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貧乏領主になりました  作者: 木苺
第4章 王都ジョーダンからハテンへの船旅 :西海岸(北部)
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特別船室の実態 (特別船室の図・写真あり)

船に乗り込んだとき、特別船室の広さに感激し豪華だぁと喜んだ。


しかし だんだん 思ったほど贅沢ではなかったと気が付いた。


特別室は10畳のくらいの居間に6畳くらいの個室が二つ付いている。

個室にはトイレ、居間にはミニキッチンもついている。


これだけ見ると わぉ!って思うでしょ。


でもね実態は 2LDKの部屋に女4人と男3人が詰め込まれているわけですよ。


男3人というのはね、セバスとタンタンとなんとなんと、気が付くとキョーシローも同室だったわけ。


どうしてキョーシローまで居るのかと言えば・・・

本来、水先案内(魔物対応込み)のキョーシローは船長のコチと同室だったはずが・・

 コチのいびきがうるさくて眠れないとタンタン達の部屋に転がり込んできたのですよ!


いくら 天河家直属の雇用人とはいえ、うら若き乙女の部屋に 青年を寝起きさせんじゃねー!と心の中で叫んだ時点でアウトでした。


「お嬢様 心配なさらずとも ガサツなお嬢様の言動を知れば100年の恋も冷めます」とセバスチャン


「心配には及びません。我ら3人が お嬢様のそばに控えておりますれば」シノ・ピピ・ララ


orz orz orz


寝室が男女別に分かれていても、もろもろの日常生活をすごす居間や付属のデッキで顔を合わせるのは・・

 寝起きの顔とか 寝ぼけた顔とか ぐで~としている姿とか・・ 見られる方が恥ずかしい。


 セバスチャンは 最初から執事でお世話係で 最初に目覚めたときから(そば)に居た人だし

 タンタンは 年の離れた大人で しかも私がきちんとしている時しか姿を見せないから

 今まで気になったことはないけど、

 キョーシローは、ぜんぜん知らない あったばかりのお兄さんだから 恥ずかしいのよ。


 しかも わりと 私のことを観察しているっぽいし><


   と、ピピとララに訴えたら、

「このさい 異性への耐性を養うと思えばいかがでしょうか」ピピ


「よかったですね 比較的 歳の近いお兄さんができて」ララ


「船員見習いとして鍛えてもらえば 恥ずかしがっている暇がなくなるよ」シノ


と言われた。


(そうか キョーシローからの信任が得られれば 彼もまた 私の教官の一人になるのかぁ

  気合をいれなくちゃぁ・・・    うっ 酔い止めの薬がまだ必用だ・・・)


挿絵(By みてみん)


では、居室での1日の流れに沿って、特別船室の様子も説明しよう。


・起床:何時でもいい。

 でも 同室の3人が朝の6時には起き出すので 私も一緒に起床。


 トイレは寝室の外のデッキに設置されている。

 早い話が 囲いの中のおまるで用を済ませて、海水をくみ上げて、おまるの中身を捨てた後すすぐ。


・船は 下から、バラスト(真水入れ)、荷物室(船底)、船員&一般客の部屋・食堂・娯楽室(居住区)、操舵室・船長室・調理室・特別室・甲板のあるオープンデックの4層構造になっている。


 (バラストとは船のバランスをとるための液体の入った大きなタンクのこと。


  貨物船の場合、空荷の場合、喫水線が上がって船が転覆しやすくなるので

  重りがわりに最下層のタンクに水を入れてバランスをとる。


  機関が発達し大型貨物船が主流となった時代には、

  経済性を重視して海水をバラストタンクの中に詰めて航行し、

  貨物を積んだ港で、バラスト中の海水を海中に放出するため 

  海の生態系を乱すと問題になった。


  しかし、帆船時代の船は バラストに詰めるのは当然真水であり、飲み水であった。


  そして 帆船におけるバラストというのは、波に対する推進力を得ることにも役立っていた。

   いわゆるヨットの原理だ。 


・さて 居室の説明のはずが 何でいきなり船の構造の話に飛んだかと言いますと・・


地上の建物に例えると地下1階にあたる荷物室は喫水線の下にあたります。


居住区の床が海面くらいの高さとすると

私達の部屋や操舵室のあるデックは海面から2mくらい上にあるのですよ。

 (甲板のことをよくデッキと呼びますが、ちょっと格好をつけてデックと言ってみました。

   すみません)


だから 御用の後は海から水をくみ上げて、お丸の中身を海に洗い流してねと言われると・・

 約3mのロープの先にあるバケツをですね、

 投げおろし、水を汲んで引き上げないといけないのですわ・・


 めっちゃたいへん


船は揺れる 揺れる 波はたつ

その状態で海中にバケツを投げ入れるのって大変ですよ


しかも ちゃんと船の進行方向にあわせてバケツの口が向くように投げ入れて

タイミングよく引き上げないと・・


 風力で動いているときには、バケツと一緒に体が後ろにひきずられてしまいます。

 だって 船は前に進み バケツは投げ込まれた場所から動かないから

 船上から見ると バケツが勢いよく後ろに進んでいくのと同じだから・・


風にのって船が全速前進!みたいな感じだと 水汲み(つら)いです

 失敗してバケツを海中に残すと 飛び込んでとって来いと叱れるし・・・


実際 一度落っことした時には、「今回限りですよ」と言いながらピピが飛び込んでバケツをとってきましたから。


でも、風が()いでいて、潮の流れに乗って動いているときは、バケツと船は同じ速さで動きます。

 そういう時は ちょいちょいとロープを揺らして、バケツの口が上に向くようにしてから

ロープを手繰ってバケツを引っ張り上げればいいだけですが、それでもやっぱりむつかしい。


 滑車を使った井戸の水くみでも、水面でのバケツの操作(=ロープをちょいちょいと動かすこと)はそれなりにコツが入ったのに、動く船からバケツを下ろして海水を汲むのは、もっとむつかしかった。

 (()を上下するだけで水が汲めるようにと、井戸に 手動ポンプを取り付けた先人に 大感謝ですぅ!)


