はしけ・台船 (写真あり)
船の冒険談では、港での荷積み・陸揚げ作業は必須シーンです。
それゆえ、これから 物語の中で ちょくちょく使う予定の 「はしけ・台船・浮桟橋」の概略と
船荷の陸揚げ関連の話をします。
ことばそのものは 各種物語を通して聴きなじみ
港の光景としても 見慣れているのですが、
その実態が私の中であいまいだったので 読者の皆様とのイメージ共有もかねて
この節をまとめたいと思います。
お付き合いいただければ 幸いです。m(__)m
※尚 昨今の情勢を鑑み、写真の中に あえて出典サイトの企業名を書き加えているものがあります。
決して企業宣伝のためではありません。引用元サイトへの敬意を示す為です。
ただし 添付画像に書き加えた説明文の責任は筆者にあります。
(たいていは元サイトの説明文を筆者が要約したものです)
夢物語(現実とは無関係の異世界物語)なのに、リアルの名称を出さずに参照元への敬意をいかに示すかと悩んだ末の苦肉の策であります。
物語中の画像は、主人公の夢の念写だと思っていただければ幸いです。
前回述べたように、ペンペン港では、波止場に船を係留するよりも、
南の入り江のあちこちにある係船杭や係船浮標に船をつないで停泊することの方が多い。
そして 湾内に停泊中の船からぺんぺん港まで荷物を運んでくるのが、艀、
人間達を運んでくるのが通船である。
ただし、この艀というのは、時代により その用途により 形状の変化が激しい。
(というか 私の見た夢というのは、いろいろな時代のいろいろな世界の話が入り混じった断片のようなものなので、思い出そうとすればするほど脈絡がないことに気づいて、私はうろたえてしまった。)
◇ ◇
私が見た夢の世界では、
艀というのは、平底の船で、大量の重い荷物を積んで浮かんでいる。
どちらかと言えば 筏っぽい四角い形をしている
その一方で、私が夢の中で読んだ本の中では、
艀に多くのロープを括り付け、そのロープの先を人や馬がひっぱって岸を歩く。
艀は 岸に沿って動く、そんな使われ方をしていた。
ナイル川の平底貨物船(艀の原型?)を人や家畜がひっぱている壁画があったような気がするけど・・違ったかな?(※1)
川底を竿で突いて 船を前に押し出すようにして進む小舟のことを「曳舟」「艀」と両者の区別なく呼ぶ物語もあった。
・水路に浮かんだ 艀や曳舟をひっぱって歩く道のことを 「曳舟道」という。
・エンジンができてからは、タグボートで押したり曳いたりして艀を動かした。
タグボートというのは、馬力の強い小型船で、
大型船が港に出入りするときに、
船が適切な向きで適切な位置に係留したり、航路に入ることができるように
押したり曳いたりして、船の向きと位置を整えたり、
大型船の貨物を岸まで運ぶ艀を動かす船だ。
さしずめ、艀がトレーラーが荷台、タグボードがトレーラーのヘッド部分
あるいは、貨物列車の駆動部がタグボード、荷台が艀である。
大型のクルーズ船の甲板から、体は小さいが力持ちのタグボードが、悠々と巨大な船を引っぱって動かすさまを見ていると感動する。
・艀が使われる場所を 大きく分けると
①外洋から大型船が入港する港
②内陸部の水上運搬において 大量の荷物を運ぶ必要がある場所
に分かれる。
①の場合は、水深の深さを必要とする大型船の停泊地から岸まで貨物を運ぶために艀を使う。
なぜなら 河口の近くの港ならば、常に川の上流から土砂が流れ込んで来て、港の水深が浅くなる。
遠浅の海に面した岸なら、岸の近くは海が浅くて大型船は停泊できないから。
つまり 港の維持管理には、船の停泊に適した水深を保つための浚渫が必須なのである。
これらに関しては、後日 また改めて触れることがあるかもしれない。
尚、エンジンができるまでは、大型船と港との間の荷物運びは 艀ではなく 通船がメインだったような気もする。
