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貧乏領主になりました  作者: 木苺
第2章 船と港:新情報でクルクルリンの春香さん
108/123

参考資料:小麦の輸入とニューマチックアンローダーと日本のHUB港

前話で、船倉から穀物を吸い上げて、荷揚げする装置を写真付きで紹介しました。


投稿時は 機械の名前がわからなかったのですが、知り合いから「ニューマチックアンローダー」という呼称を教えてもらい、関連記事をネット検索した結果を紹介します。

①ニューマチックアンローダー

http://www.sptj.jp/powderpedia/words/11652/

執筆者:粉体工学用語辞典

更新日:2021/07/18 より


「船車などにばら積みされた粉粒体を荷揚げするための空気輸送装置。完全に回収するため,吸引式が採用される。港湾で使用されるものでは,管路は上昇管と水平ブームからなる逆L字型をし,ブームは水平から 80° 程度の上昇と水平旋回が可能である。先端の吸引ノズルには管内輸送濃度を調整するため二次空気取り入れ口がある。また,回収の利便性のため可撓管が先端部や曲がり部に使われる。管路はノズルに向かって先細の入れ子式になっており,輸送動力の低減を図るとともに長さの調節が可能である。分離回収は主としてフィルター式である。大型ではレール上を自走する輸送量 600 t h-1,管径 600 mm,全長 40 m 程度のものがある。セメントなどの専用船ではアンローダーを自装しており,キニヨンポンプ,エアースライド,ブロータンクなどが使用される。」


・粉粒体というのは、平たく言えば 穀物などの粒粒ではあるが、外力に応じて流動する=吸い上げ可能なもののこと


②国内最大級のニューマチックアンローダの引き渡し ~日本一のHUB港をめざす千葉共同サイロ株式会社の新しい力に~

2011年9月28日

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2011/industrial_general_machine/2011-9-28/index.html


 IHI運搬機械株式会社(本社:東京都中央区、社長:大坪 英志、以下「IUK」)は、このたび、千葉共同サイロ株式会社(所在地:千葉県千葉市美浜区,社長:内藤 常男)から受注したニューマチックアンローダ(*1)(荷揚げ能力毎時400t:小麦換算)1基を納入しました。


 主な特長は、下記のとおりです。

1.積み込み設備の充実(ハブ(*2)港化への対応)

・従来は、穀物を停泊中の大型船からノズルで吸い上げて、サイロへの保管または直接、はしけ(*3)へ積み込む作業が主体でした。今回のニューマチックアンローダでは、はしけへの積み込み装置のほかに、直接内航船(*4)への積み込みも可能な装置を設置しました。この結果、はしけで同じ湾内へ輸送するだけでなく、内航船により日本全国どこの港湾にも穀物を輸送することができるようになったため、千葉港のさらなる機能強化(ハブ港化)に貢献しています。さらに、大型船が停泊していなくてもサイロから直接、内航船への積み込みができ、サイロ側では計量しながらの積み込みが可能なため、積み込み後の数量差による荷戻し作業がなくなり、業務の効率化が実現されています。


2.1本ノズルで国内最大荷役能力

・従来は、2本のノズルで300t/hの荷役を行なっていましたが、今回納入いたしました製品では、1本ノズルで最大400t/hの荷役を実現しています。これは国内最大の荷役能力となります。


3.免震装置の設置

・万が一、大地震が発生した場合に、被害を最小限にとどめ、お客様が安定供給出来るよう免震装置を設置しています。


 IUKは、約100年の歴史を持ち、常に運搬機械の技術をリードしてきました。1929年にニューマチックアンローダを納入して以来、穀物用荷役機械のパイオニアとして、国内外に多数の納入実績があり、日本の食飼料生産を原料荷役・搬送の分野で支えております。今後も、製造からメンテナンス改修まで対応する高度な技術力でお客様のニーズに最適な荷役機械を提供してまいります。


(*1):ニューマチックアンローダ:小麦・大豆等の穀物をばら積み貨物船より荷揚げする荷役機械。

(*2):ハブ港:海運の拠点となる国際的な港。

(*3):はしけ:港湾内や,河川・運河等の内陸水路で航行するために作られた平底の船舶。

(*4):内航船:国内における海上運送に使用される船舶です。

    海外から輸入される穀物を積み替えて国内の他港湾に二次輸送される時等に使用される。


~~

・上記の記事に載っている写真を見ると、前頁で紹介した機械よりも はるかに大型です。


近年、港の整備といえば、国際海上コンテナ輸送において、貨物を積み替える中継地としての役割を果たす港=HUb port を目指すという表現がしばしば・頻繁に使われます。


その為 設備投資も巨大化する一方


これは 岸壁の整備と表裏一体をなすものであります。


・その一方で、この30年の間に 国内輸送における船の役割が後退し、フェリー路線もフェリー港も閉鎖の一途でした。


ところが この2・3年の原油高の国際世情の不安から、急に国内の海上輸送に脚光があたり・・・


一体 日本の流通政策はどないなっとんねん!! と言いたくもなりますが

やはり 日本は島国、国内海上輸送と 日本領海の保安と航路の維持は 常に変わることなく重要かつ国防の要ではないでしょうか?


