ウマイヤの胸の内
(領主就任4日目 午後)
そして肝心のウマイヤとの契約はと言えば・・
「いいですか ウマイヤはケイタ―家の人間
ざっくばらんはなしです。
ケイタ―一家は 味方につければ役に立ちますが、侮られれば売られますよ」セバスチャン
「了解」
そして約束の1時となった。
ウマイヤは5分前には控えの間で待機していた。
5分前集合って律儀なこと。
「よく来てくれましたね。
座って話しましょう」
私は率先して座り セバスがウマイヤに着席するよう促し
フローラが茶を運んできた。
私からもウマイヤに飲むようにすすめ、率先して茶を口に含んだ。
ウマイヤも儀礼的に一口飲んで 両手を膝に置いてかしこまっている。
私は考え考え口にした。
「あなたは 料理を作ることと、家内をしきること どちらが好き?」
ウマイヤは目を大きく見開いた。
私は 彼を見て先を促した。
ウマイヤはゆっくりと、
「子供のころは 店長に憧れました。今は・・
自分の分をわきまえた仕事をすることが 生きる為に必要だと考えます。
料理を通じて 人の心を満たす仕事は好きです。
でも ただ調理するだけでは できないことが多いことも知っています。」と言った。
「たとえば?」
「調理の腕前だけでは 幸せになれない。
それは バッキ―を見ていてもお分かりになりますよね」
セバスが顔をしかめた。
目で彼に発言を促すと
「今のは 領主様を試す発言です」とぴしりと言った。
「ちがいます!
ただの修辞法です。
ご領主様」ウマイヤ
「あなたは ざっくばらんな話し方しかできないの?
それとも ざっくばらんに話したいの?」私
「すみません。礼法にのっとった話し方を習ってはいるのですが
もし お許しいただけるのなら この場ではざっくばらんに話すことをお許しください」ウマイヤ
「よろしい 許します」私
「ありがとうございます」ウマイヤ
「それでですね」ウマイヤは身を乗り出した
「砕け過ぎだ」セバス
「同感」私も相槌を打った。
あわてて居住まいを直すウマイヤ。
「続けて」私
「すみません。俺 ちゃんとした話ができないみたいです。
すみません。」ウマイヤ
「困った人ね。
そもそも あなたは どういうつもりでここに来たの?」私
「俺 今の生活が気に入っています。
でも・・
バッキ―のパンはうまい。
そのことは 俺も若旦那もケイタ―さんもみんな知ってます。
でも バッキ―に目をかけると不幸になるのも 街の人はみんな知ってます。
だから俺 領主様に不幸になってほしくない
でも バッキ―がここの料理人になれることで幸せになれるのならと思ったり、
俺だってお城で仕事をしたいと言う気持ちとで複雑です。」ウマイヤ
「私だって不幸の種を拾いたくないわ。
でも 人に禍をもたらすものをみつけたら、それは処分します。」私
ウマイヤはうつむいた。
「不幸の種というは 噂で決めるものではありませんよ」私
ウマイヤはパッと顔をあげた。
「あなたとの契約は、この街に巣くう禍の糸を断ち切るあなたの仕事ぶりを見て決めましょう。
まずは 禍の種が 噂通りバッキ―なのか、バッキ―が禍の糸に絡み取られているだけなのか それを明らかにしなさい。」
ウマイヤは勢い込んで口を開きかけたが それを遮り
「あなたの上司は セバスチャンです。
彼と話しなさい」と命じて 退出させた。
(なんとなく ウマイヤは、我が強く視野が狭いうえに 私を見くびっているように感じたので。
視野が狭いうえに、こちらを見くびって、男のほうが女よりもえらいのが当たり前と思い込んでいる人間に論理を解いても無駄なことが多いから、
まずは、私の権威を示し 私の部下の男性を 上司としてあてがって様子をみよう。)
(なんて 領主っぽくふるまってしまったけど (・・;) (;^_^A
ほんとに これでいいのかしら・・・)
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