②の場合は、曳舟道を使って、艀を引っ張って動かす。
なぜ 岸から引っ張る必要があるかと言えば、船に人が乗って漕ぐと、
それだけ船が重くなる・船上の面積も減る⇒その分荷物が積めなくなるから。
それに 人力より馬力・牛力の方が強い。
それに もしかしたら 船を漕ぐより 船を引っ張る方が 楽だったのかもしれない。
・エンジンの発達により、1隻のタグボートにより、複数の艀を連ねて大量輸送ができるようになった。
さしずめ 水上の貨物列車・トレーラーの荷台部分が 艀と言えよう。
◇ ◇
艀とよく似たものに「台船」と呼ばれるものがある。
夢の中の私は、電車に乗って橋を渡る時には、必ず川面に目を凝らしていた。
昔は 葦・ヨシと呼ばれる植物が、何時しかそれがセイタカアワダチソウにかわり、
気がつくとセイタカアワダチソウは姿を消して、
川岸がブッシュ(何が生えているのかまでは解らなかった)になり、グランドになり
そのうち、地域にもよるが台船や遊漁船をよく見かけるようになった。
台船とは、水上工事などの時に使う重機や資材を運んだり、作業の足場になる船のことらしい。(※2)
見た目の違いで言えば、艀(写真右)が細長い長方形が多くて
台船(写真左:①)は どっちかと言えば 箱を展開したような形をしていることが多い
両者の共通点は
浮力が相当強いのか かなりの重量物を載せて浮かんでいられる。
しかも 表面が平らで 安定性がある
のように思うのだが、実際には「台船」と呼ばれる範疇に入る船はもっと多様らしい。
というのも、「台船とは、箱型の補助船舶のこと、推進力はなく、海上工事において
クレーンや発電機などの土台としたり、重量物の運搬に使う」と定義している辞書系が多いのだけど
「海洋工事等の各種資機材、構造部材および浮体物等を運搬する作業船」として、台船と運搬船をひとくくりにしてしまう実務系(※2)もあるからだ。
・たとえば、上記写真の左図の「組立台船」というのは、「陸送(10トントラックで輸送)のため、船体を分割して組み立て式としたもの」(※2)だ。
どうりで、川岸にひっつくようにして停船しているモノがをよく見かけたわけだ。
この写真の台船は、120トン吊クローラクレーンを搭載でき、フロート間の隙間が少ない為、テープなどでふさぐことができ、台船上の突起物がないため、台船上を重機が走行でき、作業員もつまずくことなく安全に歩行できる(※2)のだそうだ。
護岸工事・橋梁補修などでは、岸から作業するよりも水上から作業したほうが、はるかに楽である。
それゆえ、工事現場までフロートを運んで、川に下ろして組み立てて、台船として利用するのは
非常に合理的だと思う。
・台船には そのほかにもいろいろあるので 夢の中の光景の断片を紹介します^^;
上図は、港の浚渫作業をしているのだろうか?
正直に言って、夢の記憶の断片なので よくわからない (;'∀') (-_-;)
もっとも、海底や川底の土砂をすくいあげる浚渫には それ専用の作業船があるのだが・・(※2ページの左側参照)
川に 上流から流れて来た土砂が堆積したら川が氾濫しやすくなるから浚渫
航路や泊地(船が停泊する所)の水深が足りないと船が座礁するから浚渫
浚渫作業にもいろいろな規模があり、海底トンネルを作るための掘削とは異なり、
あくまでも「流れ込んで来た土砂をさらう」作業。
でもこれをやらないと、湾が埋まって砂浜になったりもするから
川の水流・打ち寄せる海の波が土砂などを運ぶ力はすごいものだと思います
・こちら↓は、電車の窓からよく見かけた光景
私にとって①の台船同様に おなじみの光景だ。
川辺だけでなく、作業場に囲まれた海というか港の一部というか・・そういうところでも待機中のものを見かけたのは、(何しろ電車は早いので一瞬の光景なのでよくわからないのだ)もしかしたら、重量物の運搬・上げ下ろしにも使っていたからだろうか??
