絶壁を登る舟・「津々浦々」幻想:東小町(地図あり)
※「絶壁を登る船」の動画は後書きでアドレスを紹介しています
南の入り江の東岸は絶壁が続いていた。
しかしその中ほど東町のあたりに浦があった。
「浦」というのは、「海や湖が湾曲して陸地に入り込んだところ」
どっちかと言えば、霞ヶ浦みたいに不定形な形のイメージがあるけれど、
「入り江」という言葉を同じ文中でたびたび繰り返さないために
「浦」と言い換えるなど文学的な置き換え語としてもよく使われる感じかな。
「うらうらと照れる春日の~」なんて言葉を聞くと、
辞書的には「日ざしが明るく穏やかなさま」なんだけど、
私的には、海岸線でよくある、入り江が外海に並行するように入り込んでいる内海の、穏やかな海面に柔らかい陽射しが反射して
小さくキラキラ きらめくような穏やかな心地よい様子が思い浮かんできたりする。
もちろん知的には うららかな野の光景をイメージした短歌なんだろうとは理解しているけど、
池とはちがって、非常に穏やかな波があるからこそ光を柔らかく乱反射する内海ののどけき姿をみると つい「うらうらと」なーんてね。
そして「津々浦々《つづうらうら》」といえば、辞書的には「あちこち隅々まで」(丹念に探し回る)と言った意味合いだが、
私の頭に浮かぶのは、鳴門海峡辺りに面する四国の海岸線、いたるところに内海(入り江)が入り込み、外海と平行に走っているので、海岸線がものすご~く折れ曲がって長くなっているところとか、
紀伊半島の尾鷲湾から英虞湾あたりの 凸凹出入りの激しいリアス式海岸の海岸線などが浮かんでくる。
ああいったところを 海岸線にそって人を捜し歩くとしたら相当の距離を歩かなければいけないから・・
あのあたりに 誰かが隠遁したり隠れ住んでいるのを見つけ出して捕まえようと思ったら、それを個人で追跡しようとしたら ものすごく大変だろうなと(笑)
逃げるほうは、闇夜に紛れて海を渡って行けばいいけど(入り江から入り江、岸から岸へと ひょいひょいと)
追いかけるほうは、万が一を考えると 丹念に海岸線に沿って連なる村々・停泊場をめぐって情報収集と「見かけたら知らせてね」と言いおいて回らねばならないから、そりゃもう 大変な労力と時間がかかるだろう。
◇
・さて、東海岸にある浦は、海と接する部分が狭く絶壁に挟まれていた。
浦が海につながる部分の北側には、四角い入り江があった。
この入り江もまた、絶壁で囲まれていた。
また この四角い入り江の水深は深く、天海号が入港することもできた。
・四角い入り江と浦に挟まれた台地の部分・絶壁の上には、東小町と呼ばれる村がある。
一方、浦の内陸部分の土地が低くなったところには、東町がある。
東小町の西側の入り江の絶壁が、]の形に折れ曲がった部分には、艀を固定して浮桟橋のようにして使っている停泊場がある(図では ピンクの長方形で表している)
以前 天海号で人々を運んできたときには、お客様方をここに下ろした。
地元の方々は慣れたもので 崖に下ろされた縄梯子をひょひょい登っていったり、
崖の上の台地からおろされたゴンドラに載って引き上げられていった。
岩盤がしっかりとしているので、大きな貨物やゴンドラなどを引き上げるための滑車つきの躯体を しっかりと固定できるので、かなりの重量物も引き上げることができる。
いざとなれば、艀を引き上げることもできるそうだ
実はここ、小船すら、台地の上にひきあげてしまうの停泊場なのだ。
その実演を見せてもらって あっけにとられた。(※1)
※ 土日休日は 朝8時
月~金は 朝7時の1回投稿です
(参考)
・浦 https://kotobank.jp/word/%E6%B5%A6-441710
・津々浦々 https://www.weblio.jp/content/%E6%B4%A5%E3%80%85%E6%B5%A6%E3%80%85
(※1)https://www.youtube.com/watch?v=FqfN9jY9uH4
漁船、絶壁を上る崖の上の船揚げ場へ 東京・青ヶ島
・東京から358キロ、八丈島から70キロほど離れた離島青ヶ島
https://www.vill.aogashima.tokyo.jp/access/ (公式サイト)
典型的な火山島であるため、絶壁に取り囲まれ港らしい港を作ることがむつかしかった。
なにしろ 海に突き出した火山の噴火口・カルデラ部分に人々が住み、外輪山がそのまま海との境界線になっているのだから。
その光景(空撮映像)は、NHKアーカイブで堪能できる
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0002160635_00000
海底からの地形図・地質構造図などは
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/kaiikiDB/kaiyo13-2.htm
海上保安庁 海洋情報部 海域火山データベース が信頼できると思う。
・青ヶ島村というのは、火山の噴火口に住んでいるに等しい。
火山活動がなければ、阿蘇同様 のどかな田園光景になるのだが、
ひとたび 火山活動が活発化すると全島避難以外、助かる道はない。
・記録に残る青ヶ島の地震・火山活動は 江戸時代の1652年~1785年(大噴火)、そして2012年の海水変色のみである
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/322_Aogashima/322_history.html 気象庁
この 青ヶ島と八丈島については、「余談」として 別枠で投稿したいと思います。
物語本文とは 関係ないのでスルーOKです。
最初は 青ヶ島の港の歴史が興味深く調べていて、偶然 船のつり上げ光景の動画を見てさらに関心を強め とうとうバスリたくなってしまったのです。ごめんなさい。