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貧乏領主になりました  作者: 木苺
第2章 竹林省の運営: 役割分担
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1日大臣・なりきりコスプレ

というわけで バッキ―とタンタンにかけられていた魔女の呪い、もとい冤罪は晴れた。

 竹林省の再統合も終わった。


それゆえ ヒノモト国竹林省の領主の個人的使用人と、竹林省の官吏の第1回人事を決定することになった。 


「私の使用人が 省の官吏も兼任するの?」


「ほんとは 分けたかったんですがね、経費節約と、採用人事を割と丁寧にやったので ついでに割り振っちゃおうかと」

セバスがえらく砕けた言い方をした。


「でも レセプションの時にたくさんいた大臣たちはどうなるの?」


「あれは 1日大臣の栄誉を買った一般市民です。」


「はっ?」


「そうでもしないと 宴会の食材を購入できませんでしたから」

珍しくフローラが口を挟んだ。


「私は 嫌だったんです。そんな売官めいたこと。

 でも 無い袖はふれませんしねー」セバスチャン


「出席者たちが なりきりコスプレに大枚はたいたおかげで

 久しぶりに県下の経済活動が活性化したと 市民からも好評だったじゃないですか。


 商店主が儲けただけでなく 女性達はみんな臨時のお針子として賃仕事ができて、

 男達も運送の仕事が急増して失業者ゼロ。

 全世帯に臨時収入。


 出席予定者達が 互いの衣装の内情を探るために子供達を雇ったり、

 最後は 隠したり探ったりするのが面倒になって、

 事前予行演習と称して衣装のお披露目会を開いたおかげで 飲食関係も大盛況。

  臨時雇いも増えたので、毎日働きに出ることはできないけれど、臨時収入は大歓迎と思っていた人たちも大助かり。


  なにしろ 竹林県では、仕事を分け合うことによって、収入を得る機会も分け合う

  ワークシェアリング、真の意味でも機会均等が根付いていますから。


 みんなHappy ウハウハで 新領主着任歓迎ムードも高まりましたでしょ」フローラ


「確かに 孤児院の立て直しができるほど 子ども達の仕事が増えたのは予想外だったな」セバス


「あれがきっかけとなって 年長の子供達の就職先も決まりましたしね。


 先のご領主さまが 子ども達の教育に力を入れておられ、

 無料で通える学校を作っても

 なかなか我が子を就学させたがらない身勝手な親たちに見切りをつけて、

 希望するこども全員が入所可能な福祉施設を作ったのです。


 孤児院の入所・在所条件はただ一つ、入所中は勉学に励むこと。


 小遣い稼ぎの為の就労は 勉学に差し支えない範囲限定


 子ども達が自ら入りたいと言ってくれば即入所可。

 子育て負担から子供を預けたいと保護者から申し出があれば受け入れる。

  ただし、入所したこどもに一度でも親が金品を求めれば 状況調査の上 親を処罰する。


 子供が望むなら親子の面会は自由ですが、現実には親と会いたがる子はいませんね。


 保護者がいないか、子供を使って自分達が得をしようとする大人から逃げてきた子がほとんどですから。


 中には 親が福祉的援助を必要としており、こどもに負担をかけたくないからと子供を預ける人もいますが、

 そういうケースの場合、最初のうちは子供から親に会いに行ったり 子供が幼いときは子供の希望に合わせて職員が送迎もしていますが、

やがて子供の方から自然に足が遠のくようです。

 理由は 「孤児院に居る方が楽しい・親に会いたいときはいつでも会えると言う安心感と 実際に会いに行くと楽しくない・つまらない」というのが理由のようです。

 


 事業主たちは、最初は使い走りくらいの気持ちで 孤児院のこどもたちを雇ったのですが、

 子供達がみな 読み書き計算のみならず 礼儀作法も気働きもしっかりできるとわかって、

 全員 正式な雇用契約を結ぶことができました。

 もちろん 変な付帯条件や搾取なしのね!」

とフローラが胸をはった。


「つまり?」


「孤児院のこどもたちは 全員この契約書を使うことになっております」

と書式を見せられた。

その契約条件は いわゆる日本の労働基準に沿ったものだった。


「この契約が なぜ 一般化してないの?」


「その契約書の形式を定めたのは 先のご領主様でした。

 公布されたあとすぐにお亡くなりになったので 一般化できなかったのです」フローラ


「そうなの?」


「さようでございます。

 ですから お嬢様がお目覚めになってすぐ ご両親様と同じ雇用方針を(つらぬ)かれるおつもりと伺いまして 正直 驚きましたです」セバスチャン


「竹林省は 二代続けて良きご領主様に恵まれて幸せです。

 どうか長生きなさってくださいまし」フローラは(ひざまづ)いて嘆願した。


「期待に沿えるように がんばります。」

フローラの両手をとって立たせた。


「これからも 私の力となり盾となってください」


「お約束致します」フローラは胸に手をあて 忠誠を誓った。

※ 土日休日は 朝8時 

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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