52/63
第52話 ~栞side~ デートの誘い
「し、栞さん!
12月24日、ぼくと遊園地に行ってください!」
二学期の終業式の日、いつものカフェで、素っ頓狂な音で佐藤くんはわたしをクリスマスイブデートに誘った。
「どうしよっかなぁ…」
佐藤くんがゴクリと唾をのむ。
お店の奥からも二人分の唾をのむ音が聞こえる。
「う~んとねぇ…。
あのねぇ……」
わたしは思いっきりもったいぶる。
佐藤くんは祈るように目をつぶっている。
……。
「しょうがないなぁ。
いいよ!
成績も全部三位以内だったし、腕も太くなってきた。
ワイシャツもしわしわじゃなくなったし、ハンカチも持つようになった。
よし。
一緒に遊園地に行ってしんぜよう」
「本当ですか!
やった!
やったぁ!!」
両手を突き上げて喜んでいるそんな佐藤くんを、鹿野さんとシェフはお店の奥から目を細めて睨んでいるのであった。




