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俺と、青葉さんの誓い
「もう、止めてくれ……。詩歌……」
俺は呻くように言って堪らずに目を瞑る。
何も見たくない、何も感じたくない。言葉にしたくない。
「朽木君」
「…………」
「目を開けて」
まほさんの優しい声が聞こえても俺は闇の中に居た。
その場に蹲りたくなるのを必死に堪える。
その優しい声に縋りたくなるのを必死に堪える。
その優しさに甘えてしまったら、大切な人がまた側から居なくなる。
「大丈夫。私は朽木君のことを見放したりしないよ」
俺の頬に、あたたかい感触がした。
きっとまほさんの小さな手だ。
「朽木くん」
今度は青葉さんの声がした。
「大丈夫だ。僕たちは君を突き放したりは絶対にしないと詩の神様に誓う」
ハッと俺は目を開く。
「言葉の、詩の神様……」
自然と、その言葉を呟く。
そうだった……。
詩歌も、そう言っていたんだっけ……。
俺はまた過去に思いを飛ばしていく。