これはユニフロート台船と呼ばれるものらしい。
浮かぶユニット(単体)を組み合わせて台船にするからユニフロート台船
光るネーミングセンスが素敵♡
ただの箱のように見えるが、実は船の一部なので、しっかりと水密隔室を持っているし
浮かんだ時のてっぺん部分を「甲板」と呼ぶ
台船は れっきとした船なので、重機を乗り込ませることも「艤装=船体に各種装備をとりつける」
という
・ほかにも、半潜水式台船・ランプウェイ付き台船など大型・ハイテク船あるが 私の理解が追い付かないので省略します。(興味のある方は※2をどうぞ)
★ ★ ★
(おまけ)
湾内に座礁した船を放置していたら、湾に流れ込む潮の流れが変わって、波が運んできた土砂が堆積してできた砂浜
1983年麻薬などの密輸船が 貨物受取先とのトラブルで荷揚げできず、聖ゲオルグ湾で待機中に
嵐で座礁。(情報元 2023年5月NHK番組)
2016年にはすでに観光地「シップレックビーチ」に行ってきましたという個人の投稿があるので
あっというまに 砂浜になったようだ。
・秘境と呼ばれるのは、陸伝いでは到達できず、船を使って海から回り込んでいかなければいけないから(笑)
このビーチのあるザギントス島そのものは、普通に人が暮らしている島です。
(面積781k㎡・人口約4万人 wikiより)
画像出典・参考動画他
※1
壁画の画像を探してググったら、キリンを艀にのせて動物保護区まで運ぶケニアの動画があった。
https://jp.reuters.com/video/watch/%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%8C%E3%81%AF%E3%81%97%E3%81%91%E3%81%AB%E4%B9%97%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%B9%96%E9%9D%A2%E3%82%92%E7%A7%BB%E5%8B%95%E3%80%81%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%9C%EF%BC%9F%E3%80%80%E3%82%B1%E3%83%8B%E3%82%A2%EF%BC%88%E5%AD%97%E5%B9%95%E3%83%BB9%E6%97%A5%EF%BC%89-idOWjpvCBSASLW79X9XCAANKHKBD92W1F
・曳舟道 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B3%E8%88%9F%E9%81%93
・小樽運河の艀(令和2年には小樽運河から最後の艀が撤去された)
https://otaru.gr.jp/column/hashike おたるぽーたる より
※2
台船・運搬船
http://www.s-jwa.or.jp/workvessels/set25.html (写真引用元)
一般社団法人 日本作業船協会
各種作業船について 写真入りで 説明も明瞭
今度 海を眺めに行く時には、沖に浮かぶ船の数々をこのサイトの写真と見比べてみたいと思う。
そしたら もっと 海と港と船に係る人の姿が 生き生きと浮かんでくるかもしれない。
・写真左の組立台船を建造したのは「ユニバーサル造船(株)」
この会社は、南極観測船しらせ を建造した会社でもあります。
詳細は「H21年4月マリンエンジニアリング見学会 ユニバーサル造船株式会社舞鶴事業所 見学会後記」千田哲也
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/44/4/44_653/_pdf
をどうぞ。
ユニバーサル造船は、その後、他の会社と合併して別会社となっているので
組立対船のパーツを陸送し、水上で組立、作業に使用するまでの一連の流れを
詳しく写真で紹介しているサイト(建設会社清水組)を別に紹介します。↓
※3 http://www.oga-shimizugumi.co.jp/contents/ryurin/ryurin.htm
※4 https://diamond.jp/articles/-/19905




