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貧乏領主になりました  作者: 木苺
     王都にて
43/123

イプ (写真あり)

元旦の夜を徹したダンスパーティーは、 ファッション・モード(流行)の競い合いと政治的駆け引きと商談の場であった。


しかし 私は未成年なので、ダンスファッション(モードの先駆けとなるもの)を披露した後は、セバスとタンタンに任せて、馬車の中で眠っていた。


草木も眠る丑三(うしみつ)(どき)が過ぎた頃 シノに起こされて身支度をすませ、

こっそりと大広間に戻った。


多くの領主たちが 大広間のあちこちで 居眠りをしていた。



シノは素早く私をセバスが立つそばに連れて行った。

事前にうちあわせていたように 私は黙ってシノとセバスの前に立った。直立不動で。


やがて ファンファーレが鳴り響き、王が入場した。


ファンファーレで目覚めたらしい領主たちもあわてて整列した。

王座を囲むように弧を描いて。


「天河家の者前へ」

突然王に指名された。


私達3人は御前に歩み出た。


「そなたち 見事に今年のモードを産み出した(よう)じゃの。

 祝いにこれを取らす」


 イプを3個下賜(かし)された。


「せっかくじゃ 早速使って見せよ」神官が私達に言った。


「うむ それも一興」と王ものっかった。


「おそれながら 私は若輩者ゆえ、この者に先導役を務めさせてもよろしいでしょうか?」


「許す」王の許可を得て 私とシノは場所を入れ替え床に座り、イプを体の正面、開いた両足の間に据えた。


「ウイア ~ ケアハヒー」とシノがオリを唱え始め、

それを私とセバスが復唱し、そのあとは 3人でイプを叩きながら歌った。



神官たちは 私達の一挙手一投足を記憶に焼け付けようとしているかのように 熱心に耳を傾けながら私達の動きから目を離そうとしなかった。


オリが終わると、王は 「うむ」とうなづき 手を振った。



私達は イプを持って後ろに下がり、

セバスとすっと近づいてきたタンタンに3個のイプを分け持たせた。

 二人は 素早くイプを抱えて脇によった。


すぐにスチールギターの音が響き渡った。日の出の輝きと共に。



領主たちは全員で アロハオエを歌いながら踊った。

 むくつけき男達の中には 女のように体をくねらせている者もいた。

 私・シノ・ララは 腕の動きに心を込めて踊った。


神官たちが 踊りながら進み出てきたので、私達3人が率先して陣形を変えて

王を挟んで 領主たちと神官たちが向きあうように 列を誘導した。アイコンタクトを駆使して。


かくして無事に 新年の祝いを終えることができた。


(参考)

挿絵(By みてみん)

 Ipu by O Kekuhi

(本文のイメージの源泉となったビデオの一コマです。

    http://uananiasosan.club/kahiko/ よりお借りしました)

※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です


(参考)

イプ:ヒョウタンで作った打楽器

オリ:踊りを伴わない詠唱

カヒコ:フラの中でも 古典的なもの

    自然に感謝をささげるチャント(祈り)


http://uananiasosan.club/kahiko/

https://ameblo.jp/aloha-hulalinomauloa/entry-11977267150.html

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