたら、店の人は

「大通りの先にある あの丘の上の館」と指さして教えてくれた。


「見物に行くのは自由だが 今は領主様不在だから だれも はいれんよ」と

通りすがりの人も足を止めて教えてくれた。


「はぁ とりあえずは 話の種に、お館の近くまで行こうかなと」イモ


「だったら しっかりと腹ごしらえをして、水筒も満たしてから行った方がいい。

 街から館のある丘までには起伏があるから、見かけによらず歩くのはつらいよ」

街の人


「そうなんですか。

 ご忠告ありがとうございます」


「今の時間だと、食事処はどこも休憩中だから、バッキ―のパン屋で総菜パンを買って食べるといいんじゃないか」通りすがりの老人


「バッキ―のパン屋は すぐそこだよ」指さして教えてくれるこども


(総菜パンってなんだ? この町の人は やけに話しかけてくるな・・)

そんなことを考えながら歩けば、なるほどパン屋らしきものがあった。


(なんか 形違いのパンがいろいろあるな)

そう思いながら 中に入ると

「いらっしゃいませ!」 

  低めのカウンターの向こうから、ずいぶん背の低い女が声をかけて来た。


「食事処が休憩中だから、ここで総菜パンを買えばよいと言われてきたんだが」イモ


「どれになさいますか?」

女は台の上に 絵のついた紙を広げた。


「大きく分けて 総菜パンには3種類ありまして、

 丸いパンの間に 肉・卵・野菜などを挟み込んだ、バーガー

 食パンで挟んだサンドイッチ

 細長いパンの間にいろいろ(はさ)んだフィセル です」


と 絵を指さしながら説明してくれた。


中に挟む具材もいろいろ選べるらしい。

 それらが 絵と文字でわかりやすく描かれていた。


見ているだけで 腹が ぐ~っとなった。


「どれもうまそうだが、どこで食べたらいいのだろうか?」イモ


「席料を払っていただければ、テラスで召し上がり可能です。

と外を指さす。

 

なるほど 中庭のようなところに、パラソルが立っていて

そこには椅子とテーブルがおいてあった。


「今の時間でしたら 飲み物とのセットもできます。」

別の紙を広げての説明だ。


「ふむ、スープは残ってないのか?」


「あいにく ランチタイム終了時には調理人がすっかり片付けて帰ってしまうので」


「そうか だったら このコーヒーというやつと、ダブルチーズ&トマトにタマゴとパテのレタスつきを頼む」


「ダブルチーズ&トマトにタマゴとパテのレタス付き一つ、コーヒーカップ1杯ですね xx円でございます。」


 料金を先払いすると、庭に出る通路の戸を開けてくれた。


席に座って待っていると、動く椅子に座った女が膝にボンを乗せてやってきたのには驚いた。

 (さきほど背が低く見えたのは、椅子に座って応対していたからか!)


よく見ると、椅子の横に大きな車輪がついている。


 車輪の外側には丸い輪がついてそれを手で回しながら車輪を動かすので

 手が車輪についた土で汚れることはない。


よく見ると 盆は 直接膝にのせているのではなく、

座席の横の手すりのようなものの上に固定してあった。


俺の席まで来た女は、車輪にブレ―キをかけ、

手すりの端のレバーを押してから 盆を持ち上げ 手渡してきた。


「よかったら その車輪付きの椅子の仕組みを見せてもらえないだろうか?

