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4人の魔法使いの冒険  作者: 藤見倫
第2章:スターリー神殿の謎
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第48話:登場、ライトブラザーズ

 スターリー神殿に行った帰り道、なんか知らないが学者っぽい人が話しかけてきた。あんた忙しいんじゃないの?


「なんだコイツ?」


「多分、スターリー神殿を調べてる学者だとは思うけど」


 学者っぽい人はハッとして、今度は右手を左胸に当てておじぎをしてきた。


「いやはや、これは失礼。私はDr. スターリーの助手をしているライトブラザーズの1人、サン・ライトと申します。以後、お見知りおきを」


 苗字と名前別れてるけど由緒ある家系とかには見えないぞ・・・。


「はあ・・・Dr.・・・スターリーですか」


「いかにも。30年前の奇跡よりも、我々が助手に着く前よりも、15歳の時より60年、このスターリー神殿の調査をしておられるお方だ。その人生をスターリー神殿に捧げ、没頭しすぎるあまり自分の名前さえも忘れてしまったことから、人はみなDr. スターリーと呼ぶようになった」


 15歳の時から60年って、今75歳か。確かに人生捧げたようだな。その”Dr. スターリー”の名が、本人じゃなくて周りが付けたもので良かった。ライトブラザーズの方は、本人たちがそう名乗ってるだけっぽいな、こりゃ。


「スターリー神殿に興味を持つ人間が増えるのは結構なことなのだが、最近はどうにもニワカ者が多くてな、君たちがそうでないことを祈ってるよ」


「どれほどの人が調べてるんですか?」


「ん? そうだな、200人は居るだろうな。さっきも言った通り、ほとんどは30年前の奇跡よりも後から出てきたニワカ者ばかりだ。年に一度、Dr. スターリーが調査報告を出しているのだが、それに頼るばかりで独自調査はせず、未開の部分だけを調べて我先に快挙を成し遂げようとする者ばかりさ」


 既に誰かが調べた分は自分までやる必要はないと言うのも一理あるのだが、たった1人の調査報告に200人も寄ってたかるのはなぁ・・・。その調査報告が本当に正しいか確かめようとする人は居ないのか? 嘘を書くようなことはしなくても、ミスなら有り得る。第一人者の調査報告とは言えど鵜呑みにするのは如何なものか。


「だがまあ、進んでDr. スターリーに協力する者もいるからな。ニワカ者も一概にダメとは言えんな」


 俺は誰かの手足になるなんて御免だが、学者からすればDr. スターリーの役に立てるのは光栄なことなのかね。協力しない人もいるってことは、先に解き明かしてやると意気込んでる人もいそうだけど。


 まあそんなことはいいや。幸い、目の前にいるのは第一人者の助手だ。花巻さんの弟のことを聞かない手はない。


「さっき、プレイヤーでも増えてきてるって言ってましたね。実際にいるんですか?」


「ああ、いるとも。だがてんでダメだね、褒められるのは戦闘能力だけさ。プレイヤーだから仕方ないがDr. スターリーの権威も研究成果も知らず、ピクニック気分で神殿内をうろついてるだけ。諦めも早いの何の」


 だとすると、花巻さんの弟はおろか、誰かプレイヤーがずっと籠ってるってことはなさそうだな。念のため聞いてみるが、


「全部が全部、ですか? 1人や2人ぐらい、真剣に没頭してる人がいたりはしないんですか?」


「私の知る範囲では、いないね」


 やはりか。もういいや、直球で聞こう。


「花巻匠、という人物を知ってますか? 僕たち、その人を探してるんですが」


「さあ、聞いたことがないね。その人物もプレイヤーなのかい? 全く、ニワカ者どころか人探しとは。だが中途半端に興味を持たれるよりはマシだな。確かに、人が失踪したのならこのスターリー神殿は有り得る。神殿と街の間はモンスターが出ず、見ての通りテントや小屋で生活する者もいる。

 神殿内でもモンスターが一切出ない場所があってな、没頭しているグループは買い出し以外では街に戻らない。独立調査をしているグループも多いゆえ全員を把握するのは困難だ。花巻匠、だったか。その人物どころかプレイヤーの名は1人たりとも知らない。だが、私が知らないだけで、その人物がいる可能性はゼロではないぞ」


「つまり結局は、自分の足で探すしかないってことですね。ありがとうございました、また明日探しに来ます」


 サン・ライトは何やら驚いたような表情を見せた。そんな変なこと言ったか?


「待ちたまえ」


「え?」


 何か薄笑い浮かべてるんだけどこの人。嫌な予感しかしねー。


「お主、いいことを言う。それこそが、Dr. スターリーの理念だ。お主はその辺のニワカ者とは違うようだな。来るがいい、Dr. スターリーに会わせてやる。光栄に思え」


 全然光栄じゃないです帰らせてくださいマジで誰か助けてママー!


「えっと、今日はもう疲れたので・・・」


「よいではないか。少しでも見込みのある人間には会わせるようDr. スターリーに言われているのでな」


 いやそれそっちの都合じゃん? ていうか手ぇつかまないで?

