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貧乏領主になりました  作者: 木苺
     東海岸 (北の岬~トメ)
58/123

樽かつぎ 

(航海中の夕食の時の会話からの引用をちりばめつつ、停泊時の活動を説明)

特別室専用デッキにある格納庫には、私たち専用の水樽が備え付けてある。

 これは いろいろな意味での非常時用の備えも兼ねている。


◇ ◇


私達専用の水樽を補給するために、毎回寄港するたびにシノとセバスが樽を(かつ)いで行ききする。

 セバスは普段 文官っぽい立ち位置にいるが、さすが いざと言う時には護衛も務めるというだけあって 案外力持ちだ。


 10キロの水樽をひょいひょいと担いでいく。


 シノが 穀類の入った20キロの大袋を担いでいるのを見たこともある。


ピピとララは洗濯に忙しく、


タンタンは、天海号が仕入れる水と食料の、確認と支払い、

 それが終われば 真水をバラストに汲み入れる手伝いをしていた。


キョーシローは、船員達の衣類やリネンなどの搬出と搬入&

 船に積み込んだ食料を食糧倉庫に収納する。


「鍛錬の為に 私も水桶を運ぼうか?」


「本当は そうしたいところなんですがねぇ」シノ


「さすがに 子どもにそんな重労働をさせたら 他の船員たちから怒られますのでおやめください」セバス


「子供?」


「お嬢様のことを 少年、10才くらいの子供と思っている船員たちも多いのですよ」セバス


「髪を短くなさってからは 寄港先の街の住民もみなそう思っています」シノ


「ですから 私達が運び込んだ水桶を デック備え付けの大樽に注ぐ役目をお願いしますね。

 それが終われば、キョーシローを手伝ってください」セバス

  (やっぱり鬼は 鬼だった)


おかげさまで ジョーダン~トメの航海中は、2・3日置きに 重量挙げの鍛錬ができました。


だって 真水桶って私の背丈位あるんだもの。

 だから 私は足台に上って 10キロの水樽を持ち上げて 大樽に注ぎ込む。

 貴重な水だから 1滴もこぼしてはいけない。

  だからしっかりと踏ん張って!


 コツをつかむまでは 大変だった。




「こんな 使い切れないくらい 水をため込んでどうするの?」


「何をおっしゃいますか、トメを過ぎれば、寄港が5日~10日に一度になるのです。


 それに 万が一に航路を外れたときのことも考えれば

 せめてお嬢様の分だけでも1か月分の水と食料は確保していおきたいですから」タンタン


「はい お心使いありがとうございます。」


(でも ここに大樽があるのはみんな知っているから全員に分けることになるんだろうなぁ)


「実際には そうなりますね たぶん。」私の心を読んだシノがほほ笑んだ。


・・


(1人だと1か月分、7人だと約4日分・・

  あれ?)


大樽の前で 容量と一人当たりの1日の真水の割当量(飲食用を含む)とを計算して気が付いた。


大樽1個で 7人1か月分があって、その大樽が6個ある!!




「樽の中の水は どうしても、長期保存で(いた)みますから

 毎回 順繰りに空にして、補給していくのです。


 それに ここの樽の中の水を使って俺は料理していますから」キョーシロー


「でも 高い位置に それも片側だけに水樽を置くと船のバランスが悪くならないの?」


「特別船室の向かい側にある 船長室にも水樽はありますし、調理室の大半は食糧庫になっていますから、左右のバランスは大丈夫ですよ


それに 船倉には 荷がぎっしりですから。」キョーシロー&タンタン


(すごいなぁ、そんなに運送契約を取り付けたんだ。 準備期間が短かかったのに!)


「にしても どうして 調理室に水の大樽を置かないの?」


水盗人(みずぬすびと)を作らないためと、万一水漏れがあった時に、他の食品が水濡れしてダメになると困るからです。


 特別船室区画と船長室なら、鍵も頑丈、常に見張りが付いているようなものですから」キョーシロー


「水盗人っているの?」


「人間 生死がかかってくるといろいろありますからねぇ。

 それに 船員がしっかりしていても、船客たちがね。」キョーシロー


「なるほど。

 それで わざわざ 食糧庫や調理室を 一般客が立ち入り不可の2階に設置してあるわけね」


「そうです。

 それに 一般客の方々は、埠頭(ふとう)から 水平移動で乗り込める1階フロアで過ごす方が楽ですから。」キョーシロー


「そういえば お客さん達は 1階の中央乗降口を利用して、

 私たちは 船尾側にある1階の専用乗降口を利用して、そのまま船内階段を使って上へ

 そして 貨物の類は、1階船首側の荷物用乗降口から船底に運び込んでいるわね」


「よくご覧になっていますね。

 やはり 動線を分けたほうが、余計な気を使わなくても良いですし

 保安警備もやりやすいですから。」キョーシロー


「いろいろ 教えてくださってありがとう」


「どういたしまして。

 船のことは なんでも俺に聞いてください。

 俺だけではわからないことは 俺からコチや他の船員に尋ねたり調べて報告します。


 せっかく 特別船室で 一緒に食事をしているのですから、質問は歓迎ですよ」

キョーシローはニコニコしながら言った。


(キョーシローって 質問すると だんだん 回答のあとのニコニコが増えていくような気がするのだけど なぜ?)


(それにしても 2階にある調理室から 1階の食堂へ 料理をどうやって運んでいるのかしら?)


 

※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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