第46話 ~栞side~ 告白①
「相楽先輩!ぼくと付き合ってください!」
あまりの突然の出来事に、わたしは唖然とした。
新しい学校では学年ごとに制服につける校章の色が違っていて、その男子が一年生であることは分かった。
「誰?」
「知らない……」
友達もいぶかしげに話してくる。
そんなことは気にせず、その男子は続ける。
「先ほど見かけたとき、一目惚れしました。
ぼく、一目惚れとか信じていなかったのですが、実際なってみて、僕自身『本当にあるんだな』ってびっくりしています。
相楽先輩、ぼくと付き合ってください」
よく見てみるとその男子は童顔で色白、髪型は前髪重めの真っ黒な髪の毛だった。
……。
わたしは当然、絶句した。
両こぶしを握り締めてわたしの返事を待っている男子に、わたしはいった。
「ごめんね。
わたしは君の名前も知らないし、何もわからないから……」
「ぼくの名前はさとう てつひと。『人偏に左』のさに『藤棚』のふじ、『初志貫徹』のてつに『人間』のひとです!」
ハキハキとした自己紹介に、『てっちゃんと同じ名前なんだな』と思った。
「ううんと……、名前を聞いている訳じゃなくて……」
「そうよ、急に出てきてそんな告白されて栞が困っているじゃない。
それに、そんな寝ぐせの頭で告白されても成功するわけないでしょ!」
友達が助け舟を出してくれた。
「そうですか……。
寝ぐせですね……。わかりました!
直して、明日また告白します!」
そういうと、佐藤くんは走り去っていった。
そうして、わたしの転校初日は終わった。