第49話 ~栞side~ 中間テスト
いよいよというか、中間テストの発表があった。
中間テストまでの間、酸素のある今の高校でわたしは生きやすかった。
部活はせず、勉強も背伸びせずに頑張れた。
学校生活では佐藤くんの他に二人に告白された。
少しやんちゃをしてそうな先輩と、同学年の顔が整った男子。
二人とも断り、そのたびに女子から少しやっかまれたが、そんなことは前の学校でのことを考えると大したことじゃないと思えたから、全然問題なかった。
中間テストはこの学校では学年で10位まで貼り出される。
わたしは全科目で10位以内に入った。
例の佐藤くんはというと、英語が6位という結果以外は全て5位以内に入っていた。
下校時、またまたまた佐藤くんが来た。
「約束を守れなくてすみません……。
また期末テスト後に出直します……」
ガックリと、そしてトボトボとという擬音がはっきりと感じられる、以前よりも少しガッチリとした後ろ姿で、わたしのもとから去っていく。
「待って」
佐藤くんを引き留めたわたしは続けて
「頑張ってくれてありがとうね。
『彼女』にはなれないけど、『友達』になろ」
と、微笑みながら自然に話しかけていた。
わたしのために、こんなに真っすぐ正面から頑張ってくれたことが素直に嬉しかった。
その日、わたしはいつものカフェに佐藤くんを誘った。