俺の過去(2)
あれよあれよという間に、僕の受賞は、小さな田舎中を駆け巡り、全国ニュースでも紹介されてしまった。
なにせ、あの○○文学賞だ。
海外でも知られているらしい賞だ。
その詩部門での最年少の受賞がニュースにならない訳が無い。
テレビ取材は来たし、雑誌はもちろん、色んな所から取材が殺到した。
「おじいちゃーん……」
「頑張れ、―—。もうあと少しの辛抱だ」
今日も今日とて、取材。
僕はすっかり飽きてきたし、緊張もしなくなったし、少々投げやりな態度にならずにはいられなかった。
何よりも。
「おーい、朽木ー! 詩とやらは書けたのかー?」
「ちげーよ、ポエムだよなあ、ポエム!」
「だっせーな! 男が女々しくポエムだなんて、ホントにだっせー!」
「止めなよー、男子たち!」
卒業間近の学校で、同級生たちにからかわれまくっていた。
それを止める女子たちも、賞賛の目を向けるものの、口元が笑っている。
女子たちも、同じ様に思っているらしい。
やはり、詩の世界なんて、同い年にはまだ理解できないらしかった。
最初は、皆褒めてくれたのに……。
大人たちの反応は、違った。
何より、何故だか僕の親戚とやらも増えた。
お母さんとお父さんは、まず目を白黒させて驚いた。
子どもの趣味をかろうじて知っていた両親だが、祖父の勧めで賞に応募したことすら知らなかったからだ。




