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貧乏領主になりました  作者: 木苺
第2章 船と港:新情報でクルクルリンの春香さん
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セルフアンローダー船と沈埋函(夢の世界の荷役装置②):画像あり 

・アンローダーとは

  装置・ライン内から製品を自動で取り出す装置のこと


  投入する装置をローダー、取り出す装置をアンローダーと呼び分けているが

  その機能はどちらも同じ。用途の違いで呼び分けている。


・港湾などで、石炭、鉱石、その他の品物をクレーンやコンベアで陸揚げするための専用機械を陸揚機と呼ぶが、これもアンローダーの一種 (※1)


・穀物用のアンローダには、

  空気輸送式ニューマティックアンローダー:能力は50~600t/h

  機械式(ベルトコンベヤ式)

 の二種類がある。


・省エネの観点から1980年代後半から、機械式アンローダが登場した。

 消費動力が空気式の1/4~1/5と小さい。

 能力は、200~1000t/hと幅広く,特に大型船舶からの荷役に威力を発揮している。 (※2)


(空気輸送式の方が 機械式よりも先に開発されたというのが意外であった)


◇ ◇

港に、しっかりとした岩壁をつくり、大掛かりな陸揚機を据え付けるには、

大規模工事を行なえるだけの資本と自然環境・地元のニーズが必要である。


しかし、原料調達コストを抑えて工業活動をしたい、食料調達をしたいという欲求は、どの地にもある。


というわけで、アンローダ(陸揚げ機械)を貨物船に取り付けた「セルフアンローダー船」も建造されている。(※3)


 どおりで『最近の大型船は のっぺりとした甲板に、まるで建設現場のような機械がポコポコ立っている船が増えたなぁ、なぜ?』と 海の見える丘の上から 遠くの船を眺めて不思議に思っていた謎が解けました。


挿絵(By みてみん) (※4)

↑の船が、輸送船だといわれても すぐには信じられなかった。


船上の構造物が、荷役に使う装置なのだろう、たぶん。


この船は、上図からもわかるように、写真によってアンローダー部分の形がいろいろ違うのだ。

まさか同名の船が何隻もあるわけではないだろうから、

もしかしたら、クレーンの部分が自走して重なって一つにまとまったり、船一杯に広がったりするのだろうか?


しかも、船体の一部を潜水させることにより、低い橋梁・空中電線の下を通過したり、作業船等の船舶や沈埋函(ちんまいかん)(=トンネルを形成する外穀)等の浮体の積み降ろしを行うことができるそうだ。


このあたりになってくると、どなたか専門の方に詳しく解説していただかないと

どういう仕組みなのか さっぱりわからない!!

  

 日常感覚を超えた大型機械で

 しかも 「船=海上にうかぶもの」「潜水艦=海中をすすむもの」

 「潜水艦が潜水するときには、船内への水の侵入と、海中での水圧に耐えなければだめ」という知識との すり合わせが、私の頭ではうまくいかないのだ。



・ちなみに 沈埋函ちんまいかんというのは、海底トンネルの外殻となるもので、

 あらかじめ掘削した海底の溝に、沈埋函ちんまいかんを沈めて 上から土砂をかぶせて、海底トンネルとする。


 しかし 運搬するときには、沈埋函の両端にバルクヘッドをかぶせて、

 中に空気を閉じ込めた筒状にして運ぶ。

  両端に蓋をかぶせた沈埋函は、筒の中に閉じ込めた空気の力(浮力)で、浮く。


 沈埋函は、造船所のドック、または海上で製作するそうだ。 (※5)

 


・この沈埋函を乾ドック内で組立て、半潜水台船に積み込み、回航(海上輸送)に備えるまでの光景が↓(※6)


挿絵(By みてみん)


鋼殻(バルクヘッド)とは、船倉を前後方向に区切って荷室の仕切りとすると同時に

船体の強度・合成を高める隔壁のこと(※7)


ここでは 沈埋函の外殻という意味で、「バルクヘッド」と呼んでいるのかな。(違ってたらゴメン)


挿絵(By みてみん)


出ました!「半潜水台船」!


