表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

俺はお抱え料理人

「はー…………」

「溜め息をつくと幸せ逃げますよ?」

「もう逃げとるわ、全力で!」


次の日。

まほさんから立花家の料理人を依頼された俺。

その場で速攻で断ったのだが……。

「でも、朽木さん、無職でしょ?」

「うっ」

「就職先はもう決まったの?」

「いえ……」

「このコロナ禍ですもんねー、仕事なかなか見つからないでしょうねー」

「……」

「我が家の料理人になったら、ほら。これだけお給料払いますよ」

まほさんが俺に電卓を見せた。

「‼」

その金額に、思わず電卓に飛びつく俺。

結構良い額じゃあないか……。コンビニで働くよりも良いかも……。

頭の中で高速回転をして今後のことを考える。

「……よろしくお願いします」

「はい、決まりね♪」


こうして、俺の一時的(?)な就職が決まった。

決まった。が……。


「朽木さん、手止まっていますよ」

「月央、()()()()()だよな?」

「はい。そうです」

「じゃあ……」

俺は手元の洗濯物を指差して言った。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

そう俺は、まほさんのブラウスをアイロン掛けしている最中だった。

おかしいかな、エプロンをして俺は完全に家事をしていた。

月央はまたクールに、そして幼児ながら器用に自分のシャツを畳んでいる。

「朽木さん……」

はあ、と月央は溜め息をついて俺を見上げた。

「母さんの契約書にサインしたの朽木さん自身でしょ?」

「うっ!」

「その契約書の家事全般を業務とするを見落としたのは、」

「俺だよ……」

そうだ。

意気込んで、正直に言うと金額に目が眩んで勢いでサインとハンコを押しちまった後に()()()()んだよ……。

しっかりとそう書いてあったのに!

まほさんに俺はしてやられた訳だ……。


「朽木さん~、プリンターのインク買ってきてくれません~?」

書斎から、まほさんの声が聞こえる。

「はい! ただいまのアイロン掛けを終えたら行ってきます!」

「朽木さん……」

月央が冷たい目で俺を見てくる。

俺はめげない。これが大人のビジネスライクってやつさ! ふんだ!


俺は、次のシャツに挑んだのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