 おれは そういう細工モノに興味があるんだ」


「これは 車椅子と言いまして

 領主館のフローラ大臣のお声がかりで作って頂いたものなのです。

 詳しくは 領主館の方でお尋ね頂けると助かります」

女が答えた。


「ならば その 盆を固定したり外す操作だけでも もう一度やって見せてもらえないだろうか?」


「食べ終わってから盆の裏をご覧になれば くぼみがあるのがわかると思います。

 このレバーを 押したり引いたりすると、

 椅子の肘置きの上側から このように ちょっぽりが出たり 引っ込んだりします

 それで 盆を軽く止めて置けるようになります」


 確かに 女が肘置きの端のレバーを押したり引いたりすると、肘置きの穴から突起が出たり引っ込んだりした。


 「そうか いいものを見せてもらった。ありがとう」


おそらく体が不自由であろう女が座ったままの椅子を、あれこれいじるのは失礼だと思ったので、イモは 質問をそれで終えた。


女は、「食べ終わったら、盆を あちらのカウンターまで返してください」と指さした。

店の窓の下にカウンターがついていた。


「わかった。返すときに 気持ちばかりの心付けを乗せておくよ」イモ


「ありがとうございます」

そう言って 女は 車椅子なるものを漕いで、戻って行った。


(領都につくなり とんでもないものを見てしまったなぁ。

 それにしてもフローラ大臣って、おばさん ここで何をやっているのだ?)

イモは ますます 疑問が増えてしまった。


とりあえずは 見た目で選んだ でっかいハンバーガーにかぶりつくことにした。


  パン

   ゆで卵

   チーズ

   トマト

   レタス

  パン

   パテ

   チーズ

   トマト

   レタス

  パン


(トマトとチーズが上下に入っているからダブル

 そこにゆで卵とパテがひとつづつ追加で

 レタスは各段につけるから

   ダブルチーズ&トマトにタマゴとパテのレタス付き  ねぇ


 よくも、こんなものを考えるものだ。)


イモは上の段を取り上げ、ひっくり返して、レタスを上にしながら、

 パンとレタスで挟んだ具を アーんと大口開けてかぶりつき。

 途中から、レタスとトマトだけ別に食べることにした。


(しかし チーズで手が汚れるのも嫌だからやっぱりレタスをかぶせよう)

皿にとりのけてあったレタスをつまみ上げて チーズの上にかぶせた。


バーガーの下の段は、パンとパテ・レタス、パンとトマスチーズの組み合わせで分解して食べた。


(うん パンとチーズの間に タマゴやパテを挟んで食べるのもいいもんだ。

 それにしても この薄切りチーズは うまく切ってあるな。

 トマトも こういう切り方をすると いつもと違う味わいがあっていい。


 それにしても 種が少なく果肉の甘いトマトだ。珍しい)



(竹林県の領都はペンペン草の生える田舎だと聞いていたが

 案外 見物して回ると面白いかもしれない。)


「黒い飲み物」であることに興味を持って注文したコーヒーは苦かった。

  しかし そえられていたミルクを入れると 濃厚なミルクの甘味と調和した。

 

(初めての味わいだが 悪いんもんじゃないな。

  それにしても これは ふつーに庶民が口にしていいもんなんだろうか?)

 



※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です


(注)

リアル日本での車いすには まだ お盆を固定する装置はありません。

   私の知っている範囲では。

しかし オーダーメードの車いすは多岐にわたるのは確かです

 一例をあげると↓


・スタンダードタイプ:松永製作所

   https://www.matsunaga-w.co.jp/support/type.html 


・生活シーンに応じた姿勢保持などにも注意を払ったオーダーメイドタイプ

  (病院・支援学校と連携している): 川村技研

https://www.kawamura-gishi.co.jp/services/wheelchair/


・ほかにも 車いすアスリートの為の 競技種目に応じた車いすもいろいろあります

  OX

 https://www.oxgroup.co.jp/products/sports.html


  日清医療器(株) https://www.wheelchair.co.jp/products/category/%E8%A3%BD%E5%93%81%E6%83%85%E5%A0%B1_%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E7%94%A8%E8%BB%8A%E3%81%84%E3%81%99

(スポーツ別車いすの写真が一目でわかる

 チェアスキー とか ふだん目にする機会のないものも。)


車いすアーチェリー(パラサポWEB)

  https://www.parasapo.tokyo/sports/archery


        ほか


(追記)

