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貧乏領主になりました  作者: 木苺
第4章 王都ジョーダンからハテンへの船旅 :西海岸(北部)
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船上茶話会

入港3日目の午前中は 天海号2階のオープンデッキ、つまり 私たちの特別船室の外に広がる甲板部分で、茶話会を行った。


 お客様は もちろん 街の方々。

  タラップをつけて 岸壁から直接2階のデッキに出入りしてもらった。


✿ ✿ ✿


噂千里を走るということばがあるけれど、海運会社「天海」発足と 大陸を半周以上する大型客船天海号の就航は、新年休暇を楽しむ各地の人々の恰好の話題になった。


 ヒノモト国では 冬が長期休暇のシーズンなのだとか。


 王都の年賀行事に向けて 富裕層の大移動がおこなわれるだけでなく

 農業・林業に従事する人も農閑期。


 それゆえ 金持ちはレジャーにいそしみ 庶民はのんびりと もしくは閑を持て余す時期だとか。


 そして金持ちも庶民も皆 1年で最も噂話に花を咲かせる時期でもある。


 そこにまかれた格好の話の種が 竹林省新領主の年賀パフォーマンス&天海号


 もともと王都の年賀行事での様子は、随時早馬で各地へ伝令が伝えている。

  各地の商売人や有力者たちが、ニュースを求めて そのように手配しているから。


 だから 天海号の運行スケジュールが発表されるや否や、入港時間に関する賭けが行われたり、

 入港してくる船を見たい・記念乗船したいという人々が続々と 入港予定の港に集まっていた。



王都ジョーダンから北の岬に向かう西海岸はにぎわっている。


そして 大型船で移動するのも、6頭立ての馬車で疾走するのも、移動時間はさほど変わらないらしい。


 ただ 馬車の中はスペースが限られて、船室の方が 体を横にして眠れる、しかも食っちゃ寝できるという快適さには違いがあるらしいが。


 というわけで、王都での新年の儀を済ませた人たちのうち、高速馬車で郷里に帰った人たちが

天海号とほぼ相前後(あいぜんご)して 港近辺(きんぺん)に帰宅していた。


 また 沿岸の人々は 年末に 天海号が沖合を無寄港で航行する姿も見ていたので、

その船が入港してきたというので 好奇心いっぱいだ。



というわけで、入港した2日目は、船から出した洗濯ものの出来上がりを待つ間に

水や食料などの補給を済ませる一方で、

3日目に開く船上茶話会の申し込み受付もしていた。


 先着50組 合計100名様限定での 船上茶話会のチケットは、あっというまに完売したそうだ。


 ◇ ◇


茶話会なので 甲板に机といすを並べて、湾内1周1時間の船旅を楽しみつつ

みんなで お茶を飲むだけ(笑)(禁酒です)


それでも みなさん 爽やかな潮風を楽しんだり、「わーい 海の上から自分の家が見えた!」と大騒ぎ。


そして 人生初めての船酔いに苦しまれた方には、「船酔い初体験記念グッズ」(蓋つき容器)が無料プレゼント。

 今回は、青地に帆船の絵がついたツボを用意しました。


 之が意外と受けたので、のちに、『白地に かっこいい船乗りの姿絵つき(モデル キョーシロー&コチ)』壺バージョンも作りました。


 船酔い真っ最中は苦しいが 逆に言えば 陸に上がれば納まってしまうのが船酔い

 使用済み容器の中身を捨てて洗えば まぎれもない乗船記念品 しかも非売品のレアもの。


・実は、最初の寄港地での2日目の朝に、港での予定の確認をしていた時 

 「船上茶話会で船酔いをしたお客様の対策は?」と私が問い


 「客に販売できるほど 酔い止め薬の在庫がない!」ということがわかり


 とりあえず 客の人数分のたん壺を用意することなったのでした。


 そして たまたま無地の青い壺を用意することができたのですが

 「汚れものの入った壺の 後片付けは嫌だなぁ」キョーシロー


 「そのまま持ち帰ってもらったら?」私


 「そんな奇特(きとく)な人いませんよ」シノ


 「コストが」タンタン


 「二束三文の壺を持ち帰られては 天河家の沽券にかかわる」セバス


 「安い品でも無料進呈しては 経費がかさむ」タンタン


 「だったら、壺に絵付けをして プレミアム感を出そう!