 しかもアンタさっき俺らの目的が人探しって聞いて呆れてたじゃんか。


「君たちにとっては、尋ね人の情報が入るかも知れないし、あわよくば30年前の奇跡の再現に貢献できるのかも知れないのだぞ? 悪い話じゃないだろう」


 “あわよくば”の方に興味がないのだが。


「まあ、来たまえ」


 手を引っ張られる。メリットがない訳でもないし、いいか。だけど、


「ごめん、みんな。ちょっとDr. スターリーに会って来る」


 全員で行くのはリスクがある。<僕だけで行くよ>とメッセージを3人に送った。だが、


「私も、行く。匠のことが分かるかも知れないなら」


 う~~~ん。まあいいか。2人残ってれば問題ないだろう。


「じゃ、2人は先に宿屋に戻ってて。晩ご飯は僕らの分も残しといてねー」


「分かったわ。じゃ、お先に。葵、気を付けてね」


「うん」


 俺に”気を付けて”は?


「大村、お前マジで変なのにばっか好かれるんだな」


 うんそうみたいだねモテモテで羨ましいでしょ変わってよママー!


「すまないね、君たち。少しだけ、この人を貸してもらうよ」


「ええ、どうぞ。遠慮なくご利用ください♪」


 高松さんひでぇ!


「じゃあな、大村。お前のこと、一生忘れねぇぞ」


 てめぇ覚えてろよ中野。一生忘れないんだよな。


「それでは行こうか。モンスターは出るが、私も1人で動き回れるぐらいには戦える。だがせっかくだ、これを持ってくれないか」


 ビニール袋を差し出された。中には水やら生鮮食品やらが入っている。買い出しに行ってたのか、この人。ここでコレ持ったら俺完全にこの人の手足じゃん。


「いえ、持ちません。Dr. スターリーは客人に荷物を持たせるお方なのですか? それにあなた、1人で動き回れるのですよね。荷物を持った状態であっても」


「フッ、フフフフ。益々面白い。気に入ったぞ、お主。Dr. スターリーも喜ぶことだろう」


 うわーまた変なスイッチ入れた。もしかしてこの手の皮肉発言が変人からモテる原因なのか? 花巻さんが耳打ちの素振りをしてきた。何だだろう。


「大村君、そんなことばっかり言うからこうなるんじゃないの・・・?」


「う・・・そうみたいだね」


 花巻さんもそう言っておられる。メッセージではなく、わざわざ耳打ちしてくるところから花巻さんらしさを感じる。でも皮肉言うの好きなんだけどなー。 まあでも? お陰でスクエア教幹部とかスターリー神殿調査の第一人者にも会える訳だし、メリットもあるよね。変人に好かれるっていう圧倒的デメリットもついてくるけど。


「この神殿は地下に階層が続いていてな、ここ地下1階は”無の層”。文字通り何もない部屋が並んでいるだけさ。さらに下へ行く階段もある。地図を作るのをお勧めするよ。迷路のようなここも、地図があれば何ともないからね。モンスターは出て来るが」


 サン・ライトはそう話しながらも、時々出てくるスライムやコウモリを片手が塞がった状態で倒していく。確かに戦闘能力はあるようだ。武器は普通に剣。俺たちは地図を描かなくても大丈夫な存在なのだが、そういった能力のことは隠しておこう。


「ついでに、Dr. スターリーの私室もここ地下1階だ。さすがに物資の補充は街まで行かないといけないからね。この”無の層”、どんどん部屋が増えて行ってな、壁・床・天井に隠されたスイッチを押すと隣の部屋に通じる穴が開くんだよ。Dr. スターリーが増やすだけ増やして一部を私室にしてしまったのさ」


 じゃあ神殿に住んでるのか。75の爺さんが勇敢なものだ。


「下の階には、どんなのがあるんですか?」


「地下2階は”大穴の層”。足場が限られていて飛び移ったりする必要もある。落ちれば下層に行けるが無事ではいられないだろう。地下4階は休憩スペースのようなものだが、地下3階と5階も厄介だから気を付けることだな。今言った地下5階が、現在確認されている最下層だ。さらに下があるのか、はたまた地下5階で”奇跡の光”の謎が解けるのか」


 “大穴の層”って・・・そんな所を75の爺さんが行き来してるのか。ゲームの世界って凄いな。


「着くぞ。Dr. スターリーの私室には我々も入ることができないが、その手前の部屋を居間として活用している。迷い込んで来るモンスターは我々ライトブラザーズが交替で見張りをして退治する。・・・いたぞ。今日の見張りは、私の兄貴分、スター・ライトだ」


「よう、サン。どうしたんだ? その人たち」


「買い出しの帰りに面白い人間を見つけてな。つい連れてきてしまった」


 “つい”とか言うな。


「じゃあ俺たちの自己紹介が必要だな? 久々にアレやろうぜ?」


 奥からまた誰かが顔を出してきた。この人もライトブラザーズか? 名前の予想は大体つく。てか”アレ”ってなんだ?


「いいだろう。すまないがこれを頼む」


 サン・ライトがビニール袋を渡してきた。目的地着いたんだから地面に置いてもいいじゃん。

 前を見ると、スター・ライトが真ん中、サン・ライトが右、もう1人の男が左で横並びになって腕を組んで立っていた。どんなことをするかも大体分かった。



「降り注ぐは星の光! スター・ライト!!」


 スター・ライトが最後の「ライト!!」と共に左手を上にかざした。


「照りつけるは太陽の光! サン・ライト!!」


 サン・ライトも最後の「ライト!!」と共に左手を上にかざした。


「妖しく光るは月の光! ムーン・ライト!!」


 最後の1人、ムーン・ライトも同様の動き。


「「「我ら、Dr. スターリーが助手、」」」


 3人揃ってそう言って、左手を胸の前まで下げて拳を作る。そして、またしても3人揃って手を開きながら今度は前に向けてきた。



「「「ライトブラザーズ!!」」」


次回:神殿に人生を捧げた男、Dr.スターリー

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