天体観測
トメ沖に出てからは 船の中は私達と船員たちだけになりました。
船客への気兼ねがなくなったので、 甲板にドンと陣取って、ハテンにつくまでの間に、六分儀の使い方と太陽や主な星の南中高度の図り方をしっかりと訓練されました。
最初は計測値が不正確すぎて 自分で計測した数値を基に計算すると とんでもない所在地が出てきましたが、徐々に誤差が少なくなりました。
(ここまではまだよかったの。)
さらに 月齢の当て方じゃなくて読み方まで習いました。
15夜と 14夜や16夜の違いはわかります
新月まじかの月もわかります。
でも 三日月か四日月のちがいとか、下弦の月~新月の間の月ってのがあんまりわかんなくて・・
上弦の月(つまりこれから満月になる月)というのはお昼ごろから出てきて夕方に正中するからまだしも、真夜中に出てきてお昼に沈む下弦の月なんて 朝方しか見えないよ、陸の上では。
(「地面に近い方がまっすぐな 朝方 西を向いた時に目に入る月」と下弦の月のことを言ったら、キョーシローが目を点にした。
「夕方頭の上に見える半月が上弦の月」と続けて説明したら
「オカ暮らしの人間にとっては、空の南北は どっちも頭の上で区別がつきにくいんだよ」とシノが補足してくれた。
「なるほど、ある時間における 月の形と位置から方角を確かめるのではなくて、自分が知っている方角を向いて、月や星を捜すのですね」とキョーシローは納得した。)
その点 海の上では建造物がないから 明け方の月も 宵の月も見つけやすい。
といっても どっちを見ればいいの??
夜空を見回せば見つかりますよ。
コンパスなしで夜中に東と西をどうやって見分けるの?
北斗七星とW座をもとに 北極星を見つけ出して
そこから 東西南北を考えましょう。
お空は真ん丸だから どっちが南かわかんない・・
北極星に背中を向けなさい
「頭の上に北極星があるのだから 足の下、地面の裏側が南なの?」と尋ねたら
キョーシローは頭を抱え、コチは大笑いをし
タンタンが
「まっすぐに立って、両手を広げて、東側に左手の指先が来るように体の向きを変えてください」
言われたとおりにすると、
「左が 東。右が西。 顔の前が南で 後ろが北。
今北極星は見えますか?」
いいえ
「では回れ右して」
言われたとおりに 片足を後ろに引いて、空の向きを変えて両足をそろえる軍隊式回れ右をした。
「今度は 北極星が見えましたか?」
はい
「これで空の北と南がわかったでしょ。」タンタン
「でも でも 寝転んで空を見ると いつも 北極星が斜め上に見えるよ」と言ったら タンタンがうなだれた。
・・・
こんな具合に
甲板のど真ん中で さんざんわちゃわちゃしました。
最後にクイズです
「月は東に日は西に」 このときの月の形は?
答 満月
この満月の動きを 紙に移しとりましょうねと タンタンが一晩中ついて
月の高度と方位の図り方を教えてくれました。
(というか私とタンタンで計った数値を比べては 計測方法のチェックをされました)
その後の日々も それぞれの星座の中で一番輝く星の高度と方位を一晩中計ったり
オリオン座の四つの星と三つ星の高度と位置関係を計ったり・・
「これで 少しは 高度・天頂と 方位の違いが判りましたか?」タンタン
「うーん なんとなく」私
「なんか お月さんが鎌の形をしている時に周りに見える星の動きが ほかの星と違うような気がする」
たいへんだったけど 面白かった。
講師 タンタン・シノ・キョーシローに感謝
そして 最終試験官は 船長コチでした。(緊張しました)
コチから出された質問は
①三日月が見える方向は?
夕方 西の空
②1日中 月が見えないのはいつ?
月齢0日の新月
あと月齢28日目の月と月齢1日目も見えなかったです。
③三日月について説明せよ
夕方 西の空に見える お腹のへこんだ細い月
月齢3日ごろ
④次に鎌形の月が見える時のことを説明せよ
月齢26日なので 3日月の23日後
草木も眠る丑三つ時(午前3時頃)出てくる月
下側がくぼんだ形。
・上とか下とかいう言い方には眉をしかめられましたが
とりあえず合格しました。
よかった~。