  

  それに つらい船酔いの噂が広まって 乗船希望者が減るよりも

  たとえ船酔いしたとしても 代わりにプレミアムグッズがもらえるからそれもまた思い出になる

  と帰宅してからの土産話のネタにしてもらった方が 乗船希望者が増えて

  トータルでトントンにできるのでは? 」私


 ということで、入港2日目は

  特別船室付属のデッキで、せっせと壺に帆船の絵を描き続けたのです、私。


 (シノが 洗っても落ちない 壺に描ける染料と筆を持っていてよかった。)


◇ ◇

最終的には これらの壺に対する需要と人気のたかまりにより、

天海号の茶話会での限定販売品として、5種類の壺が定着しました。


(ちなみに 宿泊してのクルーズのお客様方には 酔い止め薬を販売しております。)



 青い壺に 白帆の帆船を描いたのものは 染料と手間がかかるので少しお高く


 白い地色に 絵のついた4種類の壺は同じ値段

  ①青い海と金色に輝く船を描いたもの

  ②舵輪を握る海賊スタイルのコチ

  ③海の魔物とキョーシロー:魔物の違う2種類がある


 のちに 海の魔物単独絵柄のモノも①②の仲間として加わり

 ③は絵柄が複雑だからという理由で廃版となり かわりにキョーシローと魔物たちそれぞれの単独の絵姿になりました。


 実のところ、戦いのシーンが壺の絵柄としては受けなかったのです。

  魔物と戦いながらも安全に航海する天海号というイメージ宣伝には大いに役に立ったのですが。


 そこで 親しみやすい感じの魔物たちとキョーシローの単独絵柄にすることにより

 新たなイメージづくりとしました。

 


そして 竹林省で 焼き物に適した土のある場所で、これらの壺を作る村を作りました。

 やがて そこでは このツボだけでなく、食器も作るようになりましたが それはまた別の話。


一方 船内で使われている食器類は 落ちても割れない木製・漆塗りの食器類です。

 これもまた、豪華客船のイメージにふさわしく 高級品を作って船内で使用したり

 クルーズ客限定で 船内販売もしたりと販路を広げて、村おこしにつなげました。




 生産設備と技術があっても、顧客が少ないと どうしても製品を買いたたかれてしまう。


 しかし 安定した需要があれば、販売価格も ほどほどにお高くして

 生産者の手取りを多くして 生産者の生活水準を引き上げることができる。




 需要喚起 ⇔ 大量生産で生産コストを下げる:販売業者はもうかる

           ↓

    需要が減れば 生産者の生活水準を圧迫するほど値下げを強要して 商人は利潤を確保

    生産者は衰退して 生産技術が失われる、生産設備も更新されずに壊れていく

           ↓

    販売業者だけがのさばり 生産者がいなくなる


 そんな資本主義の原理なんて くそくらえです!


   需要喚起は あくまでも その製品の生産者の生活水準が、

   他の職業の市民と同じ程度まで上がるくらいの販売価格を維持する為のもの

   であるべきだと思う


   そして「需要」とは 原料確保のために自然を荒廃させたり、

   労働力の確保のために生産者を疲弊させることのないように

   ほどほどに抑制されるべき存在であると考える。


 古典的経済原理における「意識されざる前提」を踏みにじった「経済モデル・理論」なんて

 社会の支配権を 武力から経済力におきかえようとする支配層にゴマをすりたい学者が考えた

 詐偽の拡散手法、政治的欺瞞でしかないのではないだろうか?

  


  そして 

   無責任に己の欲を満たすためだけに金儲けに走る商売人に権力を持たせてはいけないし

   政治と商人(企業)は 常に切り離しておく必要があると考える。


    政商が国を動かす国家は 世界に混乱と不和をもたらし続ける癌のような存在であることは

    フランスの歴史(外交史)を見ていれば明らかである。


これもまた 夢の世界の話ではあるけれど。

 夢の中の私は フランス・ドイツ・イギリス各国の経済政策を支えてきた学者たちの本も

 庶民を労働力として活用するために考え出された社会主義者たちの所説~

 ガルブレイス・サミュエルソンの経済理論も、投資のための確率・統計論にもとづく手法も

 ぜ~んぶ勉強してたんだ。(笑)


 イギリスにおける社会福祉論の原点は、「健康で長生きする労働者=安定した質の良い労働力を確保」にあったんだよ。

 そこを覆い隠して庶民を政治的原動力にするために社会主義だのなんだのイデオロギーがうみだされたんだし、

 そこを隠す気もなく 為政者が強引に事を運ぶ為に、官僚育成のためのセオリーにしたのが共産主義思想なんじゃないかなぁ。


 東の国の日本は そういう背景を気にせず、庶民的発想(個人の思い込み)でそれらの理論なり思想を振り回す人が多くて その後の没落につながったみたいだけど。




 夢で見た世界の過ちを、こちらの世界=ヒノモト国や竹林省で繰り返さないように気をつけながら


 領内の新事業の展開には 信頼するプロフェッショナルな先達の知見をもとにすすめていく


 そんな毎日を送る 新米領主・領主見習いの私です。



※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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