下図の上段右の写真から察するに、船荷の積み下ろしの時に 台船が沈下するのは、


挿絵(By みてみん)


荷物を持ち上げて船の甲板に載せるよりも、

船荷(今の場合は沈埋函)を海上に浮かべて、タグボートでひっぱって

沈めた甲板の上まで持って行き

台船が浮上することによって、上に浮かんでいた船荷が甲板の上に納まる(海水は流れ落ちる)


という形にする方が、重力負担が軽減され、動力源となる燃料も足場となる岸壁の強度負担等々も軽減されるからなんでしょう、たぶん。



なんかすごいですね。

台船は どうやって 甲板を沈下させるのでしょう?

 バラスト水として海水を吸い込んだり 吐き出したりして、喫水線を昇降させるんでしょうか??


疑問は尽きません。


「船舶」という観点からすると、この沈埋函も 作業船・台船の中に含まれるらしいです。


なにしろ 自力走行はしないけれど、近距離ならば、バルクヘッド(蓋)をした沈埋函をそのまま海に浮かべて引っ張って移動することもあるので、分類上、沈埋函は「船舶」の仲間入りのようです。


その一方で 視点を変えると、沈埋函はあくまでも 海底トンネルのパーツ。


いやはや、船の世界も奥が深くて 多岐にわたる!!

(参考)


※1 https://www.automatic-machine-meister.com/glossary/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC/

(自動機・省人化装置マイスター。COM)←企業サイト


※2 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201302211249335245


J-GLOBAL ID:201302211249335245 整理番号:13A1578225

流通現場におけるクレーン等の変遷と今後 ニューマチックアンローダ・ベルトコンベヤ式アンローダの変遷

 左近隆(日立プラントメカニクス) ISSN: 0285-3892

 クレーン (Journal of the Japan Crane Association) 51号10ページ 2013年10月1日


・国立研究開発法人 科学技術振興機構のサイトで紹介されていました。


※3 セルフアンローダー船の写真のあるサイト ↓

・https://www.iknow-m.jp/products/unloaders/

  いろいろなタイプの陸揚げ機械を備えた貨物船の写真が豊富。


・https://www.nsu-naiko.co.jp/business/


※4

https://j-bdc.com/publics/index/18/detail=1/b_id=46/r_id=2/#block46-2

 備南開発株式会社


※5沈埋函を使う「沈埋工法」を使った海底トンネルについては

・http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kobegicyo/technology/tunnel/chinmai.html 

(神戸港湾空港技術調査事務所)


類似項目として

・https://www.penta-ocean.co.jp/business/project/pj_story/2020/34.html

(東京港の「海の森トンネル」建設工事中の写真が豊富)


ハイブリット沈埋函工法

 https://www.jfe-eng.co.jp/products/bridge/co09.html の

 沈埋函写真をみると より具体的なイメージになるかな?

 ただし 説明文を読むと、工法のちがいもあって 私は混乱してしまいましたが(-_-;)


※6http://www.dc.ogb.go.jp/nahakou/chinmai_5/chinmai_5.html

平成11年度より事業を開始した那覇港沈りtエル工事の5号函が大阪府堺市より改稿されます

 那覇港沈りtエル沈埋函(5号函)改稿について

   沖縄総合事務局 那覇港湾空港整備事務所


・海底トンネルの建設計画から検察作業工程にいたるまで 、その流れが具体的に わかりやすく

 図や写真・ことばで 表現されている。


 ただ 専門用語が多くて 内容をきちんと把握するのに1か月かかりました><

  各用語の意味がわかったら すごくわかりやすくまとめてあるなぁと思ったのだけど・・

  門外漢には 最初ちんぷんかんの塊のページで見るのも苦痛だった(-_-;)


 それにしても 8個のどでかい塊(沈埋函)を大阪湾から那覇まで運ぶってすごいなぁ

  外殻を大阪の乾ドックで作って

  沖縄港まで海上輸送して

  沖縄の桟橋に鋼殻を係留した状態で、内部にコンクリートを流し込んで沈埋函として完成する


 予想外の展開に 私の頭が ついて行かなかったのです。


・そもそも 乾ドックの中の様子なんて わからないし、

 だから 遠景としてあれが「ドック」なんて指さされても どれがどれやらわからないし

 たまさか 積み込み作業などしている所を 湾岸道路などから見ることがあっても

 走行中の車窓からは、なにをしているのか?どころか、待機中なのか作業中なのかすらわからない

  だって 港湾施設での作業なんて すべてが巨大化しすぎて、アンローダー以外のものは

  動いているのか否かすらよくわからないのです。特にクレーン系の動きはゆっくりだから


  (巨大なものを動かし、慎重に作業するから 当然ゆっくり動かすわけだけど。安全第一!


