グアノとアホウドリ :セバス・フローラとの会話より (写真あり)
とまあ 夢の世界に港湾施設について思いを巡らしていると、フローラが
「お嬢様 何を思いにふけっていらっしゃるのですか?」と、声をかけて来た。
「いろいろとね、頭の中にある夢の断片を整理していたの」
「ほほう」セバスが興味を示す。
「よかったら お聞かせくださいませんか?」
そこで これまでに 思い出し 頭の中でまとめたことを一通り話した。
セバスの奴、自分から尋ねておきながら
「あまりにも 大掛かりすぎる話ですねぇ」と 話の大半をあっさりと流しよった!
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そのくせ、
「グアノってなんですか?
船で運んでくるほど大量に珍しい肥料ってどういうもんなんです?」というのだ。
「グアノというのは、鳥の糞です」
「鳥の糞?」セバス
「ほら、鶏の糞は、リン酸が多い上に、窒素やカリウムもバランスよく含まれているから、即効性の高い肥料として、珍重されるでしょう?」
「たしかにたい肥にして発酵させると 良い肥料になります」セバス
「夢の世界では、人の済まない土地に多くの海鳥が住んでいたり、その糞が堆積して化石になった地方があったのね。
そうした土地を発見したした航海者たちが、その化石化したフンや、良い具合に糞や死骸が堆積した土壌をグアノとよんで
肥料として 多くの人が暮らす国まで運んだわけ。
特に熱くて乾燥した土地だと、無人のままグアノ層が積もるから
そこを発見したら、それがどこにあろうと自分の領土にすると宣言した国もあったりしてたいへんだったみたい。
貪欲な人たちがグアノ欲しさに、それまで 無人の地で暮らしたいた鳥達の営巣地を荒らしたせいで、「フンボルトペンギン」と呼ばれる鳥は絶滅寸前になったんだって。
というのもフンボルトペンギンは、グアノ層に穴を掘ってタマゴを産んでいたのに、そのグアノ層をはぎ取られてしまうと、サボテンの下や岩の隙間を探してタマゴを産まなければならなくなったからだって。きっと採掘者たちが フンボルトペンギンが飛べない鳥だからと大量に撲殺したのも絶滅の原因だろうねぇ。
同じ連中が 「沖の太夫」と呼ばれる大型の海鳥、この鳥は 海の上を飛んでいるときは美しいのだけど、営巣中の島にいるときは よたよたと歩いて動きが遅いから撲殺し放題の「阿呆鳥」と呼んで、羽毛目当てに撲殺しまくっていたくらいだから。」
「そんな 人様の寝床を奪うような真似をせずとも、自分達で家畜の糞尿を あるいは人糞をたい肥にすればいいじゃないですか!」
セバスは憤慨して言った。
「夢の世界では 変な神様を信じて 自分達は 神の子だぁ、とかって威張って
肌や髪の色の違う人達を見下して奴隷にしてこき使う白人が威張り散らしていたのよ。その人たちは きっと たい肥作りをバカにして、自分が出したもの始末もろくにせずに 不衛生な生活をしたり、自らの手で肥料を作って農業生産性向上を図るという努力のできない人達だったんじゃない?
そのくせ 人のモノ・よその土地や生き物の命を奪うことには熱心で 船を作って どんどん侵略と収奪のために進出し続けて 行く先々の文化や伝統、人の暮らしも生物の命も奪い放題だったみたい」
「いやですね。
自足と工夫を怠り、厭う人たちは!」吐き捨てるようにセバス言った。
「そのてん ヒノモト国は 自制を重視しているみたいだけど
そのかわり 複雑怪奇な仕組みがいろいろあるような気がしないのでもないのだけど」春香さん
「たんに 筋をとおしつつ 方便もありというだけのことですよ」すまし顔のセバス
「それで 海鳥が絶滅するほど グアノを掘りあさった後はどうなったんです?」セバス
「人の入らない洞窟の中で 長年蝙蝠が住み続けていて、その糞が堆積したものもグアノと読んで 使うようになったらしいわ。
海鳥のものほど良質ではないらしいけど」
「たい肥作りをはじめずに?」セバス
「資本家が経営する企業の儲け第一主義だと
農家が 自分で肥料を作って使って作物を作るようでは、資本家が付け入る余地がないから、
なんとしてでも 自分達が儲けるための商品の売り込み・押し付けのために、
わいろを送って為政者を買収して自分達の製品を買わせるための規則を作らせたり
自分達の商品だけを自慢する宣伝(メディア戦略)を展開したり・・になるわけよ」
「お嬢様は そういう 夢の世界と 目覚めてからの今の暮らしの どちらがお好きですか?」
フローラがまじめな顔で質問してきた。
「私に取ったら 目覚めてからの生活が 現実よ。
フローラが居て セバスが居て 街の人たちも 天海号の人達も
いろいろな出会いがあって 明日があって、楽しいわ」
「それなら しっかりと食べて ぐっすり眠って
毎日を満喫してくださいまし」フローラ
「うん!
夢で見た世界を、情報として使えないかなぁと思って思い出す努力はするけど
夢をみないほどぐっすり眠って目ざめる気持ちよい生活も好きだわ」
「それは よう ございました」フローラは にっこりとした。
「心と体を休める為に 眠るのですから
眠っている間に夢を見て 疲れていては 困ります」フローラ
(参考)
・鶏糞堆肥(発酵鶏糞)の成分は?
https://minorasu.basf.co.jp/80488
・グアノ資材の概要 (アンデス貿易)
http://www.andes-trading.co.jp/guano/index.html
・「日本海に遊ぶ 海からの贈り物」
京都大学水産実験所職員 上野正博 2003年4月23日 TOWN TOWN
http://fserc.kyoto-u.ac.jp/main/centernews/h15/news02408.pdf
・フンベルトペンギン本来の巣 2009年6月12日 とリーター石川 新江ノ島水族館
https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=01196&month=2009-06
・天然記念物のウンチの島へ 市立しものせきき水族館海響館 魚類展示課 久志本鉄平
https://www.kaikyokan.com/cms/cp_sealife/r4tankentaiunchinoshima/
・グアノ島法
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%B3%B6%E6%B3%95
・糞化石からスタバまで、南ライン諸島の数奇な歴史 ナショジオ トピックス
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140901/413647/
(画像出典)
・オキノタユウ 絶滅危惧Ⅱ類
https://albatrossday.org/seabirds/VU/Short-tailed_Albatross.html
このサイトでは だれが 乱獲したのかと主語が抜けていますが
英米仏の海洋冒険小説では、白人船員達が 娯楽と金儲けのためにアホウドリを撲殺するシーンが
多数の物語で描かれています。特に18~20世紀半ばまでの作品に
さらにまた 小笠原諸島の無人島(火山の噴火などで全島避難した島も含む)は
アメリカのグアノ法により アメリカ人が上陸しただけでアメリカ領扱いにされる島でもありました。
実効支配の意味なんて ある意味 言ったもん勝ちの占領正当化のお題目に過ぎませんから
その実態に目をつぶり 日本国民をだまし続ける日本政府は 誰のために存在しているのでしょうかね?