誤字やレイアウトの確認のために 読み直していてふと思いました。

 車いすの突起にでお盆を固定するのではなく

 昔の新幹線の座席のように、椅子のアーム部分からテーブルを引き出してパタンと倒してセットするタイプでもいいかなぁ?と。


 でもそれだと 車いすの総重量がかなり重くなりそうだからむりかな?とも


 車いすは 座ったまま作業するスペース&姿勢維持補助具であると同時に

 大切な移動手段でもあるので、

 最低でも 軽さ・安定性・丈夫さの3点を満たさなければいけないので

 付属の便利機能をつけたくてもなかなか そうおいそれとは と言った感じかもしれません。


 しかし 自分が使える機能を活かして自力で乗り降りできることが

 利用者の心の快適さ(人に頼らなくて済めば それだけ心の動きの自由が確保できる)につながるので 汎用品もオーダーメイドもカスタムメイドもそろって普及する世の中になればよいなと思います。


 あとデパートなどで貸し出している車いすが、介助されること前提のクッソ重たい、

 購入品を車椅子に載せて自力で漕ぐことのできないタイプなのが 今ひとつ不便です。


 世の中には、交通機関を自力利用するために杖や車で移動して、目的地で車いすを借りて

 所要をすませることができたらいいのにと思う 中途障害者・部分的ハンディキャッパーもいるのにね。


しかも、東京の公共施設&鉄道と 大阪のデパートでは、車いすに乗っていると、

道順関連の表示がまったく読み取れない位置にある。


大阪の鉄道と街の中は 車椅子に載った視線でも 案内表示が読み取れるよう配慮されてますが

 (この40年の取り組みで 何度も改善を重ねた結果)

東京は全くダメ


 もっとも首都圏のプラットフォームは、混雑の割に幅が狭いので

 ハンディキャッパ―への配慮以前に、キャパオーバー問題の解消の方が先からもしれません。

   このあたりのバランスのとり方が 公共予算の使い方・インフラ整備の留意点です。


大阪の大型商業施設のほとんどが 車いすの利用を前提として通路を広くとっているのに

 車椅子にのると、車いす用エレベーター・だれでもトイレなどの表示がまったく読み取れない

 (掲示場所が高すぎる・物陰に隠れている)のは、ちょっとびっくりしました。

   (以前 ケガをしたときに 一時的に車椅子を借りて利用した時の感想)


 うーん 介助者つきの移動が前提の取り組みであったと反省。


 社会的な整備が進めば、ハンディキャッパ―の自立(自分でできることは自分で)意識もどんどん高まっていくので、施設の共有・共有に向けた取り組みにも どんどん新たな視点が加わってくるのだと 改めて思いました。


・車いす利用者向けの整備の恩恵を一番大きく受けているのは ベビーカー利用者だと思います。


 実際 大阪の車いす関連の取り組みは、女性の働く機会均等法にあわせて、子連れやベビーカーの利用しやすい環境整備を前面に押し出すことにより予算を獲得したという経緯がありますから。

 結果として 一般の女性用トイレの普及・整備にもつながりました。


 女性だけ、機能障害のある者だけ、を対象にしていたら インフラ整備の予算は獲得できませんでした。両者をマッチングすることにより 大きく町のインフラ整備が進んだのです。


 だからこそ 己の欲求だけをごり押しして騒ぎたて、

己の要求実現の為に、他者(=女性&こども)の安全を平然と踏みにじって奪うことを正当化しているLGBT団体と、

その者達の言動に反対せずに、自分の利得だけを優先しているLGBT当事者たちのやり方は許せない。


いまや、人類の半数を占める女性と未来を担う子供達の安全を脅かす敵です。あの者達は


 女性と子供が犯罪者の餌食になることが解っているのに、

その方向に行政をねじまげているLGBT圧力団体の動きに反対しないことそのものが、

LGBT当事者たちの身勝手さ「己さへ良ければ他人が何千万人傷ついても平気」という本性を証明しています。 


 今やLGBTのせいで 日本女性と日本の子供達は

 街でも職場でも安心して用を足すこともできなくなりました。


 70年かけて女性達がやっと勝ち取った身の回りの安全を、

 子供達を守るために整備した社会的インフラを

 たった5年ほどでLGB集団により奪われたのです!!


 文字通り 私達が汗と屈辱の涙を流しつつ勝ち取った安全なスペースを舌先三寸で強奪し


 私たちの安全と外出の自由、子供達の未来と安全な生育環境を奪い破壊しているLGBT集団!

  それに加担したメディア関係者たち! それを許した政党と議員集団! 許せません!!

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