   建設中のビルの最上部に、地上から鉄骨を引き上げる作業を見たことがありますが

   (作業を見たいがために その光景が真正面に見えるレストランのテラス席に座った私)

   鉄骨1本を引き上げあげ始めるのを見かけて入ったレルトランで

    食事を注文して食べ終わったころに、やっと 鉄骨が最上階に下ろされましたもん。


※7 https://car.motor-fan.jp/daisharin/30003315

    Motor-Fan 自動車用語集



(おまけ)

・2025年(?)開催予定 の大阪万博の海上は、大阪湾に作られた人工島(埋立地)です。


 大阪湾は、臨海工業地帯(堺市~高石市にいたる埋立地に作った工業地帯)・大阪市と地続きの埠頭(複数の埋立地)ー人工島(埋立地)を橋でつないで作った大阪港&神戸港の埋め立て地(ポートアイランド・六甲アイランド・尼崎方面からの埠頭など)が連なる 湾岸地区です。

 (湾岸有料道路だと30分~1時間で走り抜けることができる)


大阪港と神戸港をあわせて阪神港と呼ぶらしい

 (日本埋め立て浚渫協会 https://www.umeshunkyo.or.jp/marinevoice21/specialfeature/271/index.html)より

 


そして 万博会場もまた、人工島で開催される予定。

 (埋立地は造成済みだが、万博会場の建物らしきものは 未だ見当たらず・・)


その万博会場と大阪市内に至る道の先とをつなぐのが「夢咲トンネル」

 この海底トンネルもまた 沈埋工法で作られました。


 http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kobegicyo/technology/tunnel/chinmai.html


この時使われた沈埋函も、堺の埋め立て地(臨海工業地帯)にある日立造船所

沖縄に運んだ時とは異なり、函体を直接曳航していったらしい。


https://www.penta-ocean.co.jp/business/project/pj_story/014.html


・「沈埋函」とか「沈埋工法」で検索した時は 全然ヒットしなかったけど、

 地図を見て 海底トンネルの名前を調べてから検索したら あっさりと工事中の写真や工法の説明が出て来た(爆)


 その気になって調べると、各地の海底トンネルの建築過程などの説明が ネットで見れるかもしれない・・


 いつか 時間のある時に、東京湾の海底トンネル名で検索してみようかな・・


もしかしたら、各地の条件・建設時期の違いにより いろいろな工夫がされ、その時々の「新」技術・工法が紹介されているのかもしれないという気がしてきた。


昔テレビで見た青函トンネルの掘削の苦労話の時代と 今の沈埋工法の時代と 大きく変わったなと思う。


・ちなみに大阪湾の臨海工業地帯は、日本で最初にできた海浜公園「浜寺公園」、ここは大熊重信公のお声がかりでできた海水浴場でもあったのですが、そこが埋め立てられ、工業地帯になってからは、泉大津市以南が 漁港とフェリー港となって高度経済成長時代を支えました。


 しかし 今では フェリー港は姿を消し、ほそぼそと漁港、新たに造成された府営海水浴場・海洋センター・ヨットハーバー・関西国際空港(人工島)などが大阪府南部の湾岸に連なっています。


もしかしたら 大阪湾の歴史は 日本の湾岸の歴史そのものを凝縮・反映していると言ってよいかもしれません。


なにしろ、姫路城前の港は、江戸時代初期の軍港(官営造湾事業)でもあり、

大阪天保山の大浚おおざらえは人力を駆使した 大浚渫工事(民間造湾事業)でもあったので

(今は 天保山の目玉は、海遊館(大水族館)です。

 現在、元フェリーターミナルを国際クルーズ港として改築中)


(追記)ビデオ紹介

・東京港の発展を支える海底トンネル

  沈埋間トンネル工事記録ビデオ/五洋建設株式会社(日本埋立浚渫協会関東支部) 

https://www.youtube.com/watch?v=Uo0-ku6GKDM


  一般向けのわかりやすいビデオでした。

 


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