船内の食事とエレベーター (写真あり)
〇朝食
私たちと船客用に仕入れた食材のうち、私たちの分を、ピピと私で、特別船室の居間で盛り付ける。
これらの食材は なんと 私たちの居間の壁面収納庫で保管している。
壁面収納庫の一部が 断熱仕様で保冷剤ならぬ保冷パック(冷たい井戸水入り)を使って
冷蔵庫になっているのだから 驚く。
まあ 今は冬だから、外壁が冷え切っているのも活用しているんだろうけど・・
たぶん。
なんでも生食する素材は 衛生管理のために、シノ・タンタン・セバスの目の届くところで保管したいんだそうだ!\(◎o◎)/!
「そもそも 庶民は 生食しないからねぇ」シノ
「ハムやサラダって 高級メニューです」キョーシロー
一方船客用の朝食は、シノとララで 必要な分だけ食材を全体の調理室に運んで
そこで盛り付けて、2階の調理室と1階の食堂とをつなぐ専用エレベーターでおろす。
このエレベーターの中は、病院の配食ワゴンのように
人数分の盆を重ねて、でも盆の上の食器と上段の盆の裏面がくっつかずに入れられ、
でも無駄なスペースができないように、
壁面に桟が付いていている。
その桟の上に、お盆を差し込むように入れるのだ。
盆一つで、1食分の料理と飲料が納まっているのは、お店の定食セットと同じ。
エレベーターは、滑車の原理を駆使して、人力でハンドルを回して昇降するのだ!
実は、船には調理助手もいたらしくて、その者が、エレベーターを昇降させている。
そしてシノが調理助手に船客用の食事の作り方(見栄え良く、切り分けたり盛り付ける等)の指導をしていた。
メニューは
・寄港先で仕入れた特製パン
それはクロワッサンだったり バゲット・バタール・ブールといろいろだ。
・ハム・チーズ・野菜
・スープ
ナントナント港町では ポタージュ系のスープの量り売りをしてくれるのである。
タンタンは、調理の手間と諸費用(水・燃料費)を考えて、
将来的には 天海社がバックアップして 長期保存可能な瓶詰スープを 船用に売り出すことも考えている。
もちろん適正価格で。
でも 現在は 港町で 鍋に入れて仕入れたスープは1日で食べきってしまうから
出港後2日目からは 自分達でスープを作らなければいけない。
スープを作る時は、ピピも全体の調理室に行って調理する。
港町で仕入れることのできるスープの種類は
グリーンピース・じゃがいも・ソラマメ・トウモロコシと旬も加味したポタージュスープと
普通に肉・野菜の入ったスープ。
味付けも 港町によって 甘い系・さっぱり系・しょっぱい系といろいろ
ちなみにしょっぱい系のスープ販売店は今後の購入店リストからは除外した。
さっぱり系も 単に薄いだけの店は除外。
店頭販売品と持ち帰り用のスープで味を変えるのは卑怯だとタンタンが憤慨していた。
(もちろん持ち帰り用の方が粗悪品><)
当然 そういう店も今後は利用しない。
そうそう、シチューとスープの違いは、水分量の違いです。
シチューは 汁気少な目、煮物よりは液体量が多い。
でも 具だくさんのスープよりは、液体分が少ない
だから、基本は 熱々をいただく。
冷めるとおいしくない。
料理としてのメインは あくまでも具!
それゆえ、具の部分が冷めにくいように、液体部分にとろみをつけることも多い。
一方、スープは 液体部分もおいしくいただく。
だから 具は少なく目。
でも 液体部分を味わうのだから、冷製もあり。
熱々も冷めてからもおいしくいただけるタイプのものが、持ち帰り用に販売されている。
言い換えるなら、冷めても脂肪分が浮いたりしないタイプのスープが 持ち帰り用スープ。
〇昼食:全体の調理室で船員さん達の分も一緒に調理して 私達の分は部屋に運ぶ
(例)
シノが刀のごとく包丁を振るって肉を切り分け 焼肉やパテを作る
私達は 皿にボイル野菜と肉料理を盛って部屋で頂く
船客の分は、調理室内にある、荷物(料理)専用エレベーターで1階の食堂におろす。
船員の分は 焼肉フィセルやハンバーガーにする。
どうして船員の方に手間をかけるかと言えば、彼らは野菜より肉を好むので
野菜をしっかりと食べさせるために、いっしょに挟み込んでしまうのである。
船客の中にも、フィセルを使ったサンドやバーガー系が好きな人がいるので、その人達には 船員と同じものを提供
そもそもなぜ野菜が不人気かと言えば、早食い傾向のある人達に生人参の塊や野菜の葉っぱそのままを出すからである!!
