帆引き船
※ ここで描いている「帆引き船」は霞ヶ浦の帆引き船を参考にしております。
しかし物語の中の「シロザカナ」は あくまでも想像の産物で、
霞ヶ浦の帆引き船漁で採っている魚とは無関係です。
東町に1泊した翌朝は、「帆引き船漁」を見学した。
東町の南側には、陸側に大きく海水が侵入した「浦」がある。
もはや汽水湖と言っても良いくらいの大きさである。
ここには、シロザカナと呼ばれる細長い小さめの魚が居るそうだ。
栄養満点で年中獲れる繁殖力旺盛な魚らしい。
ゆえに 稚魚のうちは佃煮に、
大きくなればささがきにしてスープの具にしたり、
さらに大きくなれば、かば焼きにするそうだ。
それゆえ、佃煮はペンペンに出荷して、スープの具とカバ焼きは基本的に地元で消費してしまうらしい。
ウマイヤに言わせると、シロザカナの蒲焼きは、活きの良い魚を、焼く直前に皮をはいで調理するのが良いらしいのだが、その新鮮な生きてるシロザカナを入手するのがむつかしいらしい。
地元の人に言わせると、カバ焼き用の旬が短く、漁獲量も地元で消費するのにちょうどよいくらいの量なので、わざわざペンペン迄生け簀に入れて運んでも採算が取れないとのこと。
なので、食べたければ 東町まで自前の船で魚を引き取りに来るか
さもなければ 東町まで食べに来て下さいとのであった。
というわけで、昨夜は シロザカナのササガキと豆腐と青菜のスープを夕食に頂きました。
たいへんおいしゅうございました。
シロザカナからにじみ出たうまみの溶け込んだスープは さっぱりとしてコクがある♡
(ウマイヤは 佃煮とかば焼きのことしか言ってなかったから
このササガキスープのことは知らないんじゃないかしら?
これは 良い土産話ができたわ♬)
そして 本日のメインイベント♡
「帆引き船漁」の見学♬
船の全長を超えるとても大きな帆が 風をはらんで半円状に広がり、
船が 滑るように横に動いていく様は壮観であった。
この帆は、長い布と布を十数枚横に並べて、細いロープでたすき状に結ばれている。
(2段下・左の写真参照)
この縦にも横にも広がった帆を支えるのが、帆柱・帆げた・出し棒である。
「出し棒」というのは、船首・船尾それぞれから前後に張り出している長い棒である。
この前後の出し棒に貼り渡した針金(帆足)が、帆の下側を支えている。
帆足に通した金輪に、帆の下部から伸びたロープ(帆足つけ縄)を結び付けている
帆の上部を支えるのが帆げたである。
これは 長さが必要なので2本の竹をつないでいる。
太い竹に細い竹を差し込んでつないでいる。
この帆げたを、天秤のように吊り下げて、帆柱に添って上下させることにより、帆を上げたり下ろしたりする。
この天秤として吊り下げるときに、帆下駄の長さの中心と、帆げたの重心を一致させないと、
帆を張った時に全体のバランスがとれない。
しかも、帆げたを構成する2本の竹のつなぎ目を保護するために、一本の竹を長くとって、
竹の継ぎ目を、帆げたのつり上げ位置(=一番力のかかる点)からずらしている。
なんという 微妙というか巧というか絶妙な継合わせ方法であろうか!
・帆柱もまた竹製である。
風に負けないよう、ややカーブしている竹が良いのだそうだ。
竹が水分を吸いあげなくなる秋~冬に切り出して、1年かけて乾燥させたものを使う。
船の全長の2倍ほどにも広げた帆が風をはらみ、横に滑るように移動しながら網を引く。
網の上端は「釣り縄」で帆げたに、網の下端は「出し綱」で出し棒につながっている。
「凧の原理」で動いていると説明されれば なんとなくわかった気になるが
じっさいに この造りを再現しろと言われたら・・・むつかしくて かなりむつかしくて
その道の人でなければ無理だろうなと思った。
だって 各部ともに 細部に至るまで、微妙且巧みな調整がくみあわさっているのだもの。
・それでも 漁師1~2人で船を風上まで漕いでいって、帆を張って 浦の中を走り回って魚をとる。
風まかせとはいえ、風向きさえよければしっかりと漁獲量が確保できる、
これもまた 自然環境と折り合いをつけた 漁の方法なのだろう。
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「一口に船と言いましても、いろいろあるのだと 実感していただけましたでしょうか?」
ペンペンに戻る船の中でスイレン船長が言った。
「はい!」と私
「経験と技術、その相乗効果によって 船も港も 海との付き合い方も決まるのですねぇ」
ララがしみじみと言った。
~~~~~~~~第2部第2章 終わり ~~~~~~~~~~~
この続きは今 しばらくお待ちください。
そのために 仮にですが 「完結」設定にしておきます
※ 土日休日は 朝8時
月~金は 朝7時の1回投稿です
・霞ヶ浦の帆引き船については かすみがうら市の公式サイトに詳しいので ぜひそちらをご覧ください。
動画:http://www.kozannotakara.com/page/dir000195.html
歴史・帆げたの製作光景など 多彩
説明:https://www.city.kasumigaura.lg.jp/page/dir000261.html
制作工程や道具類など 本文では触れなかった情報が豊富
観光帆引き網操業は7月~11月