ただ、「国際的HUB港」という言葉に関して気になるのは、日本のメディアが主張するときには、しばしば各国間の輸出入の船の中継港として 東南アジアや韓国などの港を取り上げ、日本と比較して云々していること、

これって おかしくないですか?

日本の場合、各国から直接買い付けて、日本へ運んで日本で消費することを第一に考えて海上輸送しているのではないでしょうか?


日本における国際的HUB港というのは、あくまでも 日本国内で消費する食料・加工原料の輸入港のことであり、近隣諸国と比較することそのものがおかしいと思うのですが。


メディアが主張するように 日本の港も、アジア各国とアメリカ・アフリカとの船荷の中継点を務めさせよというのは、位置関係としても変だし、

猫の目のように世情がかわり、日本よりも治安も悪い、日本同様に気象・地学的リスクの高いアジア諸地域と アメリカ・アフリカとの流通のHUB役を務めるのは、経済的にも政治的にも 日本にとってのリスクが高すぎると思うのです。


アフリカ東岸の次は インドネシア~フィリピン近海及び港が イスラム系海賊の支配領域になると

私個人は予測しています。早ければ10年以内に。


船荷は 常に陸揚げ・港を必要とする存在(そうしなければ利益どころか投資の回収すらできない仕様)なので、地政学的リスクのある海域・港とはかかわりを持たないことが 鉄則なのですから。


~~~

それにしても 陸揚げ能力が、毎時400トンの機械を使うほどの 穀物の輸送船って すっごい規模だなぁと思います。


~~~

③ドライバルク輸送

https://www.mol.co.jp/iroiro_fune/ships/01_bulk.html←豊富な船の写真と図による説明あり

(商船三井のサイト) より一部引用↓


「鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、銅鉱石などさまざまな資源を、梱包せずに大量にそのまま輸送するのが「ばら積み船」


大量・ばら積み貨物=バルク、乾貨物=ドライカーゴといった言葉から、「バルカー」「ドライバルカー」「バルクキャリアー」「ドライバルク船」とも呼ばれます。

 「ばら積み船」にはさまざまなサイズがあり、運ぶ貨物の量や、寄港地の規模にあわせて利用します


様々なサイズで輸送ニーズに応えるばら積み船


 「VLOC(Very Large Ore Carrier)」は、「とても大きな鉄鉱石運搬船」です。経済性を追求し大型化が加速する中で誕生した船型です。

 「ケープサイズ」は、さまざまな資源貨物を輸送するばら積み船の中で最も大きな船型で、主に鉄鉱石や石炭を輸送します。その大きさからパナマ運河を通航できず、喜望峰(Cape of Good Hope)回りでインド洋/大西洋間を、ホーン岬(Cape Horn)回りで大西洋/太平洋間を行き来することから名づけられました。

 「パナマックス」は、長さ900フィート(約274m)以内、幅106フィート(約32m)以内の船で、パナマ運河を通航できる最大船型との意味からつけられた呼称です。パナマ運河は2016年に拡張されこれまでより大きな船型も通航できるようになりましたが、ドライバルクの世界における「パナマックス」は、今のところ拡張以前の船型を指す呼称として変更なく使われています。

 パナマックスより小さい船型の呼称には「ハンディ」という言葉が入ります。世界のほとんどの港に入出港できる便利さからこの名がついています。この船型はクレーンを装備し荷役設備のない港でも荷役が可能で、多様な貨物を運びます」


・このサイトの標準的な載貨重量トンとサイズ別呼称を見ると

 穀物で、2.8万トン(スモールハンディ)5.8万トン(ハンディマックス)、8.2万トン(パナマックス)でした。


(鉄鉱石輸送船であるVLOCは 25万トン)


 うーん 日本って そんなに穀物輸入してたんだっけ?と思って調べてみたら

近年の小麦輸入量は450万トン~520万トンでした。

(麦の参考資料 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/mugi_zyukyuu/attach/pdf/index-71.pdf)


 ゆえに、スモールハンディの船でも陸揚げに、①の装置で70時間かかるわけです。


もっとも商船三井のサイトの説明によると、ハンディクラスの船の場合、船そのものがクレーンを装備して、荷役装置のない港での荷揚げに備えているということなので、この計算は無意味かな・・(;'∀')


そして 日本の小麦の輸入量を賄う船の数は、パナマックスクラスだけを使ったとしても約55~64隻以上。


やっぱり、大阪湾や東京湾の沖合には いつも 形のちがう大型船が 多数停泊しているはずです。


やはり 日本の台所と食卓は、港と船なくしては成り立たない!


そして 知れば知るほど 新たに知りたい世界が広がる船舶と海上輸送の世界です!!


それにしても ここまで輸入大国になっちゃって 海外依存度を高めて ほんとに大丈夫なの?と

不安にもなりました。


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