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第44話 〜栞side〜 正直な気持ち
数日ぶりに会ったてっちゃんはわたしの言葉に、思いに、何も返してくれなかった。
表情は変わらなかったし、声すら出してくれなかった。
だから、音でもわからなかった。
でもいい。
最後は泣きながらになってしまったけど、ちゃんと伝えたいことは伝えられたから。
ちゃんとてっちゃんのことが『好きだった』こと、そしててっちゃんに『自分自身を見つめて欲しいこと』を伝えられたから。
今度はおばあちゃんとパパとママに正直に伝えたいことがあった。
てっちゃんにいったのだから、わたしもママの音が不協和音になってもちゃんと、伝えることができる気がしていた。
文にも一緒にいてもらった。
わたしは家族全員に伝えた。
「今の学校生活がとてもつらい。
だから、転校したい」
と。