というわけで 毎日3回は水汲み修行ですわ。

 というか 乗船後 しばらくは 海水汲みの特訓を受けました。


一応 海水は汲み置きなんです。

 そして使い終わると 後の人の為にきれいな海水を汲んでトイレの前に置いておくことになっている。


 特訓中は 甲板に出て、水夫たちが甲板掃除などに使うらしい海水のくみ上げ作業をやらされました。(実際には 彼らの用足し後に使われていたみたいだけど)


 ピピ・ララにしごかれる私を見て 水夫たちは 「少年 やるじゃん! 根性あるねぇ」などと褒めて?くれました。


 特訓のかいあり 海水の汲み上げが上手にできるようになると、船長のコチから「特別キャビンボーイ」に任命されました。


 船長直々(じきじき)の任命は 大変な栄誉なんだそうです。


◇ ◇


『えっ キャビンボーイとしてしごかれていたのでは、 一般船客として乗り込んでいる よその領主達の前で 沽券(こけん)にかかわるのではないか?』って。


 新年早々の出港だったので、領主階級の方々は、大みそか・元旦と2晩続きの徹夜と宴会でお疲れ

&今年は紹介状のやり取りなどのために領主自らが うち(天河家の王都館)までおいでになるので体力を使い果たし、皆さまご自分の船室でぐっすりお休みになっていたのです。

 

 なにしろ、例年なら 年賀のあいさつ回り・お宅訪問の対応は家令まかせにすることもできたのに

 今年は海運という一大事業にかかわることなので領主達が自分で動かざるを得ず

 例年になくたいへんだったとか。


疲労回復のための睡眠のあとは、酔い止め薬の効果でさらにしっかりとお休みになり


それに 一般船室には窓が付いているだけ、


起きていらっしゃるお客様方も、1階の居住区にある食堂と娯楽室と共有デッキで過ごされ、


(階段室には鍵のかかる扉と見張りが居て、船客が居住区以外に行けないようになっているので)

港に入るまで 船客たちと私とは、互いに姿をみることなく過ごすことができ

2階のデッキで海水くみ上げ練習をしていたところも見られることなく大丈夫でした。



なにしろ 船客用の食堂では3度の食事、

娯楽室と共有デッキでのお茶が10時と15時、さらにお夜食が22時に出るので、

皆さま 御歓談と 御飲食と カードゲームで忙しく過ごされているうちに

時が過ぎるようになっています。


 もちろん 船客用のフロアでは、バイオリン・フルート・バンドネオンの演奏者が、交代で音楽を奏でております。


挿絵(By みてみん)


 バンドネオンというのは、両側にボタンのついたアコーデオンのような形の楽器です。

 

 アコーデオンよりも小型なので、持ち重りがせず、立ったまま長時間演奏することができます。

   アコーデオンは重いので肩紐必須で、

   演奏者の体格に合わせて肩紐の調節が必要なので

    (さもないとひじと手首の角度が不自然になり手首や手の甲の骨に負担がかかりすぎる)

   楽器を共有するのが ほんと面倒><


 しかも アコーデオンのように 鍵盤を押したときにパタパタ音がすることがないので

  軽やかな指さばきで 軽快に曲が奏でることができる♡


 その一方で 一音を長く音を持続させる時には、指先でボタンを押し続けなければいけないので

  鍵盤楽器を操るのとは違う部位の指先の筋肉を鍛える必要があります。


  バンドネオンを「悪魔が発明した楽器」と呼ぶなんて><

    バンドネオンちゃんとその演奏者に対して失礼だよ!その呼び方!


 タンゴなど情熱的・躍動的な踊りの伴奏にピッタリのバンドネオン


 ワルツなど優雅な踊りの伴奏にはバイオリン

  もちろん フィドルの代わりにタップダンスの伴奏もできるバイオリン


 そして バイオリンとフルートがあればクラッシックなどの鑑賞曲の演奏もばっちりです♬


◇ ◇

 さらに、2階の居住区には 防音が完璧な商談室が1室だけあり、

今回そこは、天河家が借り切っておりました。


 (海運会社天海は 天河家とは別会計になっているので

  今回の航海でも、部屋代などは天河家から会社「天海」に代金を支払っております。

  たとえオーナー割引があっても)


 商談室の前室には、天河家ゆかりの者が護衛兼受付として張りつき

 奥では、客の用向きに応じて セバスまたはタンタンとその配下の者が対応しておりました。


それゆえ 領主達も私に会うことなく商談はすすめられましたし、


領主達にとっても、天河家当主との直接面談を希望して こちら側の心象を悪くするよりも

まずは商談をまとめることが最優先だったのでありました。

※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です


(参考)

・バンドネオンについて


画像出典:下記2枚から合成

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%B3


 https://museum.min-on.or.jp/collection/detail_K00118.html

  (民族音楽博物館)


 バンドネオンの演奏者などの説明のあるサイト:教室案内をかねた商業サイト><

   https://www.eys-musicschool.com/media/bandoneon/

     演奏しているユーチューブへのリンクあり

  

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