ちゃんと食べやすく素材の味も生かせる切り方・加熱をしましょうね!!
調理に手をかける分、サンドやバーガー形式にして食器洗いの量を減らしましょう。
〇夕食
私達は 食パンのサンドイッチ&シチュー
船員さん達は 煮込みや塩豚などとクッペ
パンについては、ふんわりとした食パンが高級食材であるから私達専用。
挟み込むのは、薄切り肉と野菜の炒め物だったり、ジャム・マリネ・ピクルス・果肉・生クリームなど日々ちがう
船客はクッペと、シチューまたは煮込みや塩豚との事前選択制だ。
おかずの違いは、
船員たちは肉系を中心にこってり・どっしりとしたおかずが好き
私達は 船員に比べれば小食で野菜多め・あっさりが好きだからという好みの違いを反映している。
たとえば、煮込みを作る時に、船員好みのこってり仕上げにする前に私達の夕食用のシチュー分を取り分けたり、
サンドイッチ用のコールドチキンを作る時に出たゆで汁を使って、シチューや煮込みを作ったりと それなりに工夫をしている。
ちなみにタンタンは 塩豚以外の日の夕食を船員たちと一緒に食べている。
タンタンは 食パンよりも こってりどっしりの煮込みやクッペが好きなんだそうです。
でも 塩豚は苦手なんでその日だけは、特別船室にクッペを持ち込んで私たちと一緒に食べている。
太短かのクッペは、他の形のフランスパンよりも箱に並べて詰め込みやすいので
大量仕入れと保管に向いているのだそうです。
キョーシローは、朝食か夕食のどっちかを私たちと一緒に取ることが多い。
それはウォッチ(当直・見張り)の関係かららしい。
いつも前日に食事の予定を言ってくれる。
◇ ◇
「ところで船員さん達は 朝食に何を食べているの?」
「腐敗防止のために 夕食の煮込みにカレー粉をまぜて朝までねかせて
パンと一緒に食べたり、油漬けの魚とピクルスが多いですね」
「それで 時々夕食用の煮込みの量が多いのね?」
「そういうことです」
キョーシローは説明を続けた。
「船員用の朝食の用意は 厨房係にまかせています。
みなさんの朝食の準備が終わったあと 仕事をしてますよ。」
「厨房係がいたんだ」
「います。船客用の朝食作りの時に、シノの特訓を受けていますよ。」キョーシロー
「あの方 調理助手ではなかったの?」
「いえ 厨房係です。今は 調理助手の仕事しかしてませんけど。
船員用の食材の仕入れ担当とコックを兼任するのが本来の厨房係の仕事だったんですが
タンタンが 以前いた厨房係を首にして、俺とタンタンがそいつの仕事を分担することになったんです。
まあ どの厨房係も 味が濃いめで塩気も多く
首にしたあいつが担当しているときは 特に塩辛かったから、
俺が乗船するときは、俺が仕入れをしたり調理することが多かったんですけどね。
そして 王都で新たに雇い入れたのが、今の厨房係と言うか調理助手」
「えっ?キョーシローの調理もボランティアだったの?」
「というより ほとんどサバイバルです。
そもそも海水で作ったのかというくらい塩辛いスープとか毎日飲まされてたら 体を壊しますよ」
「そんなんで よくもまあ 他の航海で・・」
「今までは 小型船での日帰り~せいぜい1泊程度の漁だったから それでも 何とかもったんでしょうかねぇ・・」キョーシロー
「ほんとに海水を使ってたのじゃないかな」タンタンが急に口を挟んできた。
「ハテンからの出港直前の最終チェックで、担当者が真水の仕入れ代金をちょろまかしているのを発見して首にしたから。
そいつは、『スープには塩味のきいた海水を使うから真水の仕入れ量はこのくらいでちょうどいい』とほざきやがったよ。
そうやって浮かした代金を懐に入れていたので、全部吐き出させて首にして、ちゃんと水を予定量仕入れたんだ。出港直前にな」と 珍しく乱暴な口調でタンタンが言った。
「水の仕入れをごまかすような人間は 出港してから 渡り板を歩かせて海に落とせばよかったんだ。
それにしても 今までもちょろまかしていたのかな?だとしたら 俺達の監督不行き届きだ。
それとも大量仕入で 悪い虫が動いたのか?」
とキョーシローがしかめっ面をした。
※ 土日休日は 朝8時
月~金は 朝7時の1回投稿です
(写真の出典)
https://tg-uchi.jp/topics/3793 ←いつもお世話になっております。
https://bread.jp.net/ficelle.php 「パンの図鑑」
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