第37話 ~栞side~ クリスマスイブデート
息苦しくなった中等部生活も一学期、二学期とどうにかやり過ごし、昨日の終業式を終えてやっと冬休みに入った。
それはまるで、軽装できてしまった登山家が山の中腹で想定外の猛吹雪に遭い、息も絶え絶えで山小屋にたどり着いたようだった。
今日はてっちゃんとのクリスマスイブデート。
気合を入れてメイクをしてきた。
今、てっちゃんに嫌われるわけにはいかない。
そしたらわたし、絶対遭難してしまう……。
てっちゃんと向かったのは、学校から少し離れた遊園地。
決めた理由は冬休みにまで学校の人と会いたくなかったから。
遊園地はクリスマスムード一色で、あちこちにサンタやトナカイ、雪だるまの飾りが置いてあった。
てっちゃんの音はデートを楽しんでくれている音だった。
絶叫マシンの乗っている時やゲームをしている時、園内にあるご飯屋さんで食事をしている時も、不自然な音はないし、一緒に居て心地よかった。
それが一変したのが、イルミネーションが灯った後に乗った観覧車を降りた時だった。
それはきっと、観覧車がちょうどてっぺんに差し掛かったとき、向かい合わせで座っていたわたしがてっちゃんの左隣に移り、いきなりキスをしたから。
「半年以上付き合ってもしてくれないから、わたしからすることになっちゃったじゃん……」
そういったわたしにてっちゃんは、少し上ずった音で
「ごめん……」
と謝った。
それからわたしの家に送ってくれるまで、てっちゃんの音は安定しなかった。
そんなてっちゃんのことをわたしはかわいいなぁと思った。
ちゃんと好きになり始めていたんだ。




