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貧乏領主になりました  作者: 木苺
     トメ~ハテン(東海岸)
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保存食を使った食事  (地図2あり)

港トメで、最後の船客が下船した。


このトメと言う港は 王都ジョーダンからまっすぐ東に直進したあたりにあたる。


ジョーダンからトメまでの沿岸部は にぎわっており比較的裕福な領主が多い。


だから 2・3日置きに、入港しやすいどこかの港に入港しては、ジョーダンからのお客を下ろしたり

湾内周遊茶話会を開いたり、

船旅を経験したいという富裕な一家を乗船させて隣の港まで運んだり

と 船客の出入りの激しい航海を続けた。


 やはり 流行に乗り遅れたくない方々は、隣の港まで船旅を経験して、帰りは馬車でご帰宅という

プチ旅行に積極的だったのだ。


 しかし トメより南部はだんだん領地の狭い一村領主やら、竹林省とどっこいどっこいの質素倹約をよしとする領主達が増えて、船客がいなくなった。


 一つには 海流の関係で 東海岸を南下する船が入港しやすい港が減ってしまうので

隣の港まで、船内5~10泊、帰りの馬車旅はもっと大変と言うことになってしまうと、

そんな気軽に遊びに行ける旅ではない! ということになってしまう。


もっとも 東海岸を北上するときには、沿岸流を使うので、半日で行ける港がほとんどなのだが。


それゆえ、トメ~ルンの間では、沿岸漁業が盛んで、港ごとに領主がちがうなんてことも珍しくないのだ。

 (だから 陸路だと 入村料だの関税だのと わけのわからん徴税がおおくなってしまう)


ルンとハテンの間は、海の(そば)まで森林は山脈や峡谷が迫っているので、陸上交通の便はよくない。

 ほとんど 孤立した村が点在し 地図もない隠れ里の様相を示す。


(だから フローラも天海号を隠しておけたのかな??? わからん><)


挿絵(By みてみん)


そして 船客がいなくなり、無寄港航海日数の増えた トメより南の旅では、一気に 保存食品を使った献立が多くなった。


 塩漬け・オイル漬けの魚肉・干し肉


 乾燥野菜にピクルス・漬物・発酵食品


船員たちは港で仕入れた新鮮野菜をピクルス溶液に浸けこんで魚肉と一緒にパンにはさんで食べるのが好きだ。

 あらかじめパンの中身を少しだけ食べてボール状になったところにおかずを入れて包み込むようにして食べると 食器も使わず洗う手間も無い


いい考えだと思って私も同じ食べ方をしてみた。

こういう食べ方をするには 皮の硬いパンが向いている

 飲み込むのが大変だった。


それでやめた。


パンを10日持たせるのはむつかしいので、補給後3日目くらいからは、主食はオートミール(船員)とおかゆ・米飯(私達)にチェンジだ。


こうなってくると 船室の付属のかまどが役に立つ

 ご飯を炊くだけでなく

 私達はもっぱら魚の干物を焼いて食べていた。

 干し肉よりも柔らかいから。


甲板から釣りあげた魚をさばいてみんなで食べたこともあった。

船員たちは暇つぶしの釣り

キョーシローは大物釣りで食料確保


野菜類は いわゆる乳酸発酵漬けだ。

 白菜と人参の細切りなどに軽く塩をして重石をかけると 野菜から出た水分に野菜表面の乳酸菌が作用して発酵する。

 その液を捨てずにを置いておいて 今度は塩なしで野菜を追加して重石をすれば

さらに乳酸発酵の進んだ乳酸漬けができる


うまーく液体を使いまわしして野菜をつけていくのがポイント。


ただし腐敗は怖いので 臭いに注意して 液体をきっぱりと捨て去る決断力も重要 


セバスとタンタンは 麹付けの魚肉や味噌漬けの肉の研究もしていた。

 味覚調査担当は 勿論私達女子組


 肉・魚のおいしい保存方法の特許をとって、船員だけでなく陸上での販売も目指すらしい。


問題は 米飯だ。

米を炊いて食べる・粥にするのは竹林省の習慣らしい。

竹林省で長く居住する天河家の者は別として 隠れ里にずっと住んでいて竹林省に来たことのない者にとっては 米そのものが珍しいらしいのだ。


じっさい「はじめちょろちょろ中ぱっぱ 赤子あかご泣いても蓋とるな」の炊飯方法は

私とタンタンが一番うまかった。


「生涯の大半を寝て過ごしてこられた方に引けを取るなんて」とセバスが悔しがった。


「そりゃあんた 蒸らしを忘れていたからでしょうに。」


「それはですね 赤子泣いてもという部分を、意地汚く解釈して伝承するのをやめた

先人の責任です!」セバス


「そんなの 頭を使えばすぐわかるじゃない。


 ”蒸らしていない飯には芯が残る。

 蓋を取った時に湯気がもわ~っとあがるのだから、この水分をコメの中に封じ込めれば米もふっくらけるんじゃないか?”


 と考えて試せばすむことでしょう。」


「く~ 」悔しがるセバス。


「でも 赤ん坊が泣いたら 早く食べさせてやりたいと蓋をとるのが親心

 それを否定するのはどうかと思いますけどねぇ」しの


「赤ん坊には重湯おもゆからが常識です。

 だから 赤ん坊が泣いたからと言って蓋を開けるはずがない。


 でも そういう親心を前提にして どんなことがあっても蓋を開けないでね!と強調した修辞法だと なぜ思わなかったのでしょうか?


 きっと 自分でめしを炊いたことがない人なんでしょうね」タンタン


「米飯を前提とした保存食調理を普及させるためにも まずは おいしいごはんやおかゆの味を覚えてもらうことから始めませんか?」

 雰囲気を変えようと前向きの提言をしてみた。


「世の中には食わず嫌いもいますから」セバス


「他に食べ物がなければ 食べるのではない?」ピピ


「あるいは ご領主様がおいしそうに食べている姿をアピールして興味を持たせるとか」ララ


「ハテンからペンペン迄は パンの代わりに米を供給して 朝ごはんをおにぎりにするとか?」


「おにぎり握れるんですか?」ピピ


てのひら 火傷やけどしませんか?」ララ


「手に塩をつければ大丈夫よ。

 塩水だとべたつくから 濡らした手に塩を付けるのがいい」


「じゃ 明日の朝ごはんは おにぎりをお願いします!」とみんなに言われてしまった。


「朝は炊き立てご飯のままたべて、お昼をおにぎりにしようよ」と言ったら すんなり通った。



※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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