契約更新と古(いにしえ)の渡(わた)し:海流図つき
予定では 天海号はペンペン港に2泊して補給をすませたら、
ハテンとトメの間にある秘密のドックに移動するはずだった。
しかし ペンペンに集まった人々の熱狂ぶりを前にして、
このまま出港したら、岸沿いに 人々がついて行きかねない
どころか 乗船願望が募った人々に襲撃されかねないと
船員たちは 身の危険を感じた。
それゆえ 竹林省の人々の熱狂を冷ますために、
しばらく 南の入り江巡りでもやろうかという話が出た。
「ならば 乗船期間を3か月延長する場合の条件を守ってほしい」コチ
「船員達の家族を ペンペンに滞在させる準備はできています。
ご家族がペンペンまで移動してくる費用等は、そちらの自己負担。
ご家族の宿は天河家で用意し、
それ以外の諸費用は 船員さん方の負担。
天海号が母港のドックに戻る時には ご家族の皆様も乗船されるという条件でしたね」
話し合いのために天海号に乗り込んでいたフローラは答えた。
「そういうことだ。」コチ
「天海号の母港はどこにあるの?」私
「今までは ハテンとトメの間のとある場所にあった。
今回も そこにあるドックまで戻りたい。
しかし 今後はペンペンでも東の大河でも 天河家で用意したドックのあるところを母港にすればよい」コチ
「ドックを建設する前に、船の出入りのしやすさや 停泊中の安全などを確認してもらいたい」タンタン
「まずは 古の港がある、西の大河入口 西町 東町 東の大河の入り口を、天海号で確認していただけますか?」フローラ
「承知した」コチ
沿岸流と外流の大まかなイメージ図
東の入り江の沿岸流は、竹林省の船乗りの伝承をキョーシローが目視で確認したものをもとに書き込んだ。
◇ ◇
私たちが王都への年賀に出かけていたこの3か月の間に、
フローラは領主代行権限で、東上の渡しを復活させていた。
もともと東西の大河の中流に、「東中渡し」「西中渡し」がある。
それとは別に、古代には 東の大河の上流に「東上の渡し」があったそうだ。
それを フローラが復活させたのだ。
その東上の渡しを使って、船員達の家族が竹林県に入ってきた。
シノによると、梅園県側の「上のわたし」近くの森の中に、
コチの領地からつながる地下通路の出口があるらしい。
驚き桃ノ木さんしょの木
船員までもが 忍びの一族なんかいな!!
「忍びの一族なのではなく たんに忍び道を使う許しを得ただけです。
俺が コチの養子になったから」キョーシロー
「大事な弟を養子に出すのだから、結納代わりにつけてやったのさ」シノ
「かわりに こちらはずっと 天海号を預かっていたんだから
ヒフティヒフティだろうが」コチ
だそうです。
「えっ コチはキョーシローのお義父さんだったの?」
「えっ 知らなかったの?」キョーシロー
「聞いてなかった。」
「まったく」キョーシローは シノの方を見た。
「口が堅いにもほどがある」
「船上での二人の関係を尊重したまでだ」シノ
「たしかに 船員達の前では けじめをつけているからな」コチ
「しかし」キョーシロー
「そのあたりも含めて これから人事面も みっちり勉強していただきましょう。」
フローラが 私の方を向いて言った。
というわけで しばらくの間、私は船から離れて 陸の上でみっちりと
フローラにしごかれ、
天海号の旅は私抜きで展開していった。残念




